媒体資料
経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

思い出によって脳を変える方法―加藤俊徳(脳の学校代表)

患者の祖母から贈られた手作りの五円船

人と接するだけで感情系脳番地を鍛えられる

 「人の気持ちは変わりやすい」と言われます。社会は人と人の交流で成り立っていますので、私たちは、いつでもこの変わりやすい人の気持ちと向き合わなくてはなりません。

 脳の中には、感情系脳番地があります。この感情系の働きによって、人は人の気持ちを感じ取ったり、自分の気持ちを生み出すと考えられています。

 ですから、人と接することだけで、人は会話による伝達系脳番地だけでなく、感情系脳番地も鍛えていることになります。

 経営者は、他社との事業契約や社員の退職など日常的に人の心変わりに接することになります。さまざまな場面で、揺れ動く気持ちに接する人は、相手以上に人の気持ちを感じて考え込むことが少なくありません。

 時には、「騙されているかもしれない?」という心配が脳裏をかすめるかもしれません。このように、経営者は、日常的に感情系脳番地を使わなければならない職業と言えるでしょう。

 かつて、ある山寺で堂守をしている女性が、人の心について話してくれました。

「加藤さんね、人の気持ちが変わっても、都合が悪くなるだけなの、人は騙すつもりはないと私はいつも考えるようにしている」

 と納得するように話していたことを折に触れ思い出します。人とうまくいかない時に、騙されたと捉えるよりも相手の都合が悪くなったと考えたほうが、確かに気分良くいられます。

 これは感情系脳番地が動揺したら、思考系脳番地を使って、考え方や解釈を変更することで、自分の気持ちを変え得ることを示唆しています。

「人生の思い出ベスト10を決める」脳トレ効果

脳番地

患者の祖母から贈られた手作りの五円船

 日常では、必ずしも楽しいことばかりではありません。時には嫌な出来事があって落ち込むこともあるでしょう。

 このようなとき、著者がお勧めしたいのは、「人生の思い出ベスト10を決める」脳トレです。

 まず、思いつくままに、うれしかったことを過去から探してみましょう。思い出す方法はさまざまありますが、実家の部屋に戻り古い贈り物を探してみることがお勧めです。

 写真は、30年ほど前に患者の祖母から贈られた手作りの五円船です。2週間以上の集中治療で生死をさまよった孫の命が助かりました。

 あの時ばかりは、睡眠不足に陥り自分の限界と患者の命が天秤にかかっている体験でした。

 今、負の見方をすれば、民間病院の劣悪な労働環境の中で過労を通り過ぎているギリギリ状態でした。しかし、年月がたち、彼女の気持ちをじっくり思い返すと、

「どんな気持ちでこの五円船の五円を繋いていたのだろうか」と思うのです。

 この五円船の出来事は私の思い出ベスト10に間違いなく入っています。残りの思い出ベスト9はどんな出来事があるか考えるだけで、さっきまで憂鬱だったり、疲れ切って考えがまとまらない状態でも、不思議とイキイキしてくるのです。

 人生の出来事は、自分の脳を変える力を持ちます。

(かとう・としのり)昭和大学客員教授。米国ミネソタ大学放射線科MRセンターに6年間在籍、慶応義塾大学、東京大学などで脳研究に従事した後、2006年「脳の学校」を創業。2013年加藤プラチナクリニックを開設し、経営者向け脳画像診断指導を行っている。6月の新刊『一度覚えたら絶対に忘れない脳になる最強の法則39』(日本文芸社)

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