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社員は会社を見ている

東京都の空き家率「11.1%」は何を意味するのか? イメージ画像

 厚生労働省によると、有効求人倍率が1.49倍(平成29年5月)に達したとのことだ。これは、過去に最も高いとされたバブル経済期の1.46倍(平成2年7月)を超えている。その一方で、中小企業基盤整備機構が平成29年3月に実施した調査によれば、7割以上の中小企業において人手不足を感じているとの結果が出ている(人手不足に関する中小企業への影響と対応状況)。人手不足感は、時間経過とともに増していると言わざるを得ない。これらと相まって、育児・介護問題もより一層深刻な状況に陥ることが予測される。仕事の担い手が減少している以上、これまで“どうにかなってきた”ことも、“どうにもならない”事態が目前に迫りつつある。だからこそ、来たる時に備え、これらの変化に対応できる職場環境作りを今のうちから整備する必要がある。黙っているが、社員達はしっかりと見ているからだ。[提供:経営プロ]

黙って、でも確実に社員は見ている

 育児・介護休業取得実績のある会社であればともかくとして、中小企業(特に少人数規模の会社)では、これらの実績がまだないという会社も多い。

 実績ゼロの理由は様々だが、例えば、社員が育児・介護と就労の両立は無理だろうなと会社の意向を忖度して自ら退職するケース。出産や介護の相談を持ちかけたら、会社からパート社員等への契約変更、あるいは一旦退職を求められ、これに応じたケース等が考えられる。

 もちろん、これらは男女雇用機会均等法や育児・介護休業法で禁止されている不利益取扱いに該当するためアウトである。だが、法整備が進んだ現在においても、中小企業では珍しいことではない(中小企業が皆そうだと述べている訳ではないので、念のため誤解のないようここで断っておきたい)。

 働き方の制約を受けざるを得ない社員が実際に出てきたとき、周りの社員達は、会社がどう対応するのか?その行く末を自身に置き換える形でまじまじと見ている。生活の源泉である場所だけに、自身に不測事態が生じた時、会社は自分達とどう向き合ってくれるのかを見届けることは当然と言えば当然の行動と言えよう。

 もう何年も前の話になるが、ある中小企業(規模は25名程。以下「X社」)で出産を控えた女性社員(以下「Aさん」)が初めて登場した事例がある。時を同じくして筆者が関与した訳であるが、AさんもX社も相当悩んでいた。Aさん側の希望は、できることなら仕事と子育てを両立したい。X社としても、働き続けて欲しいのは山々だった。

 しかし、休業したらAさんが担ってくれていた仕事をどうすべきか。また代替要員を確保すべきか、Aさん復帰後は余剰人員へ繋がらないか等々を心配していた。またX社には、Aさんの後にも結婚・出産・育児を控えることになるだろう女性社員が複数人在籍していたのである。

 結果は……、うまく行った。今でもAさんは子育てをしながらX社に勤務している。その後、立て続けに2名の社員が休業取得し復帰するに至っている。今頃になって、この女性社員達が筆者に話してくれたことがある。皆それぞれに、出産を機に辞めなければならないだろうなと思っていたそうだ。ただAさんが休業し、実際に復帰する過程を間近でみていて、自分達もこの会社で働き続けることができるんだ! と安心したという。X社における自分のキャリアを長期的な観点で考えられるようになったとも語ってくれた。また全社的にも、お互い様精神で各々が今まで以上に考えて仕事をするようになり、職務分担・効率・合理化等が進められ連帯感が増したそうである。

 今後は、団塊世代が後期高齢者に突入する。育児の問題もさることながら、今以上に介護の問題が現実味を帯びてくる。加えて団塊ジュニア世代は40代だ。社内で役職に就く者が多く、責任ある仕事を任されている場合が多いだろう。

 その社員達が親族介護等によって、制約された働き方や休業せざるを得ない事態に陥ることを今から考えておかねばならない。対応が遅れれば、企業の屋台骨である社員達が辞めてしまうことに繋がるからだ。冒頭で触れたとおり、人手不足が顕著である。ネームバリューが低い中小企業では採用困難な事態が続くと推察される。

 対策としては、既存社員が外部流出しないよう注視しつつ、新たな人材を確保して人員を増やす形が望ましい。したがって、生産性を高めることはもとより、就業環境の整備、すなわち、作業合理化・効率化による時短化や在宅勤務制度の導入等を進めることは喫緊の課題である。これこそ、いま叫ばれている“働き方改革”そのものではないだろうか。

 社員達は、黙っているが自分の会社の取り組みを、自身の将来と重ね合わせてしっかりと見ている。自社の大切な人材を失わないためにも、肝に銘じておきたい。

SRC・総合労務センター 株式会社エンブレス 特定社会保険労務士 佐藤正欣】  

 

 

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