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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

SBIグループのシナジー効果を生かす。 今後はホールセールの強化を(髙村正人・SBI証券社長)

SBI証券社長 髙村正人氏

SBIグループの金融サービス事業の中核の1つであるSBI証券。企業としての成長はもちろんのこと、グループ全体の成長も促す役割を担う。そんなSBI証券が今後、リテールの顧客基盤の土台の上に伸ばしていく領域がホールセール。収益力を強化し、国内証券業界でナンバー3の地位を目指す。 〔聞き手/大橋博之、撮影/市川文雄〕

髙村正人・SBI証券社長プロフィール

髙村正人・SBI証券社長

(たかむら・まさと)1969年静岡県生まれ。92年慶應義塾大学法学部卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2005年3月にイー・トレード証券(現SBI証券)入社、コーポレート部長、SBI証券常務取締役コーポレート部管掌等を経て、13年3月代表取締役社長。同年6月SBIホールディングス取締役就任後、取締役執行役員常務を経て、17年6月取締役執行役員専務、18年6月取締役副社長も兼任。

SBIグループにおけるSBI証券の位置づけと役割

SBIグループ内でシナジーを発揮

── SBIグループにおけるSBI証券の位置づけを教えてください。

髙村 SBIグループは「金融サービス事業」「アセットマネジメント事業」「バイオ関連事業」の3つのセグメントで構成されています。SBI証券は金融サービス事業に含まれる事業体で、1999年にインターネットを使った株取引を開始しました。

 我々は現在約440万強の顧客を有しています。この強みを生かし、SBIリクイディティ・マーケットやSBIジャパンネクスト証券など、グループの様々な金融サービス事業の各社と連携を図り、お客さまの満足度向上につながるサービスを提供しています。つまり、我々がハブとなって金融サービス事業全体を盛り上げているわけです。

 また金融サービス事業というセグメントのみならず、アセットマネジメント事業においてベンチャーキャピタルが投資した企業のアンダーライティング(※引受業務)をSBI証券が受け持つ、という流れも進んでいます。このように、セグメントを超えてグループ全体と連携する役割も増えてきています。

 我々が培ってきた顧客基盤についても、リテールだけでなく、事業法人や金融法人など、法人の顧客基盤も整ってきました。それらも活用して新しい生態系を生み出していく。我々がもともと持っていたものと今後積み上げていくものとで、様々な新規事業や成長ドライバーを創出していきます。

※引受業務。株式会社などが株式、債券、CB等を新たに発行するとき、売り出すことを目的として証券会社が全部または一部を引き受けること。

── シナジー効果を高める重要なポジションだというわけですね。

髙村 そこは最も期待されているところですね。良い例が住信SBIネット銀行です。住信SBIネット銀行は2007年に営業を開始しました。

 国内のネット銀行の中では後発です。この成長速度を上げるため、我々の顧客に向けて「SBIハイブリッド預金」をリリースしました。これは住信SBIネット銀行の預金残高をお客さまのSBI証券口座の買付余力に自動的に反映して取引に利用できるサービスで、現在ではSBI証券の170万のお客さまにご利用いただいています。

 一方で、住信SBIネット銀行のお客さまがSBI証券の口座を新たに開設する例もあり、SBI証券の業容拡大にもつながっています。こういった点でシナジー効果を発揮しています。しかし、何よりも大きいのは、連携によって生まれた利便性の高さを多くのお客さまに喜んでいただけたことでした。

 一つ一つの会社だけで勝負するのではなく、連携することでプラスαの価値となり、他の企業グループと闘うこともできます。たとえその業界の中で後発でも負けない戦略が取れる。

── 戦略がうまく機能している。

髙村 各事業を展開する順番もよかったのでしょう。マネタイズや顧客獲得に時間のかかるビジネスを先に進めていたら今のようにはならなかったかもしれません。証券がうまくいっているから、次に銀行。銀行が育ってきたから保険。保険も損保が先でそれから生保と、顧客基盤の成長度とシナジー効果を考えてプランを練り、ベストなタイミングで参入や拡大を決断してきたのが大きいと思います。

成長が予測される新規事業をサポートするSBI証券

── 順調に展開している中で、プレッシャーもあるでしょう。

髙村 私はプレッシャーをミッションだと受け取っています。我々は中核企業としてグループにどう貢献すべきか? 自社の利益を追求するだけでなく、これから成長するであろう新規事業に対し、我々が19年間で培ってきたノウハウ、特にITやマーケティングの知見をどんどん供給し、成長を促進することだと考えています。

 設立から日が浅い他のSBIグループ内の会社に対し、様々なリソースを提供することが我々の存在意義。最終的なミッションはSBIグループとしての企業価値をどれだけ高められるかに尽きます。デジタルアセット関連の事業も、SBI証券との親和性が高いのであれば、どんどん支援していきます。

 これは人材の面でも同様ですね。スタートしたてで人が集めにくいのなら、SBI証券から優秀な人材を送り込む。これもグループへの貢献です。新たに設立されたグループ会社から「サポートしてもらえませんか」と気軽に声をかけてもらえる距離感をつくりたい。SBI証券の一人勝ちのようにグループ各社から見られるのはもったいないですしね。

── あらゆる面でサポートしなければならない。

髙村 そうですね。私自身が金融サービス事業全体を管轄するようになり、その意識は一層強まりました。グループ全体を「SBI証券として手伝えることはないか?」という目線で見ると多くのことが見えてくる。新規事業の側からは思いつかないこともあるので、我々から手を差し伸べていく。

 コンプライアンスを守った上で、課題や情報をスピーディーに共有する。SBI証券は何百年続いた重厚長大な会社ではありません。ベンチャー企業なので、スピードを何よりも重視しています。

髙村正人・SBI証券社長

「グループ会社のサポートを意識する」と語る髙村正人・SBI証券社長

SBI証券の将来展開と目標

ホールセールを強化しさらなる事業拡大を目指す

── 今後目指しているものは?

髙村 SBI証券がシェアや口座数で競合ネット証券と闘ってきたファーストフェーズは15年に終了しました。では次にどこに行くのか? オンラインの枠組みから外に出ていきます。総合証券に向けた事業基盤を拡大させる。それらを猛スピードで推進しています。

 具体例としては、金融法人の事業を立ち上げ、それに付随するトレーディングやリサーチなど、従来小規模でやってきた引き受け業務を拡大していきます。事業法人のカバレッジも含め、ホールセールの推進を過去3年半かけて取り組んできましたが、これも一層強化していきます。

 また、グローバルで見た機関投資家営業は今までファンクションとして乏しかったので、専門部署を設けて、人もアサインし、猛スピードで取り組みます。さらに海外展開も今まで香港のみだったのをシンガポール、ロンドンにもネットワークを広げ、最終的には国内の機関投資家のみならず、海外の機関投資家もカバーしていく予定です。

── 何年までに実現させる、といった計画はあるのでしょうか?

髙村 我々は計画を立てるよりまずは猛スピードでやる、という文化で動いています。3年後に振り返り、どこまで進捗した、と見る。通常なら5年、10年かかるホールセールの事業基盤も3年で構築しました。事業基盤は大手と比べて深みはないかもしれませんが、進化させるという点において基盤はだいぶ出来上がっています。あとは進行する過程で計画にないものが出てきたとしても、即座に取り組みます。

── 計画を立てるよりも早くできてしまえばいい、ということですね。

髙村 そうです。ただし目標に達する前に新たな課題が発生するので、永遠に終わりはありません。それは我々がやっていることが既存の証券会社にはないモデルだから。100点満点のない事業です。

 現状、足りないのはストックの部分。顧客数やフローのボリュームは大手と遜色ないと自負していますが、現在の預かり資産はまだ13兆円です。今後5年タームで預かり資産50兆円を目指します。

 その一番のポイントとなるのがホールセールです。今後はシェアを順調に拡大してきたリテールだけではなく、ホールセールにも注力していきたい。短期の目標としては、収益力を強化し、大手対面証券も含めた国内の証券会社の中でベスト3に入る。昨年は4位だったのでその上を目指します。今年度か来年度にはこれを実現します。

地域金融機関との連携を強化

── 地域金融機関との連携については?

髙村 SBIグループとして地方創生にどう貢献できるかを考えると、SBI証券の440万強の顧客にご利用いただいている我々のプラットフォームを、地域金融機関のお客さまがそのまま使えるようにしたらいいのかもしれません。

 地域金融機関もインターネットサイトやアプリなどを構築していますが、購入できる投資信託は本数に限りがあったり、株も買えません。金融商品はSBI証券の方が揃っています。地域金融機関を通じてSBI証券の口座を開設し、そこから金融商品の取引をしていただければいい。

 地域金融機関は資産形成層に対する取引機会を提供でき、お客さまは幅広い選択肢を得られます。取引による利益を期待するお客さまだけではなく、資産形成する中で、地域金融機関が取り組む富裕層営業につながるお客さまも発掘できるはずです。

 金融商品仲介業の提携は、対面でコンサル営業すべき富裕層のお客さまに対し、我々のファンクションを使ってサービスを提供したいという地域金融機関側のニーズを満たします。実際に清水銀行と筑邦銀行、仙台銀行、愛媛銀行では各行の支店内に共同店舗「SBIマネープラザ」の運営を始めました。

 共同店舗では我々の営業マン3人を常駐させ、ご紹介いただいたお客さまの元に訪問し、金融商品のご相談に乗るだけでなく、保険などSBIグループ各社が提供する商品をご紹介しています。

 これは成功事例が出てきたので、今後もっと増やしていきます。年度内に地域金融機関10行の支店内にSBIマネープラザを設立していきます。

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