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沖縄県名護市が町興しの切り札として活用したLLP

ニュースレポート

年を追うごとに加速する大都市への人口流入。少子化も相まって地方の地域活性への道のりは遠のくばかりだ。そんな状況下で、切り札として期待されるのがLLPである。 (本誌/大和賢治)

LLPの有効性とは

 

 LLP(Limited Liability Partnership)という制度をご存じだろうか。

 これは経済産業省が創業を促し、企業同士のジョイント・ベンチャーや専門的な能力を持つ人材の共同事業を振興するために民法組合の特例として2005年8月に創設された制度だ。

 LLPを簡単に説明すると、個人または法人が共同で出資し、事業を営むために設立された有限責任事業組合ということになるが、特徴として、出資者は出資額の範囲までしか事業上の責任を負わず、さらには出資者に直接課税されるため、事業体には法人税が課せられないという点がある。

 映画などの制作時に組成される任意組合と比べ、出資者の有限責任、構成員課税の適用等の特徴は、事業体のガラス張り運営も可能としたことから、最近では、地方都市活性化の手法としても、しばしば話題に上る。

 

沖縄県名護市がLLPに挑んだ背景

 

 なるほどLLPの有益性は誰しも認めるところであり、地方都市の活性化というテーマにはうってつけの手法とも見えるが、一方では〝町興し〟事態に懐疑的な住民も多く、一筋縄ではいかないのも事実で、成功事例は極端に少ない。

 しかし、そんな状況にあっても、このLLPの活用により地方都市活性化に挑み成果を上げつつある自治体が存在する。

 「名護まち活性計画LLP」を設立した沖縄県名護市がそれである。

 人口約6万人の名護市は沖縄県の北部エリアの中心地である。しかし、近隣の町にある「沖縄美ら海水族館」や古宇利島など人気の観光スポットには、年間360万人も観光客が訪れるにもかかわらず、名護市は素通りされてしまうという状況に苦悩している。

パム地域産業研究所社長の今村展大氏

パム地域産業研究所社長の今村展大氏

 とはいえ、この厳しい現状を打破するには自治体だけでは限界がある。そこで、名護市では地域活性に成功した実績のあるパム地域産業研究所社長の今村展大氏とアジア・メディアプロモーション社長の渡邊竜一氏に応援を要請、民間の英知も結集し、街の再生に踏み出すことになった。

 前述したパムは、このプロジェクトが生まれる以前から年間35万人の誘客に成功した実績があり、内閣府沖縄総合事務所が白羽の矢を立てたという背景もある。

 「当初は目的が誘客なのか、経済の活性化なのか軸がバラバラで条件が整っていないし、地域住民も活性化の必要性に重きを置いていない状況も垣間見られた」と協力に難色を示していた同氏だったが、映画を使った意見の集約を提案したところ、方向性が一致、本格的に参画することとなった。

 「街の課題を克服しようという共通認識が、そもそも地域になかったことが障害でした。しかし、名護市としては、何もしなければ街の存続すら危ぶまれる、まさにギリギリの選択ではあったのです。それであれば分かりやすい目標・目的を設定すれば活路が見つけられるのではないかと考えました。

 弊社の役員でもある渡邊が、以前に秋田県で「ハナばあちゃん!!」という映画を撮ることでバラバラだった地元住民の意見集約に成功した経験がありました。その手法が名護市でも通用するのではないかと訴え掛けたところ、その思惑が当たりました」と今村氏は当時を振り返る。

 

名護まち活性計画LLPが始動

 

「名護まち活性計画LLP」は沖縄銀行とも連携する

「名護まち活性計画LLP」は沖縄銀行とも連携する

 「名護まち活性計画LLP」が動き出した瞬間だ。そこで街づくりの基本コンセプトを「縁と縁(えにし)の街」と定める。

 地域コミュニティー再生を主眼に名護まちの魅力を再発見を掲げる同LLPは、美ら海水族館を訪れる年間360万人の観光客のうち主として30代女性をターゲットとした街づくりを標榜。ハード、ソフトを一体的に整備し、集客力のある情報発信を行うことで賑わいを創出、活性につなげることを目標に掲げた。

 同LLPの緑と縁のまち構想は「街づくり・モノづくり・人づくり」と制定されていたことから映画製作と並行して、映画のプレースメントにも入れ込めるようなスイーツ等で特産物の開発に取り組んでいる。

 「街のメーンでもある名護大通りには、そもそも人が交流する場所もなく、誘客したところでお土産として買うものもなかった」(同)

 名護市もせっかくの好機を生かすために、特産品の開発や山原(ヤンバル)の農産物の6次産化を推進したい意向だ。

 「われわれは35万人を誘客する巨大な装置のような会社です。コンテンツを持ち、そこに人が来るべき理由があれば、誘客できないはずはありません。5年程度あれば、美ら海水族館に行く360万人のうち30万人は集客できると想定しています。」と今村氏は自信をのぞかせる。

 街づくりは一過性のものではなく、常に新しい息吹を吹き込み続ける必要がある。第1弾として映画製作という手法をとった名護市ではあるが、2の矢3の矢を打ち出すことも重要なテーマとなるだろう。

 「映画で登場したセットで作った店舗等、映画で残った資産もあります。今後は、これらハードを本格的に作りこんで街の活性化をさらに図ること、さらには、現状、特産品とは言っても、まだまだ足りないので、それらは継続して開発していかなければならないでしょう。もっと言えば、今回のプロジェクトは名護市内でも名護大通りに絞ったものでした。隣接する通りを含めた名護市の中心市街地全体へ事業を波及させていくことが課題となります」(同)

 LLP制度を用いた名護市の活性化に今後も注目したい。

 

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