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携帯電話を巡る鉄道会社の対応の違いが乗客にも混乱を招く--総務省

霞が関ウォッチング

 電車内の携帯電話マナーを巡って足並みが乱れ始めた。総務省が2013年1月に「携帯電話が心臓ペースメーカーに与える影響は小さい」として、ガイドラインの規制緩和に踏み切ったことで、鉄道会社の対応が分かれてきたからだ。

 鉄道各社はこれまで優先席付近の乗客に「携帯電話電源オフ」を要請し、車内放送で呼び掛けてきたが、規制緩和の動きを受けて、見直す動きも出てきた。しかし、利用マナーの観点から「電源オフ」を継続している鉄道会社もあり、乗客の混乱を招く事態となっている。

 電車内では、「ペースメーカーなどに影響を及ぼす恐れがありますので、優先席付近では電源をお切りください」と繰り返しアナウンスされるが、総務省によると、携帯電話がペースメーカーに影響を及ぼした報告は一度もない。

 心臓ペースメーカーは、脈が乱れた際に電気刺激を送り、心臓が正常なリズムで脈打つのを助けるための医療器具。1990年代後半からの携帯電話の急速な普及で、ペースメーカーなど医療機器への電磁波の影響が危惧されるようになった。

 総務省は携帯電話からペースメーカーを22㌢㍍以上離すことを推奨した「距離指針」を05年に策定。鉄道会社が電源オフを呼び掛ける根拠となってきた。しかし昨年7月までに、電波の出力が強く、ペースメーカーの誤作動を招く恐れがあった「第2世代」(2G)の携帯電話サービスを携帯電話3社が終了。性能も向上した現在のペースメーカーは電波の影響を受けにくくなっている。

 総務省が現在の第3世代(3G)携帯電話を使ってペースメーカーへの影響を調査した結果、携帯電話から3㌢㍍以上離れれば、ペースメーカーに影響はないことが判明。総務省は今年1月、距離指針を22㌢㍍から15㌢㍍に緩和し、

「鉄道会社には実態に合わせて見直してほしい」(電波事業部)

 と話す。しかし、鉄道各社はいち早く、混雑時を除き「電源オフ」の呼び掛けをやめたところもあれば、JR系は「現状維持」を表明。「検討中」も含めて対応はまちまちで、各社も困惑気味。

 先日、都内の私鉄で優先席の前で、

「私はペースメーカーを入れているからすぐ携帯を切ってくれ」

 とどなる老人に若者が、

「影響なんてない」

 と言い返す場面があったように、乗客の認識にも幅が出ており、統一指針の策定が急務となっている。

 
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