実証実験でスマートテレビのニーズを探る
在京の民放キー5局と北海道テレビは、放送とインターネット通信を連携させる「ハイブリッドキャスト」技術を活用したスマートテレビの実証実験を今年1月から3月にかけて実施する。
総務省と民放各局が、ネット時代のテレビ視聴者獲得を目指して取り組んできた官民プロジェクトで、ゆくゆくは東南アジア各国への番組輸出などクールジャパンの一翼を担う事業に育てたい考え。1月以降、実際に番組をオンエアして視聴者のニーズを探る方針だ。
プロジェクトは総務省と三菱総研が事務局的な立場となり、同省の「放送サービスの高度化」に向けた実証実験という位置付け。今回の番組を通じてハイブリッドキャストの課題を検証するとともに、アプリの開発も進め、視聴者が楽しめるサービスの実現を目指す。
スマートテレビを視聴するには専用のテレビ受信機が必要となる。「ハイブリッドキャスト」はNHKが開発した技術。NHKが一足早く昨年9月からサービスを始めており、全国で既に約10万台が出荷されているという。
スマートテレビへの取り組みで民放各社に温度差
しかし、民放各社の取り組みには温度差も見え隠れする。最も早くオンエアするテレビ東京は14年1月3日、インベーダーゲームをモチーフにした番組「MISSION 001」(同局系6局ネット)で導入する。視聴者はゲームに参加し、パソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)を通じて得点や全国順位などをリアルタイムで見ることができるようにする予定だ。
日本テレビが情報番組「ズームイン・サタデー」(2月15日放送)、北海道テレビは情報番組「イチオシ!プラス」(2月1日)でハイブリッドキャストを活用した番組を放送する。
一方、フジテレビがオンエアするのは実証実験の終了間際の3月になってから。ゲームバラエティー番組「人狼」(関東ローカル)を放送。出演者の過去の対戦成績を表示したり、視聴者が結果を予想したりすることが可能になるが、番組の課題や可能性を検証するには十分な期間とは言えない。
「フジさんは既存放送のてこ入れが最優先」(民放幹部)なようで、スマートテレビ事業は、ありがた迷惑。TBSテレビ、テレビ朝日も具体的な計画を表明していない。官民挙げた放送業界底上げプロジェクトのはずが、足並みはそろっていない。
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