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「カジノ単体ではなく地域の豊富な観光資源を生かしたIR建設を」--岩屋毅・自由民主党衆議院議員

インタビュー

 IRに関する議論を進め、法案の作成を手掛けたのが、超党派の議員連盟である国際観光産業振興議員連盟(IR議連)。今、なぜ日本にカジノ導入が必要なのか。IR議連の幹事長を務める岩屋毅議員に話を聞いた。

カジノはツールの1つに過ぎない。〝観光貧国〟からの脱却を目指す

 

-- 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(推進法)が国家に提出されましたが、今後の流れは。

岩屋 もちろん、法案の成立に全力を尽くしたいと思います。100%成立すると断定はできませんが、幸いにも昨年、わが党と維新の会さん、生活の党さんもまとまって賛成していただく方向で提出者になっていただきました。

 公明党さんと民主党さんにはこれから党内で議論を進めていただきますが、もし最終的に党として方針がまとまらないということになれば、その時は自主投票という形でぜひお願いしたい。その他の政党に対しても、働き掛けを丁寧にやっていきたいと思います。今の国会情勢からすると、成立する見込みは十分にあると思っています。

 そして、今後は国民的な議論もしっかりと行わなければなりませんし、できるだけ多くの議員、政党、そして国民の皆さまのご理解を受けたいと思っていますので、丁寧に進めていきたいと思っています。

-- 国民的議論を深めるに当たって、なぜ今カジノが必要かという部分を主張していかなければならないと思います。

岩屋 われわれは大きな観光戦略の一環として、カジノを含む統合型の施設を考えています。さらに、成長戦略の一環としても、国際観光振興を図っていかなくてはいけません。そのためのツールの1つとして、あくまでもカジノを含む統合型のリゾートがあるわけです。

 ですから、カジノ単体の建設を認めるつもりは全くありません。昨年、ようやく海外からのインバウンドが年間1千万人を超えたわけですが、世界の中では日本はまだまだ観光貧国と言えます。政府としても、やがてインバウンドを2千万人、3千万人に増やすというビジョンは持っていますが、現在のペースではなかなか到達するのは難しい。

 幸い、2020年の東京オリンピック招致が決まりましたが、これを一過性のものにしてはいけません。

 われわれは何もオリンピックを目指して構想を練ってきたわけではないのですが、国が成長戦略へと舵を切り、観光立国ということがその中で大きな柱となり、東京オリンピックが決まったとこの機会に、ぜひ構想を実現させたいと思っているわけです。

-- オリンピックに間に合わせるには、タイミング的にはギリギリです。

岩屋 われわれが提出したのはあくまでも推進法です。これが成立して、1年以内に実施するための具体的な法律を政府に作ってもらい、さらにそれを国会で審議して成立させた後に、カジノ建設を実行することになります。

 国際競争力を持つ魅力的な施設を期待していますので、建設だけでも数年はかかるでしょう。スケジュールを考えると、あまり時間的猶予はありません。そういう意味でも早く推進法を成立させたいと思っているところです。

カジノを公営ギャンブル方式にしない理由とは

-- 都市と地方で同時に進めるほうが望ましいという意見がIR議連の中では多いと聞いていますが。

岩屋 IR議連としてはあくまでも推進法を成立させることに今は全力を注いでいますから、具体的な場所の話をしているわけではありません。やがて政府によって推進本部が設置され、そこで有識者などの意見を聞きながら具体的な方針が定められることになります。そこで、どんな施設がどのくらいあるのが望ましいということが決められていきます。

 ただ、これまでの議論でいうと、やはり大都会だけではなく、地域の特性を生かしたローカルリゾート型のIRがあってしかるべきという方向性です。ぜひ政府もそうした議論を参考にしていただき、方針を作っていただきたいと思っています。

-- 地方につくる条件についての議論はあったのでしょうか。

岩屋 日本は狭い島国と言えども、北海道から九州・沖縄まで極めて豊富な観光資源に恵まれています。あくまで例えばの話ですが、北海道であれば今でも冬場に南半球の方々がウインタースポーツを楽しみに来ています。そうした特性を生かしたスキーリゾートのようなものがあってもいいし、沖縄だったら南国情緒にあふれた特性を生かした海洋リゾート型のIRがあっていい。そういう議論は、今まで行われてきました。

 最終的には政府に決めていただきますが、やはり最初は数カ所ぐらいに限定して地域が指定されるのが望ましいのではないかと思います。

 わが国として初めての試みですし、かつてはリゾート法の失敗もありました。当時は雨後の竹の子のように全国にリゾート施設ができてしまい、結局は多くの施設がうまくいかなかったという経験もあるので、やはり施行が順調に行われているか、そして安全・安心が確保されているか、観光振興にどのぐらい寄与することができるか等々、実績を何年かにわたって検証した上で、次のことを考えるべきです。

-- IRの運営に公営ギャンブル方式を採用しなかった理由は。

岩屋 今回は民設民営が基本となっており、あくまでも国の厳格な審査を経て免許を受けた事業者でなければ、この事業に参画することはできません。施行の主体者に対してだけでなく、すべての出入り事業者にも同様の措置を取ります。監視・監督についてはカジノ管理委員会を国の組織として立ち上げ、強い権限を持たせます。逮捕権を持った特別査察官を置く仕組みが望ましいと考えています。

 公営ギャンブルは、地方自治体および事務組合が施行の主体になっています。同じ方式を導入することも当初は考えていましたが、それではとても国際競争力の高い魅力的な施設は運営しがたいのではないかという認識に立ち、初めて民間事業者の活力を用いたIRを認めたらどうかという考えに至りました。

 それを実現するには、極めて厳格な審査を、事業主体だけでなく個人にも適用する仕組みを作らなければなりません。海外には既に先行事例があるので、わが国も透明性の高い厳格なルールを導入する必要があるでしょう。

カジノ税の収益でギャンブル依存症対策を徹底

-- 注目されるのは運営会社がどこになるかという点ですが、やはりカジノ運営の実績がある外資系企業が有力になるのでしょうか。

岩屋 特定の事業者について議論したことはないですが、当然、経験豊富な事業者の知見は活用しないといけないでしょう。その一方では、できれば国内の事業者にパートナーとなっていただき、日本の特色を生かして差別化できる施設をつくってほしいと期待しています。外資の参入をどれだけ認めるべきか、規制をするべきかは政府が今後方針を定めるでしょうが、われわれとしては世界中から提案を受け入れるべきと思っています。

-- ギャンブル依存症対策や治安の問題にはどう対応していきますか。

岩屋 当然対応していくべき問題と認識しています。わが国は過去に既に特別立法で、たくさんのギャンブルを事実上認めてきました。刑法はすべての賭博行為を禁じているので、その違法性を阻却するために特別法を設置して、競馬、競輪、ボートレース、宝くじなどを認めてきたわけです。当然ギャンブルである以上、一定の比率で依存症のような問題も生じてきます。

 しかし、それらについて国として調査したこともなければ、十分に対応してきたわけでもない。これはやはり、極めて無責任な姿勢と言わざるを得ません。したがってわれわれの構想では、IRができた場合はカジノ税を取り、入場料も取って、その収益の一部を使ってギャンブル依存症の調査、抑止政策、ケアを含めた対応策を取れる体制を作るべきだと思っています。

 例えばシンガポールでは、自国民からは毎回入場料を取っていますし、依存症患者や家族から管理当局に申告があれば、カジノの入り口で排除できるといった仕組みもあります。こうした事例を参考にしながら、一定の抑止政策を考えて然るべきでしょう。

-- ほかに日本が参考にするべき事例はありますか。

岩屋 世界の趨勢は単体でのカジノを認めるのではなく、「MICE」というビジネスモデルに沿った施設をつくって観光の拠点にしようという方向に向かっています。ホテル、ショッピングゾーン、遊園地、国際会議場などがあり、大人も子どもも楽しめるという形式になってきています。そういうものをわが国においてつくりたいと思っています。

 
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