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法人実効税率の引き下げをめぐる官邸と財務省の思惑の違い--財務省

霞が関ウォッチング

 法人実効税率の引き下げに向けた検討が具体化する。2月は、政府税制調査会(中里実会長)専門委員会を設置し、本格的な議論を再開するなどの動きが出ているが、ただ、財務省は、財源の確保が難しいとの観点から引き下げに慎重で、決着は簡単ではない。

 国税と地方税を合わせた日本の法人実効税率は、2014年度の東京都の場合、35・64%。ほかの主要国が25〜30%であることを考えると、かなりの〝割高〟だ。

 安倍晋三首相は「国際相場に照らし、競争的なものにする必要がある」と、税率の引き下げに前向きで、官邸主導で検討が始まっている。経済財政諮問会議の民間議員からも、「10%程度、引き下げるべきだ」という意見が上がっている。

 これに対し、財務省は後ろ向きだ。麻生太郎財務相は会見などで、「そんなに簡単にはいかない」「財源の確保がなければ(税率下げは)できない」と発言。1%税率を引き下げると4700億円の税収減となり、「財政再建の進捗にも悪影響が出る」(政府関係者)からだ。

 2月スタートの政府税調の専門委員会では、代替の財源をどう確保するかを中心に話し合う。政策減税である租税特別措置の縮小といった、課税範囲の拡大などが議論される。ただ、租税特別措置の1つである研究開発減税の廃止に経済界が反発するなどしており、落としどころをみつけるのは容易ではない。

 市場関係者からは、「法人税の減税による経済活性化でどれくらい税収が増え、減税分を補えるかの試算が、まず必要だ」(民間エコノミスト)との声も上がる。自民党税制調査会は財務省に対し、海外の実例を分析することを指示した。

 6月に新しい成長戦略を取りまとめるために、法人税率の引き下げは、経済財政諮問会議や産業競争力会議でも話し合われる。日本企業の競争力を高め、経済回復やデフレ脱却を本格的な軌道に乗せるためにも、省益や業界の利益に引きずられない、冷静な議論が求められる。

 
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