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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

山本正喜チャットワークCEOが語る「ビジネスチャットが変える働き方」

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は、多くの企業をテレワークへと走らせた。ここ数年、政府は「働き方改革」を政策の目玉としてきたが、コロナによって、新しい働き方が加速した。今後、日本人の働き方はどうなるのか。ビジネスチャットの大手、Chatworkの山本正喜CEO兼CTOに聞いた。(聞き手=関慎夫)『経済界』2020年7・8月合併号より加筆の上転載】

 

山本正喜・Chatwork CEO兼CTOプロフィール

山本正喜・チャットワークCEO

 (やまもと・まさき) 1980 年生まれ。電気通信大学情報工学科卒業。大学在学中より兄の山本敏行氏と共に、兄弟で株式会社 EC studio(現Chatwork)を2000 年に創業。以来、CTOとして多数のサービス開発に携わり、2011年3月にクラウド型ビジネスチャット「チャットワーク」の提供開始。2018年6月、同社の代表取締役CEO兼CTOに就任。

 

利用者が激増するビジネスチャット

 

――  新型コロナウイルスの流行により緊急事態宣言が発令され、企業に対してはテレワークが推奨されています。「Chatwork(以下サービス名はチャットワーク)」は、いつでもどこでもチャットができるほか、ビデオ通話や会議もできるので、利用者が増えているのではないですか。

山本 おっしゃるように事業環境がここにきて大きく変わっています。チャットワークは時間と場所を選ばない働き方ができるツールですので、テレワークとは非常に相性がいい。

 1月から3月にかけて徐々に増えてきたという感触がありましたが、4月に入って急激に利用者が増えています。それだけ首相の非常事態宣言にはインパクトがありました。新入社員が入ってくるタイミングに合わせてチャットワークを導入する企業があるため、もともと4月は利用者が増える時期ですが、今年は桁違いに多くなっています。

――  コロナ禍は結果として日本人の働き方を大きく変えてしまいましたが、終息後はまた元に戻ってしまうのでしょうか。

山本 そうはならないと思います。お付き合いのある経営者の中には、少し前までテレワークは絶対導入しないと言っていた方もいます。しかし、こういう事態になって、やむなく導入したところ、意に相違してやっていけることに気づいた。そういう経営者も多いのではないでしょうか。

――  ただし自宅で何をしているのか監視されているようでいやだという人もいるようです。

山本 経営者の中には社員がさぼるのが心配で、働き方をモニターしている人もいるようです。これは、働く姿勢に対して給料を払っている感覚が強いためです。

 でもテレワークが当たり前になると、結果に対して報酬を払うことが一般化すると思います。テレワークを導入することで、誰がどのような結果を出しているか、オフィスで働いているより客観的に見ることができる。今度のことをきっかけに、人事評価の在り方も変わってくるように思います。

 

ビジネスチャットは電話やメールと同じ

 

――  実際、テレワークをしている人たちは、チャットワークをどのように活用しているのですか。

山本 ほとんどの人は、出社できない状況下で、チャットワークをビデオ会議として使っています。電話とメールで仕事をして、ミーティングはビデオ会議。でもこれでは仕事のやり方が変わったことにはなりません。

 本来、チャットワークをはじめとしたビジネスチャットを仕事に活用すれば、生産性を格段に上げることが可能です。電話のように相手を拘束する必要もないし、チャットはすべて残りますから、言った言わないということにはなりません。

 さらには在宅勤務によって社員同士のコミュニケーションがとりにくくなっています。出社していれば、誰が何をしているのか、聞かなくてもなんとなくわかります。そこでチャットワークを活用すれば、バーチャルオフィスをつくることができ、社員の仕事を可視化することが可能ですし、社員同士がコミュニケーションする共通の場が生まれます。

 こうした機能を一度体験すると、今度はその便利さから手放せなくなる。電話が普及する前までは、電話の便利さに気づかなかったし、メールも同様です。でも今では、それがない生活や仕事は考えられません。ビジネスチャットもそれと同じです。

 

中小企業にとって使い勝手がいいチャットワーク

 

――  ビジネスチャットにはチャットワーク以外にもいくつかあります。その中でどれを選んでいいのか、よく分かりません。

山本 それは使う状況に応じて決めていけばいいと思います。チャットワークは、もともと社内のコミュケーションツールとして開発したものです。それを外販したら評判になり、3月末現在で約25万7千社以上が導入しています。

 主たるターゲットは社員数300人以下の中小企業です。この規模の会社にとって、非常に使いやすくできています。それというのも、自分たちが使いたいものをつくり改良を重ねてきたからです。ですから使いやすさやセキュリティで優位性があると思います。

――  Chatworkは以前から固定電話やファクシミリを持たず、Eメールも使わずに、社内外のコミュニケーションをすべてチャットワークで行っていました。テレワークにも自然と対応できたのではないですか。

山本 2月頃から在宅勤務を推奨し、4月には原則出社禁止にしました。どうしても出社しなければならない場合も公共交通機関は禁止して、できるだけ感染リスクを避けています。

 

アナログ時間をつくるためデジタルツールを活用

 

――  コロナが終息した後でも、テレワークを続けるのですか。

山本 それは考えていません。もちろん、さまざまな事情があって、出社しないで仕事をしたいという人には、そういう働き方を、これまでも認めてきましたし、今後も認めていきます。だけど基本的にはコアタイムを決めて出社する、以前のような働き方にしようと考えています。

 というのも、テレワークは生産性が落ちるんです。オフィスのほうが絶対に生産性は高い。仕事をする人たちが集まって、快適な職場環境がある。ミーティングスペースがあって、打ち合わせしたい時にはすぐに集まることができる。家で1人で仕事をするより、はるかに効率がいい。

 先ほども言ったように、仕事をするうえでコミュニケーションは絶対に必要です。それもできれば対面のほうがいい。そういったアナログの時間を生み出すためにデジタルを最大限活用する。チャットワークもそうしたデジタルツールのひとつです。

 もちろん人によっては出社するより、海の見える場所で働いたほうが生産性が上がるということもあるでしょう。そういう人はそうした働き方をすればいい。ビジネスチャットはそうした働き方を可能にします。

 コロナによってテレワークへと移行し、ビジネスチャットを導入した企業が増えていますが、昨年の段階で国内のビジネスチャット利用者は23%にすぎませんでした。今でも過半の企業は導入していません。

 われわれはビジネスチャットが当たり前の社会にしたい。チャットワークを使えば社内だけでなく社外の人たちともつながることができます。業務効率が上がり、コミュニケーションも活性化するなど、一歩先の働き方が可能になります。ですからもっと多くの人に、チャットワークを知ってもらいたいと考えています。