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M&Aでベンチャー企業育成の威勢も看板倒れの懸念--経済産業省

霞が関ウォッチング

大企業によるベンチャー企業のM&A促進を目指す経産省

 経済産業省がベンチャー企業の育成に向け、企業の合併・買収(M&A)の活発化に乗り出している。

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」を背景に、「次のアップル、グーグル、フェイスブックは日本から出す!」という威勢のいい合言葉を掲げる有識者会議を立ち上げ、3月にベンチャーと大企業の連携強化策などの提言を策定。成長戦略に盛り込んだ「新事業の創出」につなげる狙いだが、具体策は会計制度の改正など小粒にとどまりそうだ。

 「成長戦略の大きな柱になるのが、いかに日本で(産業の)新陳代謝を進めるかだ」

 茂木敏充経産相は1月27日の有識者会議でこう述べ、ベンチャー育成に強い意欲を示した。

 産業政策の「旗振り役」である経産省はもともと2008年までベンチャー関連の研究会を開いていたが、同年のリーマンショックによる不況で機運が低下。産業政策への注目も下火傾向だったが、アベノミクスが奏功して徐々に勢いを取り戻しつつあった。

経産省のベンチャー企業支援はシナリオ通りに進むのか

 そこに茂木氏が昨年12月、肝いりで有識者会議を設置した。ただ、あくまでも大臣の「私的懇談会」という位置付けで、3月までに3回開いて役割を終えるという中途半端さに、他省からは「コンサルタント出身の茂木氏が経済通をアピールしたいだけでは」と冷ややかな見方もある。

 3月の提言では、買収額が純資産を上回った場合の差額「のれん代」の償却方法の見直しが焦点になる。国際会計基準ではのれん代の償却は不要で、買収対象の価値が下がった際に損失を計上できる仕組みだが、日本は買収後一定期間、償却費用を計上しなければならない。

 費用負担の大きさから買収に二の足を踏む企業も多く、有識者から国際基準に沿った見直しが要望されていた。だが、のれん代の償却がなくなると、利益が増えて法人税の納税額が増える可能性もある。

 このため経済産業政策局も「提言に入るかどうかも含めて検討中」(中堅)とお茶を濁す。

 新たなビジネスの芽を生んだベンチャーの事業を、資金力のある大企業などが買収して大きく育てる。経産省が描くベンチャー支援策のシナリオは看板倒れに終わりそうだ。

 
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