お台場にカジノを誘致した場合の経済効果については諸説あるが、現段階では不確定要素が多すぎてどのくらいになるかは分からない。国内でいくつライセンス発行されて、場所がどこになって、カジノ税の税率がどう設定されるかが決まっていないからだ。ただし、世界的なカジノ運営業者のいくつかは、仮に東京にカジノがつくられた場合、5千億〜8千億円を投資すると宣言しているので、それなりの規模にはなるだろう。
現在、日本のカジノに関する論議は「カジノを建設する」という方向に偏り過ぎていて、「中身をどうするか」というほうには向いていない。私はそれに危機感を持っている。カジノで使用されるゲーム機器にも国際的な検定基準があるが、それを採用してもしなくてもよいことになっている。規格の内容は主にセキュリティーに関するもので、例えば大当たり確率などの規格は、その国の法律に準拠することになる。こうした部分の法整備もしていかなくてはならない。
実績のある外資の運営業者と日本企業が組んで展開することになる可能性も高いが、一言で「組む」といっても難しく、単なる場所貸しとジョイントベンチャーでは全く意味合いが異なってくる。
自ら出資する覚悟がある企業は、現状では大手のパチンコ系業者以外はあまり見当たらない。場所貸しだけだと、単にデベロッパーとしてテナントにリースしているのと何も変わらないし、大きな儲けは期待できない。リスクを負って資金を投入し、特定目的会社(SPC)などを作って、収益を上げていくというところまで覚悟のある事業者がどれだけいるかが問題だ。
数社で出資してコンソーシアムを作り、貢献度合いに応じて利益を分配していくモデルにしないと、日本企業が本当にカジノビジネスにコミットメントしたことにはならない。外資が5千億円規模の投資をするなら、日本企業側も少なくとも同程度の額を出資して50対50にするような形でないと、産業として根付かないだろう。
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