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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

インドネシアの急速な経済成長を支える地熱発電

ASEANパワー

ASEANの本部が置かれるインドネシア。域内最大の人口を誇り、経済も拡大し続けるこの国の発展に多くの日系企業が寄与している。その中で経済成長を支える電力事業に進出する総合商社の丸紅に話を聞いた。

 

インドネシアが地熱発電に着手した背景

 

 急激な成長を続けるASEAN諸国にとってエネルギーの安定供給は重要な課題である。域内各国の電力需要に応えるため日本の企業も各地で事業を展開しているが、安定供給を優先させるために、現在でも発電の調整能力の高い火力発電が中心となっている。当然ながら今のトレンドである再生可能エネルギーの普及は進んでいない。

 ところがインドネシア政府は、再生可能エネルギー、特に地熱発電への後押しを進めている。

 インドネシア政府が地熱にこだわるには訳がある。もちろん、環境にやさしい未来のエネルギーの選択という面もあるが、一番の要因は国内事情にある。

 インドネシアは産油国として知られ、かつては東南アジア唯一のOPEC加盟国であったが、1997年のアジア危機をきっかけに、その翌年の98年、長期独裁政権であったスハルト政権が崩壊。開発投資が不振に陥ったことで産出量は減少した。

 一方で、改革が進んだことで個人消費の拡大とともに原油の国内消費量は増大。産出を消費が上回ることとなり、2004年には一転して石油の純輸入国へとなった経緯がある。

 原油のみならずガス田なども抱える資源国家であるが、石油資源への依存を減らし外貨獲得のために産出する資源は積極的に海外へと輸出しているというわけなのだ。

 そのため輸出はできないが、半永久的に使用可能なエネルギーとして注目されたのが地熱エネルギーだ。

 「世界最大の地熱資源を有する」(丸紅広報部)といわれるインドネシアは、日本と同様、環太平洋火山帯に含まれる火山国であり、活火山も多数存在している。また地震が多いということでも日本と同じ問題を抱える。

 インドネシアも含めて中東・アジアの発電事業と日本の総合商社である丸紅がかかわったのは、今から40〜50年前にさかのぼる。当時はインドネシアに限ったことではないが、タービンなどの発電機器の輸出に携わっていたのが始まりだった。

 ところが、最近では商社も直接、事業経営に乗り出してきたため、インドネシアの発電事業にも深く参画するようになったのだ。

 現在、スマトラ島の南スマトラ州にあるランタウ・デダップ地熱資源区において、地元のエネルギー会社とフランスの世界有数のエネルギー会社GDFスエズと共同でプロジェクトを進める。発電設備容量では220メガワット規模になり、16年の商業運転に向けて動き出している。売電先もインドネシア国有電力会社PLNと30年間の売電契約を結んでいる。

 地熱発電を具体的に説明すると、掘削によって地下深部から吹き出す天然の水蒸気でタービンを回し発電を行うフラッシュサイクルという方式で、当然のことながらCO2の排出が火力発電の20分の1程度と少ないエネルギーとして知られる。

 地熱発電に使う蒸気タービンなどの発電機器は「日本の技術がもっとも進んでいる」(広報部)といわれているそうだ。その将来性にインドネシア政府も主導する電源開発計画での一翼を地熱に託す。

 また、もう1つ別のプロジェクトも動き始めている。ジャワ島西部のバンドン郊外にあるパトハ地熱発電所1号機の案件では、丸紅は東芝と連携して地熱蒸気タービン、発電機を含む設備一式と建設工事を受注し、総出力約55メガワットの発電所ができる予定だ。東芝は発電設備に関して世界で約25%ものシェアを占める世界のトップメーカーであり、技術力への評価も高い。

 ほかにも、住友商事がインドネシア・スマトラ島などで地熱発電プロジェクトに参画しており、日本企業の活躍が目に付く。

 

インドネシアの地熱発電開発における日本企業の強み

 

 ASEAN諸国を代表とする成長著しい新興国にとって、インフラの整備はもちろんのこと、電力の安定供給など事業運営に関しては、いまだ日本に一日の長がある。

 丸紅に関しても今までの発電所建設のプロジェクトマネジメント能力はもちろん、世界各国で電気事業を行ってきた経験値は大きな強みになっている。インドネシアでは地熱発電のほかに石炭を燃料にする発電所を2つ稼働させており、他のASEAN諸国でもフィリピンで4カ所、タイとシンガポールでそれぞれ1カ所ずつ発電事業に参画している。

 丸紅単独で、ASEAN域内において合計3千メガワットほどの発電容量を数え、世界にまで目を広げると約1万メガワットを超える発電量を誇る。これは、四国電力や北陸電力と同程度というから商社単独の発電量としては驚くばかりだ。

 原子力発電所の止まった状況の日本にとっても、海外で培ったノウハウを生かしたいところだが、なかなか難しい。インドネシアと同じ火山国であるだけに、地熱資源を有効に活用し、現在の再生可能エネルギーの中心である太陽光や風力だけでなく地熱発電ももっと拡大させたいところであるが、現在のところ日本ではあまり進んでいないようだ。丸紅でも、

「北海道の上川郡などで調査に携わっていますが、事業としてはまだまだというのが実情です」(広報部)とのこと。

 一方、インドネシアでは今後も地熱資源の有効活用は積極的に進む勢い。先に述べたように、急速な経済発展と石油輸入国に転じたことで今後ますます再生可能エネルギーである地熱発電開発が進められる。

 約2万8千メガワット相当の地熱発電ポテンシャルを持つこの国で、地熱発電はわずか1千メガワット程度の活用にとどまっている。インドネシア政府も25年までに10倍の1万メガワットまで地熱発電量を拡大する計画だという。

 技術、ノウハウの実績を積み上げている日本企業にとっては、今後も期待できる分野のようだ。

 
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