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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「人が喜ぶことをやることが仕事を何倍も楽しくします」―山下誠司 (アースホールディングス取締役)

ゲストは全国に240店舗(スタッフ3,000人)を展開する美容室「EARTH」取締役の山下誠司さん。24歳で旗艦店の店長になり、現在は関連会社のサンクチュアリ代表も務めます。多数の社長を輩出する山下さんの趣味はズバリ「仕事」。その経営姿勢について伺いました。構成=大澤義幸 photo=西畑孝則

山下誠司 ・アースホールディングス取締役プロフィール

山下誠司 (アースホールディングス取締役)

(やました・せいじ)1976年静岡県生まれ。19歳で美容師の道へ。24歳で美容室「EARTH」銀座店店長に。26歳でサンクチュアリ設立。31歳で年収1億円を突破。現在はアースホールディングス取締役、サンクチュアリ代表取締役を兼任。

自ら率先して行動することで周りも認めてくれた

佐藤 今日は朝7時から美容室「EARTH」大崎店(東京都品川区)におじゃましています。久々の早起きで父親(経済界創業者)の代の早朝会議を思い出しました。

山下 朝早くからありがとうございます。美容業界はどこも夜型ですが、EARTHでは20年ほど前に朝型の業務体制に切り替えました。きっかけは、カレーハウスCoCo壱番屋創業者の宗次德二さんが、「毎朝3時55分に起床し、4時10分に出社してお客さまアンケートに目を通して掃除をする」と話していて、見習おうと思ったんです。

佐藤 デキる経営者は朝の時間を有効活用されますね。山下さんも19歳で美容業界に入ってから休みなく働きっぱなしだそうですね。苦労もされたでしょうが、それでも仕事が好き、楽しいと言えるのは素敵です。

山下 人の役に立つこと、仲間が喜ぶことだと続けられますね。業界に入りたての頃は、自分のために、とにかく這い上がろうという気持ちでした。24歳で銀座店の店長になったときも、己の未熟さゆえにスタッフに高圧的な態度を取っていましたが、それでは経営はできないと気づいた。そこで何をしたらスタッフが喜んでくれるかを考えて、朝一番に出社して皆が嫌がるトイレ掃除をしたり、駅でチラシを配ったりしました。他にも、後輩に自らあいさつしたり、「さん」付けで呼んだり、他の店長がやらないことをやりましたね。

佐藤 それで周りの目や現場の雰囲気は変わりましたか?

山下 3週間もすると、僕の真似をするスタッフが出てきました。他にも、弊社はサービス業なので接客や敬語の講習に時間をかけていますが、僕が後輩に丁寧な態度を取っていると、後輩も自然と丁寧な接客ができるようになったんです。

佐藤 素晴らしい。体育会系の美容業界で上から押さえつけるのではなく、リーダーとして率先垂範で行動してお店を変えたわけですね。

EARTH東京・大崎店
東京・大崎店では、鏡にいろいろな髪型を重ねてカット後のシミュレーションができる

EARTHのリーダー教育はQSCの土台の上に成り立つ

佐藤 山下さんはEARTHをFC展開するサンクチュアリ代表を兼任されています。これまでに約40人の社長を輩出されていますが、一般スタッフと、社長や店長との育て方に違いはありますか?

山下 もちろんあります。店長や社長の教育は、QSC(クオリティー・サービス・クレンリネス)が土台になります。この教育なしに新しいサービスを考えても失敗します。例えば、カットを半額で提供するときに、店内が汚れていたり美容師の技術が下手だったら、佐藤社長はどう思われますか?

佐藤 安かろう悪かろうのお店と感じて、もう2度と行きません。

山下 そうですよね。でも、それがQSCを担保したものなら付加価値となり、話は変わります。あとは店長のネガティブな思考が行動に出ないようにする研修も行います。

佐藤 ネガティブな気持ちは周りに伝わりますしね。美容師さんも自信なせげに髪を切っていたら私も心配になります。穏やかに会話しながら切ってもらえると安心しますね。リーダー教育はEARTH創業者の國分社長から学んだものですか?

山下 國分からは経営姿勢や心構えを学びました。親でも言わないことを指摘し、忠告してくれるのはありがたいですね。もし店長になった後もダメな言動を取り続けていて、後輩から指摘されたらアウトです。

佐藤 そうですね。世間的には國分社長といえばラフなファッションでフェラーリに乗るなどの印象が強くて、スーツでおしゃれに決めている山下さんとは違うイメージです。

山下 そうかもしれませんね(笑)。実は國分も僕も派手な遊びが好きなわけではなく、サーフィンや野球をするのもスタッフとコミュニケーションを取るためです。現場のサロンワークでは目立たなくても、スポーツで頭角を現す人を店長に抜擢したこともあります。國分からは「これも大切な仕事だ」と教わりました。

佐藤 ゴルフも同じですね。ゴルフコンペでは、誰と誰を同じ組にすれば商談になりそうなどと考えます。

山下 僕は3年前に始めたばかりですが、ボールが林の中に入ったらフェアウェイに1度出すとか、グリーンを最短距離で狙えばいいわけではないところは、経営戦略・判断の良い勉強になりますね。

佐藤 そうですね。ぜひ今度ご一緒しましょう。それと、FC展開の店長はどう決めているのですか?

山下 FCといっても100%のれん分けなので、店長経験者がオーナーになります。EARTHが好きで入社してくる人、入社後に店長を目指す人もいます。条件として、お客さまの人気を重視します。スタッフを引っ張るにも必要だからです。あとは、本人の情熱ですね。

佐藤 どんな立場も、押し付けられたら長続きしませんしね。

山下 自分で決めたことは、どんな困難があっても乗り越えられるものですよね。これが仕事を楽しむ究極のコツかもしれません。

アースホールディングス山下誠司氏
「いつも仕事を自然体で楽しんでいる姿が素敵です」(佐藤)