経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「小型株集中投資」が効率的な資産形成に向く理由

 主婦や個人事業主、会社員など全国から約170人が参加する投資コミュニティ「ixi(イクシィ)」。「正しく投資を学んで、投資を手段として人生を充実させる」ことを目的に、講座やメンバー同士の情報交換などを活発に行っている。

 特長は小手先のテクニックではなく、普遍的な投資の原理原則を学ぶことで、自らの判断で投資を実践できるようになることを謳っている点だ。参加者の大半が投資初心者だが、1年間で資産を10倍近くに増やした者や、学生の身分ながら数カ月で数千万円単位の利益を確保した者もいるという。

 主宰者は株式会社キープライム代表の遠藤洋氏。大学在学中に手元資金30万円で投資をスタートし、最大年間利回り+600%、1銘柄への最大投資益+1767%というハイパフォーマンスを達成した人物だ。自ら失敗を繰り返した経験を元に、投資の本質と人々の金融リテラシー向上のためにコミュニティを立ち上げたと語る。

 遠藤氏が注力するのは、時価総額300億円程度までの小型株への集中投資だ。失敗と試行錯誤を繰り返した自らの投資経験を元に、「小型株への集中投資こそが効率よく資産を増やす最強の道」という結論にたどり着いた。

 「簡単な知識も持たずに株式投資を始めて失敗する人が日本にはあまりにも多いので、どうにかしないといけません。個人が金融リテラシーを持って、自分で判断する力を身に付けてもらいたいと考えています」と、遠藤氏は言う。今回、同氏の投資手法や、銘柄選びで意識する点などついて聞いた。(吉田浩)

取材協力者プロフィール

遠藤洋・キープライム代表
遠藤洋(えんどう・ひろし)東京理科大学在学中、20歳の時に手元資金30万円で投資をスタート。卒業後にベンチャー企業に就職後、独立。株式会社キープライムを設立する。小型株集中投資のスタイルで、最大年間利回り+600%、1銘柄への最大投資益+1767%というハイパフォーマンスを達成。投資コミュニティixiを主宰し、これまで1千人以上に指導。「勝てる投資家」を数多く輩出する。

さまざまな投資で試行錯誤を繰り返す

―― 遠藤さんが投資を始めたキッカケは何ですか?

遠藤 ヒマだったからですね(笑)。大学3年生になる前の春ごろに、時間があったので新しいことを始めようと思って。予備知識は全くゼロでしたが、最初はFXでとりあえずドル円を買ってみました。

―― 勘だけでスタートしたのですか?

遠藤 完全にノリで証拠金30万円くらいから始めました。取引に使われる単位すら分からず「1」とか「10」とか買えるので、「10」を買ったのですが、それが10万ドルを意味することも後から知りました。

―― FXの戦績はどうだったのでしょうか・

遠藤 社会人になるくらいまで続けて、最終的にはトータルでプラスになりました。でも就職してからは、取引のために常にスマホを見なければいけないことが自分のスタイルに合わないなと気付いて、ほどなくしてやめました。

―― 就職するときには既に投資スタイルを確立していたのですか?

遠藤 全く確立していませんでした。就職してからもFXだけでなく株式投資や先物取引やよく分からない怪しい投資案件など、いろんなものに手を出していました。

―― 相性の良かった投資案件はありましたか。

遠藤 FXは何かイベントがあったり、値動きが一方通行になったりするときは比較的短期間で利益が出ましたね。英国のユーロ離脱に関する最初の国民投票や、米大統領選挙の時などは張り付いてトレードしていました。株式投資では、就職した会社で手掛けていたスマートフォンアプリの新規事業や広告が伸びていたので、そこに投資して利益を出しました。

なぜ、小型株集中投資なのか

―― 最終的に小型株集中投資に行き着いた経緯を教えてください。

遠藤 独立してしばらく経ってから、他の人に投資の手法を教えることになったのですが、そのとき生徒さんだった70歳ぐらいの高齢者の方が100銘柄近く保有していたんです。でも、自分が持っている銘柄を把握していなくて「これは意味があるのか」と思いました。

 また、自分の投資成績を振り返っても、いくつか株を保有する中で急激に資産を増やせたのは一銘柄か二銘柄のお陰でした。それ以外はトントンか、ちょっとプラスぐらい。だったら伸ばしてくれるところに集中投資したほうが良いなと。2014年ぐらいのことですね。

―― 当時はどんな銘柄が伸びましたか。

遠藤 2010年くらいにガラケーからスマートフォンに移行していた時期には、スマホ広告関連の銘柄が伸びましたね。その少し後にはDeNAやグリー、コロプラなどスマホゲーム関連株が成長しました。15年以降はゲーム関連がいったん落ち着いて、オンライン健康食品や美容系通販のサブスクモデルが伸びていきました。他の業界では、一時的ですが「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスや鳥貴族ホールディングス、串カツ田中ホールディングスといった外食産業も伸びました。

小型株集中投資で銘柄を見極めるポイント

―― 投資する銘柄を探すときは、伸びている業界から見るのでしょうか。それとも個別銘柄から探すのでしょうか?

遠藤 2つありまして、1つは自分や周囲の人々の実体験から判断するパターン。たとえば、ペッパーフードサービスの場合はいきなり!ステーキの店舗前の行列を見て投資を決めましたし、RIZAPグループはテレビCMを見てすごいサービスだと思って買いました。このように実体験に基づいて投資を決めた銘柄は、2~3年スパンで見ると確度が高いです。

 もう1つのポイントは、創業社長が現役で活躍していて、業界全体や手掛けているビジネスが伸びている会社ですね。

―― なぜ、創業社長のほうが良いのでしょうか。

遠藤 自社株をしっかり持っているからですね。さらに投資先として理想的なのは、社長が筆頭株主として50%以上持っているところです。この場合、自社の時価総額を増やすことが社長自身の資産を増やすことにつながるので、投資家と経営者の利害が一致するんですよ。

 思い出したのが、僕が最初に就職した会社の社長の言葉です。その人は自社株を70%以上持っていたのですが、「創業社長とサラリーマン社長では全く違う。サラリーマン社長は自社株を持っていないから、退職するまでに無事に過ごして退職金を満額もらうことがゴールになっている。だから保身に走りがちで、投資家と見ている方向が違うので利益相反することがある」と言っていたんです。そのことが腹落ちした感じです。

アナログ情報も重視

―― ただ、自分の利益を増やすために変な方向に突っ走る経営者もいると思いますが、その見抜き方は?

遠藤 大前提としてビジネスがしっかりしているということがありますが、経営者の人物像や思考、価値観を見るのが非常に大事です。具体的にはメディアのインタビュー記事や本を出していれば、それらをすべてチェックします。自分が理解できないものには触らないのが鉄則です。あと、直観的になんだかこの社長は違うな、という場合は投資しません。

―― それは言語化できない部分ですか?

遠藤 そうですね。極端な話、人相とか(笑)。ホームページの雰囲気なども。

営業利益より売上伸び率を重視する理由

―― アナログな要素も大事なわけですね。一方、デジタルな指標で重視しているのはどこですか?

遠藤 売上伸び率です。営業利益を気にする人もいますが、僕の場合はあまり気にしません。儲かるビジネスモデルで売り上げが伸びていれば、利益はいつでも出せるんですよ。まだまだ伸びる段階の会社であれば、利益を残さず先行投資に回すものですが、営業利益を出すということは、その分を使い切れなかったと判断します。変に営業利益を出す会社よりは、赤字にならない程度かギリギリ赤字にして、人材なり広告宣伝なりに投資して売り上げを伸ばす方向に向かっている会社のほうが将来性はあると考えます。

―― 大企業に長期投資する場合とは違うわけですね。

遠藤 違いますね。自分も会社を経営しているので分かりますが、利益を残すということは税金を多く取られるということ。たとえば1億円利益が出たとしても、期をまたいでしまえば税金で取られて7千万円しか使えない。1億円の使い道があるなら、将来に向かって投資したほうが得なんです。その経営スタイルの筆頭がアマゾンです。営業利益は低いままで、上場してから過去20年以上一度も配当を出していません。配当を出すのも良いのですが、配当を出すイコール、お金の使い道がなくなったと見なします。

投資成功の秘訣は「株価ではなく世の中を見る」

―― 株式投資の初心者がやりがちなミスはありますか。

遠藤 友達に勧められたりSNSなどで話題になっていたりする会社の株を、よく分からず買って失敗するというのはありがちですね。あとは株価が上昇しているときにまだまだ上がるんじゃないかとか、逆に下がっても戻るんじゃないかという根拠のない思い込みもあります。

―― ベテラン投資家であれば経営者と接触する機会などもあるかもしれませんが、そうした機会がない初心者でも勝ち筋は見つけられますか?

遠藤 むしろそちらのほうが固いというか、原理原則に沿った投資だと思っています。例えば最近友人が家を買ったのですが、新型コロナの影響によって地方で住宅の売り上げが急に伸びています。そこで、地方で住宅を作っている会社の売り上げが伸びるのではないかと推測して、有望銘柄を探すということもできます。

―― それは先ほど言っていた「身近な実体験から投資先を探す」にあてはまるわけですね。

遠藤 そうですね。多くの人は投資をする際に、まず株価を見て上がりそうな銘柄を探すところから始めるのですが、僕は上がる銘柄を見つけたければ「株価ではなく世の中を見ましょう」と言います。世の中や人の流れの変化、新しい商品やサービスを見たほうがいいと思います。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析をどう使うか

―― 株の入門書などによくあるチャートの見方などはあまり気にしなくても良いのでしょうか。

遠藤 時間軸によって異なると思います。投資判断ではファンダメンタルズとテクニカルと言われますが、テクニカルというのは要するに目先の需給を表すものです。風の強さによって海の波が上がったり下がったりするのと同じで、目先の需給によって株価も上がったり下がったりする。一方、ファンダメンタルズは中長期的な価値を表しています。

―― ファンダメンタルズ重視で投資する際、小型株の場合はどれくらいの期間で結果を判断するのですか。

遠藤 半年間から3年間のイメージです。

―― テクニカル重視の時はもっと短期なわけですね。

遠藤 ある銘柄をどのタイミングで買うか、あるいはどのタイミングで売るかを判断するのに使います。たとえば時価総額300億円ぐらいの会社をファンダメンタルズから判断して目標値を1千億円くらいに定めたとして、どの辺りで売るのが一番良いか判断するような場合ですね

―― 遠藤さんの場合は売却のスパンは2~3年ぐらいが多いのですか?

遠藤 そうですね。半年後くらいでも良い場合はありますが、急激に成長している会社はその期間でなかなか結果が出なかったりもするので、大体2~3年後のイメージで投資対象を決めます。ただ、時価総額の目標を1年以内に達成してしまった場合などは、そこで売ることもあります。

 あとは業種にもよりますね。たとえばゲームなどは人々が飽きるのが早いので、流行っているときは大きく成長しますが飽きられると下がるのも早い。外食産業もそれに近いイメージです。

―― ゴール設定は最初にしておくわけですね。まだ伸びそうでも目標に到達したら例外なく売るのでしょうか。

遠藤 そこが難しいところで、たとえば3年後に時価総額1千億円を目標にしていて、1年後にある程度まで達していても、会社や世の中の状況次第では新たに情報が更新されることもあります。そこで伸びしろが見えるようなら目標値そのものを変更することもあります。

コロナ時代、アフターコロナ時代に有望な業種、企業とは

―― コロナ時代に注目している業種や銘柄はありますか?

遠藤 今伸びているのは医療業界ですね。単純に製薬会社という話ではなくて、予防医療の分野に注目しています。あとは先ほど述べたように、地方で住宅を作っている会社やリモートワーク関連、インターネットネットコンテンツや通販など、在宅ライフを快適にする業界です。

―― リモートワークなどは今後定着するのかしないのかの分岐点にあるかと思いますが、その辺の見立てはどうですか。

遠藤 僕は定着すると思っています。自分自身も周りの経営者たちもオフィスを解約し始めていますし、リモートワークではできないと思われていた業務が意外とできることにみんな気付いてしまいましたから。対面は全くゼロにはなりませんが、縮小になっていくのは間違いないでしょう。

―― 飲食業界や観光関連についてはどうですか?

遠藤 飲食に関しては難しいのですが、生活インフラに近い低価格の牛丼屋や立ち食いソバ屋やテイクアウトをやっているハンバーガー屋、デリバリーサービスなどは残るのではないでしょうか。一方、団体客メインの居酒屋などは厳しいでしょうね。観光についても旅行に行きたい欲求は人々の間に溜まっていますが、団体旅行に関わるところは厳しくなるのかなと思います。

※本記事は特定業種や銘柄への投資を推奨するものではありません。株式投資はリスクを判断した上、自己責任でお願いいたします。

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