1976年東京大学法学部卒業、野村証券入社。97年取締役、2000年専務。01年野村ホールディングス(HD)取締役を兼務。02年野村アセットマネジメント社長、03年野村HD副社長就任(兼任)。09年野村アセットマネジメント会長、投資信託協会会長。13年7月より日本証券業協会会長に就任。
証券市場活性化へ NISA普及で東奔西走

10月4日の「投資の日」に先駆けて、13年9月に東京国際フォーラムで街頭PRを行った
今年1月から個人投資家向けの少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」がスタートした。NISA口座では、年間100万円以内の新規投資に対する配当や値上がり益に対して税金が掛からないメリットがある。足元の相場は、アベノミクス効果から株価は上昇基調にあり、NISAを開始するのに絶好のタイミングと言える。
制度普及の旗振り役を担っているのは、日本証券業協会の稲野和利会長だ。
「株価はずっと上がり続けるわけではありません。マーケットの変動にかかわらず、多くの国民が少額投資でコツコツと資産形成を行うことができる環境を作りたいです」と話す。
NISAのモデルとなった英国版のISAでは国民の4割が利用するなど制度が浸透しており、既に恒久化されている。一方、NISAは10年間の限定的な措置となっている。
「制度の恒久化や拡充をはじめとして国民が利用しやすい仕組みへの改善を期待したいですね」
協会はNISAのイメージキャラクターに女優の剛力彩芽さんを起用した。テレビCMやリーフレット、パンフレットなどを通して、証券会社でNISA口座を開設するメリットをアピールしている。

そのほか、全国各地でセミナーや講演を実施。メディアへの露出を増やすことで、NISAの周知に向けた取り組みを強化している。
NISAの口座開設申請件数は、2013年10月1日時点で約358万口座に達した。稲野会長は「既存顧客への営業強化が口座数の増加に寄与しています」と指摘するが、本番はこれからだ。
若年層など、今まで投資に興味のなかった人たちをいかに取り込むかが大きな課題だ。NISAの認知度は、確実に上昇している。稲野会長は「制度の普及のために、全国どこへでも飛んでいきますよ」と意気込んでいる。
職員との会議は和やかに進み、時折笑いがこぼれる
13年7月の証券諸団体新役員披露懇談会で、
麻生太郎副総理兼財務・金融担当相と
13年11月に開催されたアジア証券人フォーラム(ASF)
東京ラウンドテーブルのレセプションの模様
「『貯蓄から投資へ』のシフトは簡単ではありません。
しかし、NISAが浸透すれば、着実に個人金融資産が投資に振り向けられると思います」
「証券知識普及プロジェクト」のマスコットキャラクター「とうしくん」と
多くの資料を読み込み、迅速な判断を下す
全国を飛び回る多忙なスケジュールをこなすには、
秘書とのコミュニケーションが大切だ
「株価の変動に左右されずに、コツコツと資産運用をする個人投資家の裾野を広げることが責務です」
(東京証券会館内の情報画面前)
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