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本田宗一郎の名言 「不景気だと騒ぐより、このチャンスに自分を磨け」

本田宗一郎氏

本田宗一郎

本田宗一郎
ほんだ・そういちろう──1906(明治39)年、静岡県生まれ。本田技研工業創業者。二輪から四輪の進出を決めるなど、戦後を代表する経営者。91(平成3)年没。

本田宗一郎の名言 「満つれば欠ける」世の習いだよ

 不況だ、不況だ、と騒いでいるけど、この世の中に、景気、不景気があるのは当たり前のことなんだ。振り子が右に振れれば、次は左にゆれる。それでダンダン良くなるんだよ。僕に言わせれば、悪くなったからと言って慌てるのは本来おかしいんだ。よく「治にいて乱を忘れず」というけれども、不況で騒ぐことより景気の良い時に何をやったかが、問題だ。

 これは、とくに若い人に言いたいんだけど、僕らの若い頃も「いまどきの若い奴らは…」とよく言われたよ。でも、こんなものそれほど気にすることはないよ。結局、若い時に何をしたかが大事なんじゃないか。

 まぁ、僕の現在があるのは若い時に職を覚え込んでしまったからだと思う。一般に親というものは、とかく学校に入れるにしても仕事につく時も、その時の“花形”ばかりに目を奪われがちなんだ。

 これは大人が計算づくで、物事を考えたがる悪い傾向だ。まぁ、大人の言うことに従うのも悪くはないけど、若い人は自分を大切に考えることの方がもっと大事だろう。つまり、自分の得意な道を見出して進むことが重要なんだ。

 「得手に帆を揚げて…」とはよく言ったもので、得意な道を一生懸命に打ち込んでおりさえすれば、チャンスは必ずあるよ。一生のうちに好景気、不景気は必ずめぐってくる。そんなことにジタバタしても、仕方がないよ。「満つれば欠ける世の習い」ともいうだろ。不幸を乗り切ってこそ幸福もある。人間の幸せも景気、不景気も同じようなものさ。

 若い者は体験が少なく、経験も浅いから、よく分からないこともあるだろう。どうしても合わないと思えば、これは仕方がないんだから、やり直せばいい。それができるのが若さの特権というものだよ。この若さ、というものは人生に二度ない素晴らしいものだ。不況だ、なんて嘆く必要はサラサラないし、政府に何とかしてくれ、とすぐ尻を持ち込む大人たちの真似なんかしてもらいたくないねえ。

 それから、これだけは言っとくけど若いうちに苦労することを避けちゃいかん。肉体的にも精神的にも耐えられるのは若いうちだ。若い時にキレイな仕事に就いているより、苦労の多い、人の嫌がる仕事をしてきた方が、幅のある人間になる。これだけは間違いないよ。だから、大いに頑張ってほしい。ただ、人に迷惑をかけるような行為は若さの特権でも何でもない。これはバカ者だ。

 不況だ、不況だと騒いで、政府とか財界とかに注文を付けたがるけど、人間たまには、自分自身を省みることも必要だよ。とくに経営者はそうじゃないかな。人間というものは常に自分が正しいと思いがちなんだね。ところが、このモノの見方をしていたら企業は成り立たない。たまには自分自身、自分の会社を客観的に見つめる必要があると思うなぁ。

 

本田宗一郎の名言 「見る」ではなく、「観る」が大事

 不況、不況と言う前に、もう一度自分自身を、あるいは経営者なら会社を「総点検」してみるといい。きっと、何か忘れているものがあるよ。

 モノの見方の話が出たついでに、僕たちは常に「見学」でなくて「観学」する姿勢が必要だと思うな。

 昔の話になるけど、昭和28年にホンダが埼玉工場を建設した直後に松下幸之助さんが「見せてくださいよ」と言うのでご案内したことがある。この時は一般の人のように機械のこと、クルマ製造の技術などを説明してあげたんだ。この時、松下さんは「私は技術者じゃないから、よく分かりませんな」と言っていましたよ。ところが、じっくり見て回った後、たった一言、「本田さん、この商売は儲かりますね」とハッキリ言ったんですよ。

 これはね、松下さんは確かに車のことは分からないだろうけど、機械の配列、人員、作業工程の流れなんかを素早く読み取った言葉だったんだね。この態度は、僕たちも見習うべきだと思う。

 まぁ、いまが不景気だといったって、高度成長の消費が最高に伸びた時代のイメージを早く取り除いて、新しいスタートだと考えればいいんで、その意味でもとくに若い人の活躍に僕は期待したいんだ。(談)

 
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