主に神奈川・東京エリアで分譲マンションの内部造作大工工事一式請が基幹業務。生きた住宅施工を念頭に、施工図作成、使用材選定、施工人員配置、品質確保、施工原価低減、安全確保を図る。
── 分譲マンションの購入者にとって最も目につく部分であり、不動産登記面において、区分所有法で唯一購入者自身の名義で登記される「仕上部分」を施工するのが造作工事。この繊細で職人技が要求される世界で、大手ゼネコンからこぞって指名され、仕事の8割が特命受注とか。通常、競争入札で決定される世界では驚異的です。
剱持 当社はこれまで営業マンを置いていませんでした(現在は置いています)。実績イコール営業だという考えでやってきたからです。これまで5万戸以上の施工実績で、高品質低価格であって、10年たっても瑕疵の発生しないものを、無事故無災害で、指定された期日までに完成させることをモットーに経営を推進しています。
── 三井住友建設関連の仕事が多いそうですね。
剱持 ええ、その他、大手建設会社さんが中心です。東京都と神奈川県が施工エリアです。
── 仕事の特徴は。
剱持 従来は現場で加工切断作業していたものを、設備の整備された工場内で、高精度の断面加工とプレカット加工したものを、仕上がり寸法で購入。単価的に高額な材料を必要最小限の購入に抑え、総額で従来と同程度の金額で調達します。このため現場で端材や不要材の発生が極めて少なくなっています。また創業以来、危険な作業を現場に持ち込まないように、例えば自社独自開発の工具「ランナーカッター」により、危険作業の防止、省エネ、粉塵公害防止、騒音防止、作業効率の向上を図っています。
── 剱持さんご自身が、かつて田中角栄元首相が勤めていた井上工業で修業された〝職人〟だからこその視点ですね。
剱持 私は元々大工で、こういうものがあればいいなというアイデアを実現してきました。マンションや住宅は、一世一代の買い物です。だからこそ、作り手が私利私欲でやっていたら、巡り巡って自分に返ってくる。購入者も、建設会社さんも、当社や職人にとってもいいと思うことをやり続けないと。私が常に指針とする日蓮宗の教えでもあります。社名も日蓮宗の紋章である橘から取っています。零細企業の経営は、変化にどう対応するかが最も重要と思って経営しています。
【会社データ】
タチバナ
設立●1967年7月
資本金●2千万円
売上高●9億円
従業員●9人(直庸技能職人数60人)
所在地●東京都東久留米市