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「1つの作品を世界で販売 できるようなビジネスモデルを 構築していきたい」--石坂敬一(ワーナーミュージック・ジャパン会長)

石坂敬一氏

石坂敬一(ワーナーミュージック・ジャパン会長)

石坂敬一(ワーナーミュージック・ジャパン会長)

統計開始以来、初の世界一となった日本の音楽市場

 日本レコード協会の調べによると、日本の音楽ソフト総生産金額は、1998年がピークで6075億円。12年は3108億円。これにはオーディオレコード(大半はCD)と音楽ビデオが含まれており、音楽配信は含まれていない。この15年でほぼ半減したことになる。とはいえ前年実績を10%上回った。さらに国際レコード産業連盟が発表した12年の音楽市場の世界統計によると、日本は米国を抜き世界一の市場規模になった。CDなど音楽ソフトパッケージや配信サービスなどの売上高の合計は約43億ドル。73年の統計開始以来で初めての快挙という明るいニュースもある。

 12年が好調の理由を、石坂敬一会長は次のように分析する。

「1位になったのは、日本の文化が〝あれもこれも〟だからではないかと思います。英米は〝あれかこれか〟文化。新しい物が出ると、そちらへ移行する。音楽がデジタルになるとCDは売れなくなる。日本はデジタルも増えてきたけど、CDも売れています」

 日本でCDが売れているのは、アイドルの存在が大きいのだという。

「『AKB48』や『嵐』などのアイドル人気で売れ行きが良かったのと、『Mr.Children』などベテランのベスト盤の発売が中高年層の需要を喚起した。過去の名曲を歌った徳永英明さんのアルバム『VOCALIST』も大ヒット。こうしたカバーアルバムもよく売れました。ベスト盤やカバーアルバムが売れるのは、音楽の聴き方が〝つまみ食い〟的になったからでしょう。知っている曲がないと手を伸ばさない」

 今年上半期のシングルCD売上高は、これらアイドルが過半数を占めているという。テレビが地デジ化し、横幅が増え、画像が鮮明になったため、ビジュアルの良いものが受け入れられるようになった。視聴者が綺麗なもの、かわいいもの、美しいもの、セクシーなものを求めるようになった結果が現れたのだという。

「ただし日本には問題点もあって、デジタルの売り上げが欧米に比べて遅れている。ここを強化しなくてはいけない。また、かつて60年代には40%のシェアを持っていた洋楽が、今や15%。音楽の幅を広げる上では、カテゴリーやジャンルを改善して、もう少しバランスを取る必要がある。海外市場の開発も必要。不満は、音楽業界が資本力に欠けるところ。だから常に日銭を稼ぐため回転し続けなくてはならない。邦楽は常にヒットが求められる。洋楽は『世界の傾向を伝える』ことが大切なのです。今後日本は海外展開を強化することは必然の命題です。それから、DVDやブルーレイなどビジュアル製品の展開、つまり権利ビジネスを強化しなくてはいけない。加えて人材育成が必要です。これは各社小回りが利くので、それぞれ取り組んでいると思います」

美しき日本歌謡の進化型「ビジュアル歌謡」の新星、川上大輔

美しき日本歌謡の進化型「ビジュアル歌謡」の新星、川上大輔

世界展開の先鞭を付けたきゃりーぱみゅぱみゅ

 世界の音楽市場は約3兆円。日本を除くと、残りは2兆7千億円くらいあるのだから、ここを狙わない手はないと力説する。

 その良い事例として、同社所属のきゃりーぱみゅぱみゅがいる。デビューして3年だが、フランス・パリの街角では彼女の曲にあわせて踊り出す現象も起き、反響を得ている。

 人気の理由は、世界へ強い発信力がある「かわいい」という日本の発想と「原宿」文化の象徴的な存在となっているからだ。彼女のことを米国のジャーナリストが「音楽は最も新しい。世界のどこにもいない存在だ」と評したとか。来年2~6月には欧米の公演が控えており、彼女が先鞭を付けた形で、日本の音楽ビジネスもしっかり外貨を稼ぐ道筋が見えてきたとのことだ。

「これまでの音楽産業は若い世代が支えてきましたが、高齢社会を迎え、これからは中高年のマーケットも重要になってきます。40~64歳までの人口は4380万人、40歳以上ということで見れば7800万人もの大きな市場がある。こういう分野をターゲットにした大人ミュージックが必要です。高齢社会はマイナス面がクローズアップされることが多いですが、日本はこの面では世界の先取りをしているということです」

 往年の人気歌手やバンドの名曲を集めたCDがヒットしており、ワーナーミュージック・ジャパンも昨年4月からジャズの名盤を1千円で順次発売し、計70万枚のヒットになっているのが好例だ。

「どこまでできるか分かりませんが、将来は米国のレコード会社のように1つの作品を世界30~50カ国以上で販売できるようなビジネスモデルを構築していきたい」

 10年にユニバーサルミュージックの会長を退き、相談役になった。後進に道を譲ろうと思っていた矢先の11年、古い友人からの連絡で、ワーナーミュージックのトップ就任要請を受け、「最後の仕事」と会長に。

 大きな夢の実現に力を注ぐ石坂氏だ。

 
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