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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

拡大するRTD市場で存在感を高めるサントリー酒類の実力

山田眞二氏

少子高齢化を背景に、国内酒類市場のシュリンクが止まらない。特に若年層の“アルコール離れ”が顕著となっていることが酒類メーカーにとって頭の痛い問題だ。そんな状況を反転させるカテゴリーとして注目されているのがRTD(レディ・トゥ・ドリンク)と呼ばれる低アルコール飲料だ。

山田眞二

山田眞二・サントリー酒類常務

市場拡大が続くRTDとサントリー酒類の戦略

 プレミアムビール市場拡大の牽引役を果たした「ザ・プレミアム・モルツ」。市場縮小が常態化していたウイスキーを〝ハイボール〟の啓蒙で市場活性化に成功させるなど、国内酒類総市場の縮小に歯止めがかからない状況下で、1社気を吐いているサントリー酒類。

 そんな同社が、次代の注力商品として期待しているのがRTDカテゴリーだ。RTDとは、缶チューハイやカクテル缶等、栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料を指す。少子高齢化による国内酒類総市場の縮小が避けられない中で、現在、このRTDがにわかに存在感を高めている。

 実際、RTD市場は2001年に比較して、昨年は何と約2倍の1億2900万ケース(250ml×24本換算)にまで拡大している。好調の背景にあるのがアルコール度数8%以上のストロング系で「甘くない」製品が登場、ビール等他の製品を代替する食中飲用ニーズが増加したこと。さらには、並行してエントリーユーザー向けのアルコール度数3%未満の「甘くてやさしい」ライト系製品が市場に続々と投入され選択の幅が広がったことだ。酒類総市場の下支えにはアルコール離れが著しい若年層を獲得することが急務だが、その意味ではライト系がエントリー商品として浸透したことは大きい。

 それゆえ、将来的にもポテンシャルの高いRTD市場は唯一残された成長カテゴリーとも言えるだけに、ビール各社はもちろん酒造メーカー等も同市場に熱い視線を送っている。

 このカテゴリーの販売数量で圧倒的強さを見せているのがサントリー酒類だ。今期1〜5月の販売実績を見ると前年比108%の1873万ケースと期初の計画を4%上回り、さらにはRTD総市場をも3%上回る。

 RTDはストロング、スタンダート(アルコール度数4〜7%)、ライトの3セグメントに分けられるが、直近の13年の実績では、ストロング系、ライト系にハイボール缶を加えた新カテゴリーの販売数量が6600万ケースとスタンダード系をしのぐまでに拡大している。この新セグメントに有力商品を多数ラインアップしているのがサントリー酒類の最大の強みである。

 「RTDが拡大した主要因は飲用シーン拡大にあります。甘くないストロング系が発売されたことで、ビール類および焼酎類に代わる食中飲用製品としてRTDへの流入が顕著になっています。特にこの傾向はヘビーユーザーである40〜50代に多く見られます。酒類総市場から見るとビール類、焼酎類は一大ボリュームゾーンでヘビーユーザーも多い。総合的に判断してもRTDは将来の有望市場と考えています」(サントリー酒類の山田眞二常務)

 一方、エントリー層の獲得として大きな役割を果たしているのが「ほろよい」シリーズだ。

 RTDは、20代のエントリーカテゴリー出現率では約6割と、ビールの約4倍にも達する。一方、20〜40代の女性の〝一番好きなお酒〟という調査ではRTDが1位。さらに20〜40代の男性ではRTDは、ビールに次いで高い支持がある。この層に強い訴求力を持っているのが「ほろよい」シリーズ。

サントリー酒類の思惑通り、RTDで余裕の目標値クリア

 フォロー市場の中、同社の主力商品「ストロングゼロ」シリーズの販売実績は昨年2083万ケースと発売初年度の09年度の約3・5倍にまで拡大、今期の計画は2250万ケース(前期比108%)とするが、1〜5月までは対113%と好調に推移していることからクリアすることは間違いない。

 「食中酒戦略としての『ストロングゼロドライ』にフルーツ系の製品が加わり、この両輪がかみ合っています。また『ストロングゼロドライ』はプリン体、糖類、甘味料がゼロという機能を併せ持ったユニークな商品として、世の健康志向にもマッチしています」(同)

 30〜50代の男性にとってチューハイというと甘く食事に合わないというイメージが強かった。しかし「ストロングゼロドライ」は、それらマイナスイメージを払拭するに十分な製品として認識されたということだ。

 またエントリーユーザーに向けた「ほろよい」の今期の販売目標は対前年比101%の1150万ケースを見込む。1〜5月の3%以下のRTD市場では競合がひしめく中で、シェアが約56%とダントツの強さを見せている。

 〝最もよく飲むRTDブランド〟という質問に対し20代の女性の2人に1人、男性でも3割が「ほろよい」を挙げているという調査結果も同製品の今後の販売拡大に弾みをつける。

 「『ほろよい』はエントリー商品ということで、主軸は350mlとしてきましたが、発売後、4〜5年を経過し、最近では〝量を増やしてほしい〟という声も出ていますので7月から発売する限定商品では500mlのロング缶を投入します」(同)

 スーパー等の棚を見れば一目瞭然だが、コンペティターとなるRTD製品はキリンビールの「氷結」や宝酒造の「canチューハイ」くらいのもの。サントリー酒類の独壇場は当分の間続きそうだ。

(文=本誌/大和賢治)

 
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