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創立50周年に向けて 創造的イノベーションを--宮内義彦(オリックス会長・グループCEO)

宮内義彦氏

 「リスクを取ることでイノベーションは生まれる」と説明する宮内義彦・オリックス会長・グループCEO。今年も、資本参加や業務提携などを通じて国内外で事業の多角化を図ってきた。目指すのは、成長分野参入や「経済のサービス化」への対応による基盤強化だ。

宮内義彦(オリックス会長・グループCEO)

宮内義彦(オリックス会長・グループCEO)

国内外の成長領域に相次ぎ参入を果たす

―― 出資や買収などをとおして、成長領域への積極的な参入を続けています。

宮内 オリックスではかねてから、リスクを見極めて新しいことにチャレンジしていくことが伝統になっています。重要なのは新しいマーケットを開拓することで、2番手、3番手にはなりたくありません。同業他社が始めたから当社もやってみようというのでは、競争に勝ち抜くことはできないからです。

 今年6月には、バーレーン王国に本社を置く中東最大級の民間保険会社、メドガルフに出資しました。中東では民間保険が十分普及しておらず、これからの成長が大いに期待できるマーケットと言えるでしょう。

 そのほか今年に入り、欧州の資産運用大手・ロベコグループの買収や、モンゴルの大手金融グループ・テンゲルフィナンシャルグループへの資本参加を行っています。モンゴルには未開発の鉱物資源が多く、今後の成長に期待できる非常に面白い国ですね。

 国内では、今年5月に車載型医療機器のレンタル事業を行うフリールを完全子会社化しました。この事業を手掛けるのは日本では1社だけで、ユニークな企業です。しかし、われわれが参入していない未知の地域、分野はまだまだありますよ。

―― 現在、どういった事業分野に注目していますか。

宮内 新エネルギーの開発は、日本にとって最重要事項の1つです。当社は、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーに関する事業に力を入れてきました。2011年の福島原発事故もあり、太陽光エネルギーは一層脚光を浴びています。再生エネルギー事業の魅力は、どの企業も参入したばかりである点です。われわれもしっかり勉強しながらビジネスを進められるという利点があります。

 将来的には、風力や地熱に関しても商機が一層広がるでしょう。「これ」と思ったビジネスには、全社を挙げて関与していきたいと思っています。

将来的には女性や外国籍の役員登用も

―― 幅広い事業を展開するに当たっての課題について。

宮内 当社では、「デットからエクイティ、さらにオペレーションへ」というスローガンを掲げています。従来の貸付事業や投資活動に加えて、事業の運営を手掛けることで収益性を高めていく計画です。かねてから「経済のサービス化」が指摘されています。ハードそのものより、それに付随するサービスに対してより大きなお金が動く時代です。そこにわれわれが参入するのは当然の流れです。

 サービスを提供するに当たり、国際競争はますます激化すると思います。しかし、和食の繊細さに象徴されるように、日本企業のきめ細かいサービス力には高い価値があります。「クールジャパン」と銘打って日本のサービスや文化が注目されていますが、当社もソフト面での優位性を発揮していく考えです。

―― 10年後の事業展望と貴社を取り巻く環境をどのように考えていますか。

宮内 正直に言うと、これから当社がどうなるのか、どなたか教えていただきたいくらいです。事業形態によっては将来のビジョンをビビッドに語れるのでしょうが、金融の分野では、なかなか簡単ではありません。多角的な事業を展開する当社の場合は、特にそうですね。

 では「行き当たりばったりで経営を行うのか」と言うと、全くそうではありません。当社が約50年にわたって実績とノウハウを培ってきた金融事業から大きく外れることはないでしょう。抽象的な表現ですが、現在の事業基盤をベースに、新しい付加価値を作って、大きな収益を上げられるようにしていきたいと思います。そのためにも、現在は世界34カ国に進出していますが、今まで以上に地域的な広がりを持ちたいと考えています。

―― 今後はどういった地域への進出を検討していますか。

宮内 具体的な地域に関してはなかなか言及するのは難しいですね。ですが、少しずつでも広がりを持てるように努力する姿勢には変わりません。

 その姿勢の1つとして、当社の人材活用では「Keep Mixed」というスローガンを掲げています。年齢や性別、国籍を問わず多様な人材が〝ミックス〟され、前向きに働ける職場を作りたいと考えています。当社は女性の幹部登用を積極的に行い、シニア層の採用・活用にも力を入れ、早くからダイバーシティの実現を目指しています。

 将来的には、数多くの女性・外国籍の役員が活躍しているような職場環境の実現を希望しています。女性役員誕生という観点から言うと、私が思ったよりも若干スローな印象です。「早く上がってほしいなあ」というのが率直な感想なのですが。社員たちの奮起を望んでいます。

―― 来年創立50周年を迎えるに当たっての抱負を。

宮内 引き続き、高い成長が期待できる事業への投資に注力する方向へ、動いていきたいですね。やはり、新しいことへのチャレンジが重要です。

 今年の年頭所感で「不安定な外部環境下で『創造的イノベーション』を起こす」というスローガンを掲げましたが、簡単にはいきません。日本国内にはアベノミクスへの高い期待が続いていますが、経済成長の原動力は民間企業にあると考えています。政府に「あれしろ」「これしろ」と注文を付けるのではなく、まずは民間がリスクを取る姿勢を示すべきです。イノベーションは、リスクを取ることによって喚起されるのです。われわれも新しいビジネスを作り出すために、前進を続けていきます。

 
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