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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

人生の終末を彩る人材育成に取り組む(後編)--木村光希(おくりびとアカデミー代表取締役)

金の卵発掘プロジェクト

「金の卵発掘プロジェクト」とは将来の日本経済を背負って立つ人材を発掘し、日本を元気にするためのビジネスプランコンテスト。本連載では2013年の選考会で審査委員特別賞を受賞した企業について紹介していく。
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木村光希

木村光希(きむら・こうき)
1988年9月北海道札幌市生まれ。2011年札幌大学経営学部卒業、同年NK北海道入社。12年Noyukに移籍、13年株式会社おくりびとアカデミー設立、代表取締役となる。同年一般社団法人日本納棺士技能協会設立、代表理事となる。

技量を備えた人員に「納棺士」の称号を

 おくりびとアカデミーは2013年6月に創設し、同年10月より納棺士コースの受講生を迎え入れました。半年間のコースで、第1期生は既に卒業し、現場で活躍しています。現在は10代から50代までの生徒計6人が学び、9月の卒業に向けて努力しています。

 日本初の納棺士育成学校として徐々に認知度も上がり、資料請求や学校見学、取材等も増えています。通常の夜間コースに加え、短期間の昼間コースも随時開催し、遠方から学びに来られる方々にもご好評を頂いています。

 納棺の儀を行う納棺士の多くは葬儀会社のスタッフではなく、納棺の専門事業者に所属しています。いわゆる外注先として活動していることが多いのです。しかし、納棺士の定義は定まっておらず、資格制度も存在していません。

納棺の儀は真剣勝負

納棺の儀は真剣勝負。故人に思いを馳せながら精いっぱい務めます

 私は大切な故人との別れの場を任される人員の技量があいまいであるという事実に、非常に大きな疑問を感じていました。おくりびとアカデミーでは、一般社団法人日本納棺士技能協会を立ち上げ、納棺士の資格認定を独自に行うこととしました。一般的には「納棺師」と表記されることが多いのですが、あえて「納棺士」という表記を使っています。一定水準以上の技量を備えた人員に「納棺士」の称号を与えるとともに、新たな技術の伝授や心の在りようについても継続的に教育を行っていきます。いずれは納棺士のネットワークを全国規模で創出し、ご遺体処置のプロフェッショナルである納棺士の地位的向上も同時に図っていきたいと考えています。「納棺士」が公的な資格として認定されることが目標です。

介護・看護業界との連携を強化

 葬儀にかかわる者にとって重要な変革のひとつに、介護・看護業界との連携が挙げられます。現状では、「生かそう」とする介護・看護業界から、死を迎えた瞬間に葬祭業者へと担当が替わってしまいます。介護・看護業界の方は、自分が精いっぱいお世話をさせていただいた方が死を迎えた瞬間に、あっけなく自分たちの手を離れることに、寂しさや虚無感を感じられていることが多いことが分かりました。

 もちろん葬儀自体はプロである葬祭業者や宗教者のもとで行われるべきです。しかし、最期までお世話をしてくださっていた介護・看護の方々が、亡くなられた方の最期の旅立ちのお手伝いをしてくれるなら、ご遺族の心のケアにもつながるのではないでしょうか。

 われわれはこうした考えに基づき、アカデミーの校長に訪問看護会社を経営している人員を迎え、同時に信頼できる介護施設の経営者とも連携を築いています。また、葬儀を「最期のおもてなし」ととらえ、三越の伝説の外商マンとして永らく活動をされた伊吹晶夫氏をアドバイザーとして迎え入れ、ホスピタリティーの在り方も追求しております。

アジア最大の葬儀博覧会

納棺の儀を広く伝達することも自分の使命。アジア最大の葬儀博覧会にゲストとして招致されました

 私は海外で葬祭関連の博覧会やシンポジウムの場で、納棺の儀を披露させていただくことがありますが、反響は思いの外大きく、納棺の技術や作法、所作を取り入れたいという声を数多く頂きます。日本で培われた技術や作法が異文化の中に広がり、浸透していく。大きな責任を感じています。

 新しい活動としては、実際に納棺の儀を執り行う納棺事業の部署を立ち上げました。映画「おくりびと」のような納棺の儀を実践するとともに、卒業生の就職先としての役割も担っていきます。金の卵発掘プロジェクトでの審査委員特別賞受賞を期に、多くの方々からご支援をいただけるようになりました。今後も初心を忘れず、事業の発展と継続に尽力してまいります。

 
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