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高速バスを核に「移動ネットワーク」を構築してバリューイノベーションを起こす--村瀬茂高(ウィラー・アライアンス社長)

村瀬茂高氏(ウィラー・アライアンス社長)

村瀬茂高(ウィラー・アライアンス社長)

村瀬茂高(ウィラー・アライアンス社長)

ツアーバス事業と移動ネットワークが2本柱と語る村瀬茂高氏

 ウィラー・アライアンスは旅行業を中心とした複数の企業を傘下に持つ。高速ツアーバス事業のウィラー・エクスプレスと、交通機関をネットワーク化し移動ポータルサイトを運営するウィラー・トラベルが2つの柱。村瀬氏は大学時代からスキーツアーなどの旅行イベントを企画。旅行会社勤務を経て、1994年にウィラー・トラベル(旧西日本ツアーズ)を設立。格安長距離バスで不況時に急成長し、グループ売上高は109億円、従業員約350人。

「これまでツアーバスには高速ツアーバス(募集型企画旅行)と、高速乗合バス(路線バス)の2つがありました。これが昨年7月に国土交通省の省令改正によって、高速ツアーバスは8月以降『新高速乗合バス』に移行・一本化されます。これは私たちにとって大きなビジネスチャンスだと思っています」

 高速ツアーバスは旅行業法に基づき、ツアーを企画・主催する旅行会社が窓口となる。このため顧客の求める商品を作ることが容易。だが安全を担保するのは旅行会社の先にいるバス会社となる。一方、高速乗合バスは道路交通法に基づく公共交通機関のため、安全に対する備えがしっかりしているが、料金を自由に変えたり、需給による柔軟性がなかった。これが一本化により、両方のいいところを合わせた商品開発が可能になる。今後、各社から顧客ニーズに合うような商品が続々発表されるという。

 2010年10月に学識経験者、バス事業者、労働組合、旅行業者などの関係者から構成される「バス事業のあり方検討会」が設置され、貸切バスの安全性向上に向けた施策を検討してきた中で、高速ツアーバスの業態転換が決まり、今回の一本化となった。昨年4月、関越自動車道で起きた高速ツアーバスでの事故を受け、一本化への期間が短縮される中、村瀬氏は業界をまとめてきた。考え得る安全対策をすべて打ち、ネット活用と新サービスで成長を目指す。

 ウィラーは「バスの移動は疲れる」「古くさい」というイメージを払拭。高速バスをスタイリッシュな移動手段に転換させた。バスに可能性を見いだした理由は、その安さ。線路や駅、空港がなくても、日本全国運行ができる。「乗りにくい」「分かりにくい」というアナログっぽさがあったが、逆に可能性を感じたという。

 そこで1年目は低価格で商品を提供し、インターネットで簡単に予約できるようにした。2年目は座り心地のいいシートを搭載し、バス本体ハード面の改善を、3年目は乗務員などソフト面のサービス向上、4年目は快適で安全なバスという存在感のアップを図り、5年目は顧客が望む低価格、高品質を提供することを目指した。大都市と20万人以上の地方都市を中長距離バスで結び、各地方の交通機関との連携で全国の移動ネットワークを作る。PCや携帯予約、チケットレスを導入し、サービス環境を改善した。

ウィラーの〝ピンクのバス〟を手に持つ村瀬氏。左は同社の〝売り〟の座席

ウィラーの〝ピンクのバス〟を手に持つ村瀬氏。左は同社の〝売り〟の座席

交通インフラを連携してアジアネットワークを構想する村瀬茂高氏

 従来の高速バスとウィラーの大きな違いは、利用者のニーズによって座席シートが選べること。シートタイプは14種類。1台当たりの座席数を減らし、各座席の間をカーテンで仕切ることでプライバシーを確保。TVやDVDを各シートに設置し、飛行機のファーストクラス並みのゆったりしたシートや、リクライニングはもちろん、腰や背中に当たる部分の固さを変えて座り心地に配慮。コートやスーツを掛けるクローゼット付などのタイプもある。それでいてビジネスクラスでは関東―関西間で1万円を切る。これらの結果、今や高速ツアーバストップの位置にいる。

「人は移動することによる新たな出会いや気づきによって元気になる。多くの人が動けば、経済は活性化します。新しい手段、新しい方法ができることで、移動にイノベーションを起こすことが当社の最終目標です。ITのシステムを活用することで、コストダウンの余地はまだまだあります。新たな価値の創造こそが当社の存在価値だと思っています」

 村瀬氏は地方の路線バスとの連携も進めており、米国最大のバス会社グレイハウンドや、同じく米国において格安運賃で急成長しているメガバスのビジネスモデルも研究中。さらに、国内のフェリー会社とも8割方は連携を終えたとのこと。

「日本の飛行機、鉄道、船、バス、さらに2次交通のレンタカーやタクシー、レンタサイクルなども含めた連携をできないかと考えています。さらにその先のアジアのネットワーク構想も描いていて、そうすれば海外からの旅行者は日本を含め、2週間くらいかけてたっぷりアジアを回るようになるはずです」

 壮大な構想を着々と進める村瀬氏は、その歩みをさらに加速させていくようだ。

 
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