経営コンサルタントと聞くと、公認会計士、社会保険労務士、税理士などによる専門分野に特化したノウハウの指導や営業力の強化が思い浮かぶ。しかし、ラディアが提供している主力業務は、総務・経理・人事など、管理部門を対象にした上場企業向け「内部統制コンサルティング」サービスだ。谷中教隆社長にその理由を聞いた。
谷中教隆氏率いるラディアが目指す経営コンサルタント
「内部統制コンサルティング」を中心に複数の上場企業をクライアントに持つラディア。谷中教隆社長は、「会社を本当に守ることができるのは管理部門だけです」と言う。
企業が成長するためには、強力な営業部隊が必要で、それだけで業績は上がる。しかし経営が〝攻め〟に偏重しすぎることは、自動車が暴走しているような状態でもある。いくら売り上げが上がっても、利益を出し、回収し続けていかなければ会社は倒産してしまう。それゆえ、管理部門が、常に会社全体のバランスを考え、しっかり〝守り〟、経営リスクを遠ざけていかなければならない。そうしなければ、「企業は本当の強さを手に入れることができない」と谷中社長は語る。
谷中社長は、大学卒業後、税理士事務所やコンサルティング会社で経験を積んできた。しかし、一部署への専門的なノウハウを指摘するだけでは、会社全体を改善するための対策が見えてこない。大切なのは論理ではなく〝人〟の部分であると考えるようになった。そのためには部分的なコンサルティングよりも包括的なコンサルティングを行う会社が必要と考え、起業に至った。
同社の経営コンサルティングは、「総合コンサルティング」「思考通訳」「現場主義」の3本柱で構成している。
「総合コンサルティング」は、企業が抱える多くの課題に対し、会計だけでなく、人事・労務・法務など、複数の角度から検証し、総合的に支援を行うこと。2つ目の「思考通訳」は、経営者と社員の橋渡し役をすることで、経営者のビジョンが社員にしっかり伝わるよう両者の間に入り、支援することだ。経営者のビジョンが社員に正しく理解されていない会社は非常に多く、これを解消すると企業に一体感が生まれるという。3つ目の「現場主義」は、会計や人事などの専門コンサルティングが、現場の実態を見ずに理論だけで進めてしまわないよう、週に1回は現場に足を運び、現場の声を徹底的にヒアリングし、その声を参考にコンサルティングを行うことだ。
「企業全体の業務を視野に捉え、その企業で働くさまざまな〝人〟を支援することがコンサルティング」(谷中社長)
昨年、谷中社長は、『まずは、管理部門の組織から』(現代書林)を上梓。物語調の文章が分かりやすく、経営者から若手社員まで、管理部門の役割と重要性を理解するためのテキストとして好評を得ている。
ラディア
http://www.radia.co.jp
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