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「LPガスを全国に届けるインフラ企業として社会に貢献します」--増田 宰(アストモスエネルギー社長)

増田 宰氏(アストモスエネルギー社長)

出光興産系と三菱商事系のLPガス企業3社が2006年に経営統合して発足したアストモスエネルギー。LPガスは世帯の約半数が使用する重要な社会インフラ。大手3グループに集約された中で、今後の成長戦略を聞いた。

3大元売りグループの中で調達力ではトップシェア

── 御社の概要をお聞かせください。

増田 出光系と三菱系のLPガス事業が統合してできたのが当社です。両社とも長年にわたってLPガス事業を行ってきましたので、豊富な経験があります。都市ガス会社のように導管、ガス管は持っていませんが、基本的には社会生活においてなくてはならないインフラ産業です。

 現在、都市ガスが供給されているのは、面積で言えば国土の5%にすぎません。日本の世帯にすれば、半分程度の世帯にしか都市ガスが通っていないのが現状です。人口密度が低いところは、今でもLPガスが主流であり、当社はネットワークでLPGボンベを供給しています。いわば、ガス管の代わりに全国の代理店や人がネットワークになっているのです。

世界中で運航中のVLGC船(大型運搬船)の中で、トップクラスの隻数を誇る

世界中で運航中のVLGC船(大型運搬船)の中で、トップクラスの隻数を誇る

── 東日本大震災の時に、LPガスに注目が集まりましたね。

増田 電気にしろ、都市ガスにしろ、電線やガス管が壊れると復旧に時間がかかります。しかし分散型エネルギーのLPガスは、ボンベを運ぶことさえできれば供給が可能なので、災害時に強みがあります。

 しかし、ポイントになるのは、これからのエネルギー自由化の流れです。2016年に電力の自由化があり、その後、都市ガスの自由化が始まりますが、そのときにLPガスが他のエネルギーに比べて優位性があるのか、競争力があるのかが本格的に問われてくると思います。

── エネルギー業界は近年、再編が進んでいますね。

増田 石油元売り業界は大型再編がひと段落しましたが、LPガス業界でも近年は、当社のように統合が行われました。現在、当社はLPガス販売シェアで単独トップです。

 設立から9年になりますが、10年がかりのLPガス業界の再編が概ね完了したようなイメージを持っています。

── 3大元売りグループに集約される中で、御社の強みはどのような点ですか。

増田 最大の強みは現在でもシェアトップの海外調達力です。21隻の大型船が中東、アフリカ、豪州そして米国と、世界中からLPガスを調達しています。この船舶数とネットワークは大きな武器です。次に、特約販売店のネットワークも、非常に強固なことも強みです。出光系のネットワークと三菱系のネットワークが共存しており、それぞれ数十年の付き合いがあるので、お互いに厚い信頼関係が出来上がっています。

 現在、全取引先は600社を超えており、そのうち特約販売契約を締結している特約店が約360社あります。信頼でつながっているこれらの販売ネットワークが全国津々浦々まで行き届いているのです。

公益に尽くすというDNAを受け継いでいきます

── そのつながりを維持するポイントはどのようなところでしょうか。

増田 LPガスは、会社によって物流網や価格で若干の差はありますが、商品の中身自体はほとんど変わりません。ただ危険物を取り扱う以上、安全性確保には特別の注意を払っています。例えば当社では配送トラックにもドライブレコーダーを標準装備して、事故を減らすような体制整備の努力を昔から真剣に行ってきました。

 また、アストモスアカデミーという研修トレーニングセンターがあり、そこで販売店のスタッフが、マネジメントからセールス、安全管理といったさまざまな研修を受けられるようにしています。全国の販売店の多くはオーナー企業で、事業の継承者を育てるといった教育もお手伝いしています。

増田 宰

増田 宰(ますだ・おさむ)
1980年一橋大学法学部卒業。同年三菱商事入社。2010年環境・水事本部副本部長。12年理事。13年アストモスエネルギー取締役副社長。14年3月に社長に就任。

── 国内市場が成熟している中で海外への展開などは。

増田 発展途上国では、まだまだLPガスさえ普及していないところが多い。そういった国々においては5年後、10年後を見据えて進出を検討しています。

── ほかに新たな事業展開があるでしょうか。

増田 今年の11月に定款を変更して、売電事業に参入する予定です。既に多くの企業が売電事業への参画を表明していますが、当社では出光興産、三菱商事との連携を使って、当社の持つ販売ネットワークを生かす形で電力販売を実施したいと思います。

 もともと各家庭に1カ月で15キロのLPガスを販売し、それが集まって、数百万トンのLPガスを国際的に取り扱っている会社です。この調達力と、各家庭につながるネットワークが大きな強みです。売電事業などの新規事業でも、当社が持つ強みを生かして、取り組んで行ければと思っています。

 出光興産、三菱商事は共に、公益に尽くすという社風がありますが、当社もそのDNAを色濃く受け継ぎながら、エネルギー供給を通して社会に貢献したいと考えております。

(聞き手=本誌編集委員/清水克久 写真=佐藤元樹)

 

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