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「プラスチック製品のパイオニアとして さらなる成長を目指します」--石川忠彦・天昇電気工業社長

プラスチック製品の成形加工メーカーとして80年近い歴史を持つ天昇電気工業。その成長の歴史は、日本の経済成長の歴史とほぼ重なり合っている。豊富なプラスチック成形技術を誇る同社であるが、新たな成長に向けての事業領域の拡大、そして海外展開の加速化などに邁進している。「戦う天昇電気」のスローガンを掲げている石川忠彦氏に今後の戦略を聞いた。 (聞き手/本誌編集委員・清水克久)

石川忠彦氏は語る 金属に換わる製品としてプラスチックに脚光

-- まず、御社の特徴をお聞かせください。

石川 当社は1936年に絶縁材料を取り扱う会社として発足、後にソケットやスイッチなどの電気部品の製造部門が発展して合成樹脂加工業としての地位を固めました。戦後の高度経済成長時代に業容を拡大、61年には株式上場を果たしました。電機メーカーからの受託が非常に多かった関係で社名に「電気」がついていますが、今では、国内すべての電機メーカーと取引があります。

 長年にわたって培ったプラスチック成形技術をもって電子エレクトロニクス産業や自動車産業、そして物流産業などへ取引を増やしてきました。現在では自動車産業、電子エレクトロニクス産業がそれぞれ顧客の4割を占めており、電機産業の割合は減っています。

-- 電機産業の割合が減少した理由は何ですか。

石川 電機産業が減ったというよりも、自動車、エレクトロニクス分野が増えたということです。現在、自動車産業はいかに燃費を減らすかということに腐心しています。それはどれだけ軽量化するかということでもあります。そこにプラスチック製品の出番があるのです。金属よりも軽いプラスチックを多く使えばそれだけ軽量化できます。プラスチックに競合する素材には炭素繊維などもありますが、こちらはまだまだ価格が高い。他の産業でも金属部品をプラスチックに転換する動きはあります。エンジニアリングプラスチックと言われる工業部材もあり、今は金属に換わって、多くのものがプラスチックになっています。

 当社は創業以来、プラスチックしか扱ってきていません。そこに独自のノウハウ、技術の蓄積があるのです。顧客が最終的に求めているのは高品質の製品ですが、当社はそれに十分応えるだけの力があります。

石川忠彦氏の戦略 オリジナル製品を開発し、海外展開も加速へ

-- メーカーからの受託生産が多いのですか。

石川 かつては100%が受託生産でしたが、現在は「闘う天昇電気」というスローガンを掲げて、新しい事業も展開しています。それは独自企画の自社製品の開発です。

 一例を挙げると、「ミッペール」という医療現場用の医療廃棄容器があります。使用する人の安全と環境汚染防止のために創設された「医療廃棄物容器登録認定制度」に国内・海外で初めて合格した、〝TENSHO〟オリジナル製品です。臭い漏れや液漏れなどの感染対策に対応した設計と、注射針などの貫通しにくい強度、運搬時の安定した積載性能を持ち、さらには焼却時に有害物質を発生しないなど、品質や環境面、すべてにおいて安全性の高い容器として認められています。密閉性の高さや強度、焼却時に有害物質を出さないといった特徴は、当社の優れた技術を結集した賜物です。

 また、土木資材分野には「雨水貯水浸透システム」があります。洪水や土砂崩れなどの被害を未然に防ぐためのもので、道路や駐車場、建物の下に設置されます。従来はコンクリート製のものが中心でしたが、非常に重いうえに加工しにくかった。これをプラスチック製にすることで軽量化が実現し、かつ施工しやすくなるので、工期が大幅に短縮できるようになりました。この商品は現在、受注が間に合わないほどの人気となっています。

-- 新製品はどのような過程で開発されるのですか。

石川 開発営業部の主導ですが、いずれにせよ、多くのノウハウとプラスチックに関する高い技術がなければできないことばかりです。合成樹脂をどれだけ理解しているか、また設計、加工できるノウハウがあるかどうかが重要です。加えて、ニーズに対して技術、ノウハウを活用していく姿勢が大事なので、常にニーズありきで考えています。日本中のものづくりを支えるという意味で受託部門も大事ですが、オリジナル商品も増やしていきたいと考えています。

-- 海外への事業展開はどうですか。

石川 国内は5工場体制で、海外ではポーランドやメキシコ、中国に工場があります。海外工場は日系企業向けという側面が大きいのですが、今後はこの基盤を生かして積極的に海外展開を進めていきたいと思います。まずは拠点のある欧州、アジア、米国工場を拡充し、それから新興国市場を狙っていきます。

 今、モノづくり日本への回帰という動きもありますが、そのための国内回帰と同時に国際戦略も進化させなければならないと思っています。

-- 今後の目標はどのようなものになるのでしょうか。

石川 当社のような専門性の高いメーカーは、その特殊性から特異な世界に閉じこもってしまう傾向があります。そこをできるだけ第三者的に、鳥瞰的に見て、会社を発展させていきたいと思います。その点、総合商社で長年働いてきた私の経験が生かせるのではないかと思っております。短期的には業績が回復した自動車関連部門の伸びに期待していますし、それに応じて設備の更新、人員の増強、海外展開などを積極的に進めていきたいと考えています。

 

天昇電気工業社長 石川忠彦

【いしかわ・ただひこ】

1956年生まれ。79年成蹊大学経済学部卒業。同年三井物産入社。2007年機能化学品本部西日本化学品事業部長。13年6月天昇電気工業取締役副社長兼海外事業部長。同年9月より現職。

 

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