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「会社の景色を変える長期ビジョンで グローバルを見据えた積極展開を図る」--田辺 円・国際紙パルプ商事社長

国際紙パルプ商事は、2024年に向けた長期経営ビジョン「GIFT+1」(Globalization 世界規模で経営を考える、Innovation これからの紙の未来を創造する、Function 迅速で無駄の少ない流通機能を構築する、Trust 社会の発展に貢献する、+1プラスワン 環境に配慮した企業活動を推進する)を打ち出し、積極展開している。その取り組みとは。 (聞き手/本誌編集委員・榎本正義)

「内需は減少傾向だがグローバルの視点で」と語る田辺円氏

-- 社長就任後、半年が過ぎました。経営の舵とりの手応えは。

田辺 アベノミクス効果により、円高是正と株高という形で経済が活性化されてきた中でのバトンタッチでした。今後の当社の取り組みについても大いに背中を押してくれるはずです。私たち新経営陣が発したメッセージについては、社員はもとより、ステークホルダーや同業者の皆さんにも好意的に受け止められているようです。

-- とはいえ、業界を取り巻く環境は厳しいです。

田辺 わが国の紙・板紙の内需量は2000年が3196万2千㌧。その後、リーマンショックを機に大幅に落ち込み、12年が2774万6千㌧です。過去にも石油ショックやバブル崩壊、金融システムの崩壊など何回かGDPを押し下げる事象があり、紙・板紙の内需量も下落しました。しかし、その都度V字回復してきた経緯があります。ところが今回はリバウンドが起きていません。背景には、人口減やICTの進展による情報媒体の増加という構造的な要因があると見られています。スマートフォンやタブレット端末などが出てきて、紙だけでなく複数の〝媒体〟を選べるようになった影響が大きいです。

-- 悲観的に見ていらっしゃるのですか?

田辺 いえ、グローバルな視点でとらえると、世界の人口は年間8千万人〜1億人ずつ増えています。国民1人当たりの紙・板紙消費量は世界平均が約57㌔。日本は220㌔ですので、まだ伸びる余地は十分あります。情報化社会になったとはいえ、すべてを紙抜きのICTだけで完結できるとは思えません。文字・活字文化による教育は、人間の心のインフラをつくるものだけに、決して無くなることはないと確信しています。

-- それらを踏まえて、24年の100周年に向けた長期経営ビジョン「GIFT+1」として打ち出したと。

田辺 グローバリゼーション、イノベーション、ファンクション、トラストに、プラス1として、環境経営を掲げました。

-- 具体化の一例がecomo(エコモ)シリーズですね。

田辺 ええ、タウンecomoは家庭内の古新聞・古雑誌を回収するシステムです。スーパーマーケットなどの店頭に当社が回収ボックスを設置し、そこにお客さまが古紙を投入するとポイントが付くというもの。お客さまにはポイントが貯まると買い物券に交換できるというメリットになり、店舗にとっては費用負担がなくて集客につなげることができ、さらにゴミの減量と製紙メーカーを活用した循環型社会の構築という、近江商人の〝三方良し〟の考え方です。オフィスecomoは、オフィスで出る機密文書を専用ボックスで回収、専門処理施設で破砕・溶解処理し、再生品にするもの。クロスecomoは不要となった衣類を回収し、リユース、リサイクルする環境サービスです。ペットボトルも一部回収を始めています。

田辺円氏の思い 100周年に向けた数々の取り組み

-- 川上から川下に至る循環を考えているということでしょうか。

田辺 そうです。人間の体の動脈や静脈と同じように、循環させるということが重要です。当社では年間約250万㌧の紙・板紙を販売し、約150万㌧を回収していますが、これを200万㌧くらいにしたい。できれば販売したものはすべて回収するくらいの意気込みです。日本の古紙は、ゴミなどの混入物が少なく高品質で、〝ジャパンブランド〟として海外でも高い評価を受けています。日本の古紙回収は行政が音頭を取り、家庭などのきちんとした分別、回収業者の方々の手作業も含めたきめ細かな仕事などがあって成り立っていますが、当社のecomoはこれを補完するものと自負しています。

-- 100周年に向けた取り組みについて。

田辺 国内の需要の落ち込みを回復するだけのパワーは、少子化や人口減などで残念ながら期待できません。そこでグローバル展開の視点がどうしても必要になる。そのため今年の90周年はグローバル元年という位置付けです。しかし、これからの10年は、過去の89年やってきたやり方を変えないと乗り切れないことは明白です。それを具現化したのが長期ビジョン。10年後の〝会社の景色〟は、今とは大きく変わっていると思います。国内は紙、板紙、製紙原料という3本柱をまずしっかり固める。その上で、海外6法人24拠点を作り直して行く。現状では国内売り上げ85%に対し、海外が15%という比率ですが、この海外部分を引き上げていく。それを成し遂げるためには、現地の〝紙商〟とのM&Aを含めた提携や資本参加、また紙・フィルム関連の加工業も手掛けていかなくてはならず、既に取り組みを開始しています。さらにこれまで当社が手掛けてこなかったトイレットペーパー、紙おむつなどの衛生紙、家庭紙分野にも進出したい。これは海外での展開を考えています。

 

国際紙パルプ商事社長 田辺 円

【たなべ・まどか】

1971年亜細亜大学商学部卒業。同年、大同洋紙店(現国際紙パルプ商事)入社。2008年専務、12年副社長、13年6月から現職。

 

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