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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「橋から始まり道路、街づくり、防災計画と 安心で快適な住まいづくりに邁進します」--高久 晃・大日本コンサルタント社長

建設コンサルタントの中でも、特に「橋」に数多くの実績を持つ大日本コンサルタント。現在は橋、道路、都市計画と復興関連業務など、公共事業を中心とした事業展開を行っている。技術力の高さと経験に裏打ちされたノウハウでは群を抜くが、一方では人材不足などの問題にも直面している。さらなる成長を目指す同社の事業戦略を聞いた。(聞き手/本誌編集委員・清水克久)

「橋」に定評の高い総合建設コンサルタント

-- 御社の事業の特徴をお聞かせください。

高久 主要顧客は国や地方自治体で、その他も首都高速道路会社などをはじめとする各地方の道路会社などであり、公共性が高い仕事がほとんどです。一部、ゼネコンからの仕事もありますが、ほぼ公共事業と言って差し支えありません。

 当社はもともと、鉄橋を造っていたメーカーの技術者が独立してできた会社で、設立当初は橋ばかり設計していたという経緯があります。その橋から事業領域が広がって、現在は道路や都市計画、防災事業などの業務もしています。とはいえ橋が当社の原点であり、橋に関しては絶対的な自信があります。東京都北区と足立区に架かる新豊橋、岡山県の苫田大橋はグッドデザイン賞を受賞。ほかにも土木学会の各種の賞などを数多く受賞しています。

-- 橋の市場規模、将来性はどうですか。

高久 市場規模は正確には把握できていませんが、当社の橋関連の売り上げは40億〜50億円程度で、業界1位です。以前は新規の橋を設計する仕事が多かったのですが、現在は橋の補強や長寿命化などの保全計画、補修設計が増えています。

-- 最近は防災計画の作成なども行っているそうですね。

高久 道路や橋、斜面などの防災点検、火山や深層崩壊危険地域での地盤調査なども行っています。また、都市計画には防災の観点が欠かせません。自治体と一緒に防災計画を立案したり、ハザードマップの作成、避難地域の設定、それに応じた避難施設の提案、設計も行います。防波堤や津波避難タワーのようなハードだけではなく、ソフト面での提案も重要な仕事になっています。

-- 公共事業がメーンだと、業績も景気動向の変動に大きく左右されますね。

高久 実はそれ以上に問題なのは人材不足です。コンサルタントは人と話をして物事を進めます。1人の人間ができる仕事の限度は限られており、まさに人がこの業態の財産なのです。スキルと経験が求められる分野ですから、いくら優秀な人でも新卒の段階では戦力になりません。ところが、この10年ほどの間、公共事業が削減されてきた影響もあり、熟練した技術者が減少してしまいました。これは業界全体の課題です。景気動向に売り上げが左右されることも大問題ですが、それ以上に深刻なのは人材不足です。

女性活用の視点から労働環境改善にも努力

-- 大震災の復興事業など公共事業も増えています。

高久 復興事業における建設コンサルタントの主要な役割は、復興計画案の作成と決定された計画に基づいた社会基盤施設などの設計ですが、これらの仕事のピークは過ぎた感じです。これからは、建設会社がそれらを形にしていくことが中心になりますが、まだまだわれわれの出番はあると思っています。

-- 建設コンサルタント業の中で、御社の強みは。

高久 技術力の高さと真摯で誠実な対応においては、業界トップクラスであると自負しています。経験に裏打ちされたノウハウ、総合的な対応力で他社には負けません。

-- 海外での事業展開は、どうですか。

高久 会社の事業規模に占める割合は小さいですが、少しずつ実績を積み上げています。土木は世界でも最古の産業の1つと言われるだけあって、各国には独自の商慣習があります。良い仕事をするには、当該国の文化や商習慣への理解が必要だと思うので、そのための時間がかかります。今年、ベトナムに当社が計画段階からかかわってきた日越友好橋が完成します。同国に進出してから20年近くになりますが、これが最初の大型事業です。今後も着実に海外の仕事を増やしたいと思います。

-- 御社には女性技術者も増えていると聞いています。

高久 現在社員は約560人おりますが、そのうち400人程度が技術者です。その中の5%に当たる20人ほどが女性です。昔は、女性技術者はほとんどいなかったのですが、就職氷河期の頃に当社を受ける女性が増え、その中に優秀な方が多かったので、現在も活躍しています。最近も、毎年10人程度の新卒を採用していますが、必ず女性技術者がいます。特に女性を絞って採用を決めているわけではありませんが、能力、人物で選ぶと自然と必ず女性が入るのです。

 ただ、業界の特性でもありますが、残業がとても多い仕事です。しかも、最近は仕事そのものが増えてきています。そういった環境でも、女性が働きやすいような職場づくりには工夫しています。せっかく優秀な方に入社していただいたのですから、時短勤務の制度などを活用して、結婚、子育てがあっても安心して働き続けてよう努力したいと考えています。

 また、この取り組みがきっかけで、業界全体で、残業の多さを克服できるアイデアが生まれることを期待しています。

 

大日本コンサルタント社長 高久 晃

【たかく・あきら】

1954年生まれ。78年金沢大学工学部卒業。同年大日本コンサルタントに入社。2006年取締役、11年常務取締役、12年専務取締役を経て13年9月に社長に就任。

 

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