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「土木、建築事業に加え太陽光発電、不動産開発事業などの自社事業を強化して3本目の柱に」--朝倉健夫・日本国土開発社長

1951年、戦後の荒廃した国土の復興を目的に創立された日本国土開発。ブルドーザーなどの重機械をいち早く海外から導入し、戦後復興のための社会基盤の整備や大規模住宅団地の建設などに尽力した。技術力には定評があり関西国際空港、長崎ハウステンボスなどを手掛けてきた実績があり、現在は再生可能エネルギーなど新しい分野へも挑戦している。 (聞き手/本誌編集委員・清水克久)

朝倉健夫氏は語る 震災前から手掛けていた太陽光発電施設工事

-- 土木・建設会社である御社の強みは何ですか。

朝倉 当社は土木に強い会社として創立されました。公共事業が多かったので、どうしても景気動向に非常に左右されやすい業態でした。近年ではリーマンショックの影響で官需、民需とも大変厳しい状況にありましたが、東日本大震災関連の復興需要やその後の景気回復で現在は、持ち直してきました。

 また当社は、大規模太陽光発電施設の土木工事を震災前から手掛けています。土地の造成から建築まで、数多くの実績を積んでいるのですが、現在、太陽光発電の需要は大変高まっているので、この分野には大きく期待しております。

 建築関連の引き合いは増えているのですが、建設資材や人件費などのコスト増で、収益的にはそれほどでもありません。売上高では土木が4割、建築が6割の割合です。

-- 復興関連ではどのような仕事をされていますか。

朝倉 福島県南相馬市において瓦礫処理、除染に取り組んできました。南相馬市は復興のスタートが遅れたので、この先1〜2年はこの事業を行い、その後に産業基盤の構築、インフラ整備の仕事があります。

-- 先ほど、太陽光発電施設の話がありました、現状は。

朝倉 土木関連で大きな工事となると、今は太陽光発電施設の話が多く、大きな施設の場合、1件当たり150億円くらいの規模です。国の再生エネルギー固定価格買取制度を利用して事業化を検討している会社は多いのですが、現状では申請から認可に至る手続きに時間がかかり、着工できないケースは9割にも上ります。これらの中には、地元との折り合いが付かないケースもあるでしょうが、将来的には大きな市場になると確信しています。

 また、太陽光だけではなく、風力、小規模水力、地熱発電施設なども今後は増える見込みなので、その分野の対応も積極的に取り組んでいきます。中でも、低コストで発電できる小規模水力発電は有望です。河川を活用した施設になりますが、ここは当社の得意分野なので、過去に積み上げてきたノウハウや技術力を生かせると思います。

-- 建築の分野の見通しはどうですか。

朝倉 昨年、民事再生法の適用申請をした中堅建設会社の東海興業から100人ほどの社員を採用しました。彼らは主にマンション事業に従事してきた社員で、建築技術者から現場担当者、また営業担当、企画担当者まですべてそろっています。これは当社にとって大きな意味があります。当社もマンション建築の経験はありますが、彼らはマンションを造るだけでなく、最終的に確実に収益を上げていくノウハウを持っています。その仕組みを吸収して、当社の建築部門にフィードバックできれば土木と建築の両輪で、より収益性は高まっていくと思います。

朝倉健夫氏の思い 請負業から、自社で一気通貫できる事業を

-- マンション建設は、請負が多いですか。

朝倉 今は大手不動産会社からの請負が多いですね。ただし最近では、単なる請負だけでなく、われわれ施工業者とデベロッパーが連携して、当社からの提案を取り入れたマンションも造られるようになっています。

-- 住宅・マンションは、消費増税前の駆け込み需要もあり、現在は近年になく賑わっているようですね。

朝倉 消費増税前の駆け込み需要が落ち着くと、いったん、着工件数は減るかもしれません。しかし、湾岸部など、全体的に見るとマンション需要が増加傾向にあることは変わりません。少なくとも首都圏では、減少に転じる気配はありません。

 マンション需要が全体的に高まることはありがたいことですが、その一方で地価も上がり、建築コストも上がっているので、デベロッパーや施工業者の中には苦しんでいる会社も少なくありません。当社としては今後、積極的にマンションに取り組んでいきますが、単なる建築の請負だけでなく、開発から販売までを一貫して事業化できる不動産開発事業も今まで以上に増やしていきたいと思います。

-- 今後の展望をお聞かせください。

朝倉 当社は基本的には請負業ですが、今後は先ほどの不動産開発事業のように、自社で能動的かつ、一貫的に取り組める事業を増やしていきたいと考えています。不動産開発事業のほかには、横浜市で霊園事業なども行っております。これはお寺から受託し、一般的な霊園に比べて高級感の高い施設になっております。また、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー施設の収益化を早期に実現したいと考えています。

 従来の土木事業、建設事業に加えて、不動産開発事業、霊園、発電施設などを建設する自社事業を3本柱にバランスのいい経営をしていきたいと思います。景気動向に左右されやすい土木、建築だけではなく、自分たちで能動的にリスクをとって展開する自社事業は収益力が高い。うまく展開できれば、より安定した経営基盤を得られると思います。

 

日本国土開発社長 朝倉健夫

【あさくら・たけお】

1954年生まれ。77年大阪大学工学部土木学科卒業。同年日本国土開発に入社。2007年執行役員、08年取締役執行役員。11年常務取締役を経て13年8月に社長に就任。

 

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