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「“まちづくり”に関する業務をワンストップで請け負えることが強みです」--辻本 茂・オオバ社長

調査測量、計画設計、区画整理などを主力とする建設コンサルタントとして91年の歴史を誇るオオバ。直近では復興関連事業などの官需が増えているが、都市再生事業をはじめとする民需も伸びている。中期経営計画(79期から81期)では、「農業との共生」「まちづくりの業務代行」など、新たな分野へも積極的に挑戦する。辻本茂社長に、現状と今後の戦略を聞いた。 (聞き手/本誌編集委員・清水克久)

辻本茂氏のオオバは創業91年を超えた老舗建設コンサルタント

-- まず、御社の事業内容をお聞かせください。

辻本 当社は、まちづくりに主眼を置いた総合建設コンサルタントです。創業者の大場宗憲は鉄道省(現国交省)に永年勤務しており、その経験を生かしてあらゆる測量を行っていたのです。そして昭和になってから、事業の領域を広げて徐々にまちづくりに軸足を移していったのです。まちづくりですから、どうしても土木関連の技術が求められます。土木系というと官公庁の仕事が多く、インフラ色が強い傾向があるのですが、当社の場合、設立当初から民間の仕事が主力でした。

 当初は、旧財閥系の不動産会社と共に住宅総合開発における設計・施工管理などを行っていました。そのノウハウが生かされて、後に民間の鉄道会社が沿線の住宅総合開発を行う際にも、当社が深くかかわるようになったのです。

-- 民需と官需の割合はどの程度ですか。

辻本 もともとは民間企業との取引がほぼ100%でした。しかし1970年代に起きたオイルショックで、一気に民間需要が冷えこんでしまいました。それを契機に、官公庁からの仕事も積極的に取り組み、現在では、官公庁系が7割、残り3割が民需になっています。どのような仕事であっても、当社では事業の根幹に、常に市民が安心して住みやすいまちづくりに努める、という考え方があります。

-- まちづくりのコンサルタント業とは、具体的にはどのような仕事ですか。

辻本 住宅開発などを行う際に、まず「どのようなまちを作るのか」というコンセプトを提案し、それに基づいた設計を施主さまと話し合って行います。まちづくりとは、ただ宅地を造成すれば良いのではなく、道路をどうするか、橋をどうするか、住宅以外の付帯施設をどうするかといったことまで考えなければなりません。それらアウトラインの作成が最初にあるのですが、アウトラインを決めていく中で、橋や道路はどうするという流れになって、トータルとしての総合建設コンサルタント業務に発展してきたのです。

-- 東日本大震災関連の復興需要の取り込みは。

辻本 今年度上期の売り上げのうち、約3割が復興関連の仕事です。例えば宮城県の石巻市、山元町、女川町、そして岩手県の野田村などでは、具体的な復興計画の策定を当社が主導して行っています。これから造成工事が本格的に始まり、その後に建物の建設となります。建設会社が活躍するのはこれからになりますが、設計コンサルタントとしての当社の業務はピークを迎えつつあると考えています。

辻本茂氏が語るオオバの目標は〝まちづくりのソリューション企業〟

-- まちづくりは、利害関係の調整も難しいでしょうね。

辻本 いろいろな考え方を持った地権者さまがいらっしゃいますので、その合意形成が重要です。まちづくりのコンセプトを丁寧に説明し、ご理解をいただくことがきわめて重要なので、この段階で多くの労力と時間をかけます。復興関連の場合も、まず瓦礫処理からはじまって、関係各位の意向を集約し住民の皆さまと話し合い、コンセンサスを得ていく段階が大事なのです。加えて自治体との調整もあります。やみくもに造成して宅地を整備しても、そこに将来を見据えたまちづくりというコンセプトがなければ、生きたまちにはなりません。時間がかかっても、きちんとコンセプトを考え、合意を得るプロセスが何よりも大事なのです。

-- 住民の合意形成で特に気を付けていることは。

辻本 納得いただける図面を引くのは当然ですが、その前の調整、合意形成では、過去の蓄積やノウハウが数多くあることが強みです。時間をかけて納得いただき、最終的に喜んでいただいたというケースをたくさん経験しました。その点を官民双方から高く評価されています。

-- 農業事業など、新しい分野にも進出するそうですね。

辻本 「農業との共生」というテーマは、永年研究し続けており、その成果を生かしていこうと思っています。既に沖縄県で農業工場事業を始めました。沖縄では生鮮野菜の多くを本土から買っていますが、自給自足のお手伝いができればと考えています。採算面はまだまだですが、農業を通じて社会貢献できればいいと考えております。

-- 昨年、策定された中期経営計画の進捗状況は。

辻本 中計では「まちづくりのソリューション企業を目指す」という目標を掲げました。当社の強みはまちづくりをワンストップで請け負えるという点があります。事業の構想から測量、計画、設計、認可、事業支援業務、そして土地の売却やテナントの誘致等まちづくりに関連するあらゆる事業を一元的に行う力があります。加えて土壌汚染への対応、地盤改良、橋梁・道路の設計といった事案にも対応できます。当社に任せていただければ、まちづくりに関する問題をスムーズに解決できる、その特徴をさらに強化して世界に誇れる魅力的な国土づくりに貢献したいと考えています。

 

オオバ社長 辻本 茂

【つじもと・しげる】

1979年慶応義塾大学商学部卒業。同年海外石油開発入社。87年三井信託銀行(現三井住友信託銀行)入行。2003年オオバ常任顧問。05年執行役員財務部長兼プロジェクト開発部長。06年取締役執行役員。10年常務取締役を経て、13年8月より現職。

 

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