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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「確かな技術開発力と世界3極の ネットワーク構築でさらなる飛躍を」--加藤大輔・藤倉化成社長

プラスチックコーティング業界における老舗企業として、技術開発力で定評が高い藤倉化成。業務分野はアクリル樹脂活用技術をベースにした主要4分野でバランスよく構成されており、メディカル関連など新規分野への取り組みも積極的だ。欧米企業の買収により、日米欧の3極体制も整った。今後の成長戦略を聞いた。(聞き手/本誌編集委員・清水克久)

独創的な技術力を背景に4つの事業分野が牽引すると語る加藤大輔氏

-- まず、御社の主要事業についてお聞かせください。

加藤 当社の事業は大きく分けて「コーティング事業」「建材塗料事業」「電子材料事業」「化成品事業」の4つです。

 コーティング事業は、主として自動車の内外装や電装部品、家電品などで幅広く活用されています。各分野からの要望に応える当社の技術は、常に業界をリードしていると自負しています。建材塗料事業では、水性塗料の開発など、自然環境に配慮した製品開発に努めています。合わせて容器のリサイクル、再利用をも積極的に進めています。

 次の電子材料事業ですが、日本で初めて工業化に成功した「ドータイト」という導電性ペーストを主軸に業界でも確固たる地位を築いています。

 最後の化成品事業では、お客さまからのニーズに応えると同時に新たな機能の創出や発見、技術の新たな用途の開発など、事業領域の拡大を進めています。

-- 売り上げ規模で大きいのはどこですか。

加藤 当社はアクリル樹脂を活用する技術がベースにあり、そこから4つの事業分野が発展しました。売り上げ規模はそれぞれに浮き沈みはあるのですが、現在はコーティング事業部が1番大きく、約3割を占めます。中でも自動車関連が最大のユーザーです。また建材塗料事業部は、かつてはビルの外装塗装が多かったのですが、現在はリフォーム需要が高まっていることもあり、新築、リフォーム共にハウスメーカーをメーンターゲットにしています。

-- 建築用塗料についての違いはどのようなものですか。

加藤 塗料の商品性にはデザイン性もあるのですが、機能性も重要です。例えば機能性とは、早く乾く、あるいは薄い塗膜で性能を発揮することなどです。早く乾けばそれだけ工期が短縮でき、コストダウンができます。基本的に塗料は、何層も重ねて塗るので、早く乾くことは非常に重要な要素です。特に最近では水溶性の塗料が主流になっており、これは乾くのに時間がかかる。ゆえに乾燥時間というのは、塗料にとって非常に重要なスペックなのです。

加藤大輔氏の思い 伝統の強みと時代の変化に合わせた改革を

-- 他にも御社の新技術などをお聞かせください。

加藤 「ERゲル」という素材の商品化を進めています。これは電圧をかけると粘性が変化する素材で、さまざまな用途が考えられます。例えば工場のラインで細かい部品を留めたり外したりということができます。接着材を使わずに作業効率が上がるので、今何社かで実用化の段階に入っています。人工関節への応用も有力視されます。

 また化成品事業部では、樹脂を活用した体外検査薬などのメディカル関連に注力しています。この分野は一度あたると非常に大きいので、今後の成長分野として期待しています。先発の医薬品メーカーも多いのですが、検査装置とセットでの営業を考えています。診断薬の元になるのは樹脂であり、それはもともと塗料です。他の事業部でも同じような新ジャンルへの取り組みは進めています。

-- 海外への展開も積極的ですね。

加藤 海外展開は15年ほど前から積極的に取り組んでいます。特にコーティング事業部は、日系の自動車メーカーが海外進出するのに伴って進出した経緯もあります。

 当初は、米国のレッドスポット社、英国のソネボンリーク社と提携し、アジアの当社と合わせて3極体制のネットワークを構築。その後、2008年にレッドスポット社を、10年にはソネボーンリーク社を買収しましたが、どちらの会社も100年以上の歴史があり、現地でのネットワークや技術力に強みをもっているので、それを生かした展開を進めていきたいと思っています。通常、海外展開する際は苦労することも多いと思いますが、当社の場合、歴史ある有力企業を買収したことで、スムースに展開できています。

-- 海外でも、アジアを中心とした新興国の経済成長が見込まれていますね。

加藤 先ほどお話しした日米欧3極の中でも、特に当社が担当するアジアは、今後大きく伸びる国が多いのは間違いありません。現在、中国にも3カ所の拠点を展開しています。他にも、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インドにも拠点があります。また、レッドスポット社の拠点として、ブラジル、メキシコにも進出しています。

-- 最後に今後の目標をお聞かせください。

加藤 当社は長い歴史があるので、優れた面もありますが、一方ではデメリットもあります。かつては意味があった慣習も、時代の変化とともに意味が失われてしまうこともあるのです。

 今後のさらなる発展のために、何を変えるかは今後の検討課題ですが、まずはこれまでの負の側面を洗い出し、改革に取り組まなければならないと考えています。

 

藤倉化成社長 加藤大輔

【かとう・だいすけ】

1954年生まれ。77年成蹊大学経済学部卒業後、同年藤倉化成入社。2005年取締役コーティング事業部長。12年常務取締役電子材料事業部長を経て、13年4月より現職。

 

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