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〝負の遺産〟を一掃し積極展開に転じるSEOとリスティング広告の草分け--信太 明 アウンコンサルティング社長

飛び出せベンチャー

日本のSEOの草分けで、PPC、ネットリサーチから64カ国語に対応する翻訳まで行う。アジアに積極展開し、今後2年をめどに営業拠点を10カ所に開設することを目指している。

 

日本のSEOの走りとして独自に順位決定ルールを解析

 

信太 明・アウンコンサルティング社長

信太 明・アウンコンサルティング社長

 インターネットの検索結果の上位に自社サイトを表示させる検索エンジン最適化(SEO)、広告を配信してアクセスを集める〝集客方法〟のリスティング広告(PPC)、ネットリサーチ、翻訳などのマーケティング支援を行うアウンコンサルティング。1998年の創業で、SEOでは日本の草分けだ。

「当初は町づくりや村おこしの企画をする会社として立ち上げたので、国や地方自治体、市町村などに営業をしていました。しかし実績もなく無名でしたから、なかなか仕事に結び付きません。仕方なくいったんは故郷の福島に戻り、父親がやっていた材木屋の屋根裏に部屋を作り、何でも屋のようなことを始めました。その中の1つがホームページ作成で、プログラマーやデザイナーの仕事ができる大学生を集めて仕事をやっていました」

 信太明社長は創業当時をそう言って振り返る。

 そのうち顧客からホームページをなかなか見てくれないのだが、どうしたらいいかと相談が舞い込むようになった。信太氏は検索上位になるための仮説を1カ月半で2千ほど作り、その中で確率が高そうな200ほどに絞り込み、顧客に提案し始めた。今で言うSEOの走りだったが、まだそんな言葉も日本にはない時代だった。

 ホームページ制作会社はその後、急増し、SEOを行う会社も同様に増えていったが、インターネット好きな〝オタク〟や放漫経営などのため、3年くらいで消えていく会社も多かったとか。その中でアウンコンサルティングはしっかり生き残り、2005年11月に東証マザーズに上場し、社員数90人規模にまでなっている。

 グーグルやヤフーなどの検索エンジンがいかに上位表示するかの順位付けの仕組みやルールは非公開。しかも各社ともこのルールを定期的に少しずつ変える。アウンコンサルティングは99年から独自に分析と検証を繰り返し、順位決定ルールの解析に取り組んできた。各検索エンジンの順位付け要素は100〜150ほどあるといわれており、同社は数多くの分析・検証結果の約90%以上の要素を把握し体系化し、延べ1600社以上にサービスを提供しているという。

「参入障壁が一見低そうに見えますが、継続できる会社は少ないです。しかも当社は数年前に翻訳会社を取得し、64カ国語に対応しています。これは当社の特徴であり強みだと思います」

 

材木業の父を見て起業を志し営業、コンサル、会社経営を

 

 信太氏は68年、福島県で材木店の経営者の息子として生まれた。父を見て育つ中で、いずれ自分で起業しようという思いを抱く。早稲田大学政治経済学部在学中からリクルートで教育情報誌の企画営業に従事し、92年大学卒業後、同社に入社。93年にはコンサルティング会社の日本ネットワーク研究所に転じ、顧客企業の経営戦略策定に携わる。96年ABCマートに入社すると、店舗展開(チェーンオペレーション)を構築し、成長に貢献する。98年6月、30歳を目前に退社し、アウンコンサルティングを設立した。

「私はすべての会社に入社するときに、30歳になったら起業したい目標がありますとお話ししてきました。リクルートは営業の勉強をするため、経営コンサルは経営の勉強をするため、ABCマートはラッキーなことに実際に経営にも携わることができました」

 そして独立、上場。

 だが07年5月期の売上高52億6800万円、経常利益7億1500万円がピークで、14年5月に6期ぶりに1200万円程度の黒字転換をする見通しだ。売上高は16億円程度となる模様。海外でのSEO事業が堅調なのと、国内がウェブサイト制作や文書翻訳サービスが伸びたため。

「上場で得た資本でいくつかの会社に投資しましたが、いずれも収益には結び付かず、自己成長路線に切り替えました。また新規事業を模索するのではなく、既存事業を海外で展開する形にしました。その結果、香港、台湾、タイ、シンガポールに海外法人を構えています。これらは3〜5年前の円安時に設立していたため、ここへ来て黒字化しました。会社は倍々ゲームのように成長し、そのスピードが速かったため、組織や私自身の成長が追い付かなかったのです。その山が想定より高かった分、谷も予想以上に深かった。でもようやくこれまでの〝負の遺産〟整理が片付き、これからは攻めに転じていきます」

 

SEOの分野ではナンバーワンになるチャンスがある

 

 信太氏はリクルート時代、1日100社くらいに電話をかけ、100件の飛び込み営業を課されていたという。そのとき鍛えられた根性を武器に、海外展開では2年間で800社くらいに営業を行った。海外進出する日本企業だけでなく、今や顧客は8割が現地の地場企業となっているという。

「リスティング広告はグーグルやヤフーが市場を握っていますが、SEOの分野はナンバーワンになるチャンスがある。英語やラテン語は1バイトなのに、日本語は2バイトだからです。事実、海外のSEO企業は日本進出後、すべて撤退しています。今後は日本の会社が世界を取ることができる可能性が大いにあると思っています」

 大いなる野望を胸に世界を駆け巡る信太氏だ。

 

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