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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「土木・建築に加えマンション事業、 リニューアル事業を軸とする新たな会社へ」--上野康信・青木あすなろ建設社長

1950年代から主に土木の分野で活躍していた旧青木建設と旧あすなろ建設が、2004年に合併して誕生した青木あすなろ建設。今日では建築・マンションデベロッパーとしても優れた実績を有する髙松コンストラクショングループの一翼を担う企業でもある。上野康信社長に今後の経営戦略を聞いた。(聞き手/本誌編集委員・清水克久)

 

青木あすなろ建設の強みは耐震補強関連の技術力

 

-- 御社はもともと土木系に強い企業ですね。

上野 現在では東日本大震災の復興関連事業もあり、建築関連が好調で、土木系は単体では売上比率で約5割となっています。今後も建築の分野は増えてくると思います。足元で景気回復の基調があり、メーカーからの建設投資の話が増えているのです。特に、工場や物流施設、社屋の増改築といった話題には事欠きません。これらのことを考慮すると、今後は建設系の割合がもっと増えてくるでしょう。

-- 建築における御社の技術的な優位性は。

上野 建物の耐震性能を向上させる耐震ブレス工法というものがあります。これは新築物件だけではなく、既存物件にも適用できます。通常の耐震補強工事よりもスリムですし、建物を使いながら、居住者がいながら工事できることが特長で、これは他の耐震補強工事にはできないものです。

-- 耐震補強関連のニーズは大きいのですか。

上野 これまで以上に、耐震ニーズは高まっていくと思います。特に主要道路に隣接する建物は、耐震補強に関する補助金も出ています。住宅でもUR(都市再生機構)の物件などで耐震工事の相談が増えています。補強だけではなく、新築物件でも、さらなる耐震性能の向上が要望されています。

-- その一方、「アビダス」ブランドのマンション事業はどうですか。

上野 「アビダス」は4~5年前から始めた事業です。用地取得から建築、販売まで、当社が一貫して手掛けています。これはリーマンショック時の反省なのですが、当時、建築を請け負っていたマンションデベロッパーの経営が苦しくなった際に、建築を請け負った当社も大きな影響を受けました。それを避けるために自社で一貫して事業化したほうがいいと考えたのです。マンションは1棟当たりのボリュームもあるので、事業化する価値もある。建設用地取得の面では苦労もありますが、将来的には当社の事業の柱の1つにしたいと考えています。

-- マンション事業は人口減少など、需要が先細りの懸念はありませんか。

上野 当社がマンション事業で存在感を高めるには、まずターゲットを一次取得者向け、郊外型に絞りこむこと。その上で、供給戸数も年間3~5棟程度と考えて、質の良いものを提供します。その実績を積んだ上で、中長期的には、慎重に数を増やしていこうと思います。

 

グループの総合力を結集して青木あすなろ建設の技術と融合

 

-- いずれは耐震補強分野とマンション事業の2本柱となるのでしょうか。

上野 耐震補強分野にはリニューアル工事事業も含みます。ここでいうリニューアル工事事業は幅が広く、ちょっとした補修、改修から建て替えまであります。そのなかで、ゼネコンとしてどういった技術やスキームでリニューアル事業に取り組んでいくのか。先ほど申しあげた耐震ブレス工法による耐震性能の向上もその1つです。また、高速道路の補強やリニューアル工事も大きな柱になります。

 阪神淡路大震災、東日本大震災の経験から、社会インフラの老朽化対策はますます必要性が高まっています。高速道路や新幹線など、竣工から半世紀を超える物もどんどん増えてきています。そういった大規模な施設のリニューアル工事は、当社のようなゼネコンでないと手懸けられないものです。

-- 工事に関しては新たな技術開発も重要ですが、現状はどうですか。

上野 当然、当社も積極的に技術開発に取り組んでいきます。リーマンショック以降、同業他社を含め、業界全体の経営が落ちこんだ際に、最初に削減されたのは研究開発部門でした。当社もピーク時に50人ほどいた研究開発スタッフが、10人程度になってしまっていましたが、今後は戦略的に拡大させようと思っています。

-- 技術開発面では、グループシナジーもありますね。

上野 髙松建設コンストラクショングループ全体では、茨城県つくば市に研究所を持っています。昨年まではグループ各社でそれぞれ独自に動いていましたが、今年からはつくば市の研究所を拠点として、グループ全体で取り組みます。グループ内には海洋土木を専門とするみらい建設工業が培ってきた技術もあり、当社の技術と統合すると大きな価値を生みだしてくれると期待しています。

 また、法面工事・地盤改良工事に多くの実績を持つ東興ジオテック、海上輸送工事を得意とする青木マリーンなどもあり、陸の技術、海の技術を統合していけるのが強みです。

-- 景気回復など建築業界にも明るい兆しがありますね。

上野 まさに今年がそのターニングポイントだと考えています。震災需要、さらには2020年の東京オリンピックなど、追い風が吹いています。ただ、それを一過性のものとせず、継続的なものにしなければなりません。そのためにグループの力を結集して、事業に取り組んでいきたいと考えています。

 

青木あすなろ建設社長 上野康信

【うえの・やすのぶ】

1949年生まれ。72年京都大学工学部土木学科卒業。同年青木建設入社。2002年取締役常務執行役員。04年青木あすなろ建設取締役専務執行役員、10年代表取締役専務執行役員、11年同副社長執行役員を経て13年4月より現職。

 

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