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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「新たなステージを迎えるコンピュータ業界で『ITサービス業』として更なる発展を」--井上貴功・クロスキャット社長

金融関連のシステム開発で定評が高い中堅SIer(システムインテグレータ)、クロスキャット。40年という業界では最古参と言える歴史を持ち、順調に業績を伸ばしてきた。時代の転換期を迎えた今年4月、井上貴功氏が新たに社長に就任。組織の若返りと新たなステージへの飛躍を目指す同社の戦略を聞いた。(聞き手/本誌編集委員・清水克久)

井上貴功氏は語る 40年の歴史を持つ金融システムに強いSIer

-- 御社の創業は1973年と業界でも最古参ですね。

井上 設立当初は、何をやっているのか分からない会社だったかもしれません(笑)。システムインテグレータという言葉さえも当時はありませんでした。もともとコンピュータの制御系が得意で、現在のアプリケーションではない分野を中心に事業展開してきました。その後、金融系を中心に業務アプリケーションの分野に事業を拡大してきたのです。

 当時は、大手のコンピュータメーカーなどが銀行などのシステムを受注して、当社が実際に開発するという形が多かったのですが、20数年前、業務アプリケーションを事業の中軸に据えたあたりからは、直接取引が増えています。現状では直接取引が4割程度で、このことが当社の強みになっています。もう1つの強みは、創業時から金融系のシステムに携わってきたので、それだけ、技術的にも、業界の理解度でも一日の長があります。

-- 金融系のシステム開発は難易度が高いですね。

井上 24時間、365日止まってはいけないということが最大の条件です。こうした「ミッションクリティカル」なシステム開発を長年にわたって手掛けてきたことが、当社のシステム開発の品質と信頼性の高さを証明しています。

 今、コンピュータ業界は踊場にいると思います。これまでは「所有するもの」だったコンピュータ、システムは、クラウド化などもあって「利用するもの」に変化しつつあります。つまり「自社でシステムをオーダーメイドするもの」から、クラウドにあるものを活用するという方向に変化するので、システム開発の環境が大きく変わるのです。しかし基幹系、特に金融系のシステムは、そういった流れにはなりにくく、金融系をベースに持っているということは、経営的にも強みなのです。

-- 業界環境が変わる中で、御社はどのような対応を。

井上 まず、新しい分野としてはビジネスインテリジェンス(BI)があります。特に情報分析系で、いわゆるビッグデータにかかわる部分ですが、これはかなり早い段階から取り組んでいます。クロスキャットのBIというブランドイメージもできつつあります。

 具体的にはさまざまな分析ツールを提供するだけではなく、業種・業務に応じた最適な活用を可能にするテンプレートの開発・提供など、企業経営に有益なBIシステムの構築を行っています。例えば、プロ野球の選手の成績管理、POSデータの分析および提案です。この領域では、顧客の業種は本当に幅広い。早くからBIに取り組んでいただけ、当社にはその分析と提案に関するノウハウがあります。

井上貴功氏の戦略 中軸の事業をベースに新たな分野に挑戦

-- 分析だけではなくコンサルティングもやるのですね。

井上 分析をして終わりではなく、それを生かしてどうするのか。次のアクションまで提案します。当社はプログラム、システムを作る製造業でしたが、世の中の仕組みが変わる中で、お客さまが利用するITサービスをコーディネートし、付加価値を見出す、そういったこともできないといけません。

 先ほど、もともと当社は製造業だったという話をしましたが、製造業であれば、付加価値が高くない限り、最終的にコスト競争に巻き込まれてしまいます。特に最近は外国企業で低コストを売りにしている会社もあり、そのようなところとも戦えなくなってしまいます。しかし、サービス業ならば違います。サービスの価値はお客さまが決める。ならば当社もお客さま指向で、サービス業としてやっていこうと考えているのです。

-- 今では顧客の業種も幅広くなっていますね。

井上 確かに、かつては金融系など、ある程度限られた業種のお客さまが多かった。しかし、分析系の仕事は、紹介だったり、クチコミを通じて、本当に多種多様な業種のお客さまに声をかけていただいています。実際に、取引先が多岐にわたるので、社内体制をお客さまの業態別の組織に変更しました。

-- ほかに新たに取り組んでいる分野や、今後の目標をお聞かせください。

井上 これまでなじみがなかった業種の中で、当社のノウハウを結集させた「CC-Quattro」というクレジットカード企業向けのパッケージを開発しました。かつてはオーダーメイドで開発していた分野ですが、これをパッケージ化することで、「クロスキャットは、この分野に強い」というメッセージにもなっています。他にも予算管理ソリューションの「CC-BudgetRunner」、勤怠管理システム「CC-BizMate」といったパッケージもリリースしています。

 コンピュータ業界は、これからも大きく伸びていくと思っています。ただ、今までとは違う形で、あらゆる業態に細かく絡み合う形になっていくでしょう。その中で当社は、あくまでも顧客視点のITサービス業として、お客さまと共に成長していきたいと思っています。

 

クロスキャット社長 井上貴功

【いのうえ・たかのり】

1981年法政大学経済学部卒業。同年小杉産業入社。83年クロスキャット入社。2009年取締役、12年副社長を経て、13年4月から現職。

 

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