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「“こころ躍る住まい”」を経営コンセプトに地方展開を加速--藤井幸雄・フージャースコーポレーション社長

大手による寡占傾向が強まっているマンション業界において、中堅ながら独自路線で成長しているフージャースコーポレーション。同社は今年4月に誕生した持ち株会社フージャースホールディングス(東証1部、廣岡哲也社長)の傘下企業の1つとして、マンション事業を担う。経営環境が厳しい中で、今後の成長戦略を聞いた。 (聞き手/本誌編集委員・清水克久)

経営多角化とガバナンス強化を目指すフージャース

-- 今年4月に持ち株会社に移行した狙いは。

藤井 リーマンショック後に再構築した事業ポートフォリオのさらなる進化を第1に考えたものです。リーマンショック前は、新築マンション分譲の一本柱で事業を展開していたのですが、景気変動に対応できる企業力を身に付けるための商品の多角化を実現してきました。今後も、常に新しい事業にトライしながら人材を育成するとともに、ガバナンスを強化していくという目的を実現させるために持ち株会社制を導入しました。

-- 中堅企業で持ち株会社にする例は少ないのでは。

藤井 これにはリーマンショックへの反省も込められています。会社は事業の拡大のみに一生懸命になりがちです。持ち株会社では、傘下の事業会社が執行する事業全体の大きな流れの舵取りを行います。つまり経営と執行を分離してガバナンスを強化するのです。事業会社に行き過ぎがあれば、持ち株会社が牽制する関係です。持ち株会社には各方面の専門家が社外役員になっております。

 企業の永続的発展を見据えるとき、事業の規模、中身だけではなく、組織もそれに見合ったものでなければいけません。

-- 新たな取り組みは、どのようなものがありますか。

藤井 マンションだけではなく、戸建てにも力を入れていきます。また、地域支店を設立して、新規エリアへの展開にも力を入れていきます。2012年4月には東北支店、続いて京都支店、さらに現在札幌に開設準備室を置いています。

 もともと当社は、郊外型の1次取得者向けファミリーマンションを中心に展開してきました。その理由は、需要があるのに供給が不足しているというミスマッチがあるからです。新たに展開を考えている地方都市はいずれもミスマッチが発生している地域です。このミスマッチを解消し、必要なお客さまに優良なマンションをご提供することが当社の役割です。将来的には全国展開を目指します。

「こころ躍る住まい」で大手との差別化を

-- 御社のマンションの特長はどのような点でしょうか。

藤井 特長として、「こころ躍る住まい」というコンセプトを掲げています。マンションでは基本となる躯体部分での差別化は現在、非常に困難です。そこで、細かな使い勝手に関して、さまざまな提案をしております。「こころ躍る住まい」には4つの軸があり、それぞれ「家事がしやすい工夫」「長く使っていただけるバリアフリー、安心への工夫」「収納へのこだわり」「省エネ性能」となっています。

 これらは当社の半数を占める女性社員が中心となり「本当に暮らしやすい住まい」にこだわって考えました。さらに「こころ躍るコミュニティ」というコンセプトで、住民同士のコミュニケーションを活性化させるような取り組みも行っています。

-- 都心の地価高騰など、事業環境はどうですか。

藤井 そういった部分では、先ほど申しあげた「需要と供給のミスマッチ」を狙って事業を展開することが重要と考えています。もう1点当社の特長として申し上げると、比較的供給が少ないエリアで規模が大きめの物件を扱っていることです。供給が少ないエリアでは競合しにくいというメリットがあります。また、大規模物件はお客さまにとって、共有部分が充実するというメリットがあります。

 中堅のデベロッパーには、エリアによって大規模物件を避けるところもありますが、当社はこの2つのメリットを重視して、積極的に大規模物件を展開しています。

-- 今後、人口減少に伴って、マンション供給が過剰になるという予測もあります。

藤井 大きなトレンドとしては、そういった流れはあるでしょう。でも一方では、現在の住まいに満足している方がどれだけいるのかというと、何らかの不満をかかえている方が非常に多い。分譲マンションと賃貸マンションで、月々のローン返済額と賃貸料がほぼ同じ物件を比較すると、住居としてのクオリティーは明らかに分譲のほうが高い。そういった点で、当社の役割はまだまだ大きいと思います。

-- 大手も郊外型、一次取得者向けを強化していますね。

藤井 そうなればなるほど、当社は自分の役割をきちんと認識しなければいけません。ひとつには、首都圏が大手寡占状態ならば、地方に水平展開していくこと。もうひとつは、持ち株会社傘下の別会社が担っている戸建て分譲やストックビジネスのマンション管理事業の強化です。この水平と垂直の2つの展開が重要です。

 また、供給戸数の数を追い求めると、中堅デベロッパーには苦しい局面が必ずきます。当社はやみくもに供給戸数を増やすのではなく、その内訳を大事にします。地方での供給戸数やリノベーション事業の割合が増えてくることが最も望ましいと思っていますので、当社の強みを生かしながら、新規エリア・新規事業に積極的に取り組みます。

 

フージャースコーポレーション社長 藤井幸雄

【ふじい・ゆきお】

1990年広島大学法学部卒業。同年西洋環境開発入社。2000年オリックス入社。06年フージャースコーポレーション入社。09年執行役員。10年常務執行役員。13年4月より現職。

 

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