経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

質の高い積極的な店舗展開でリーディングカンパニーを目指す–Best Delight Group

2020注目企業38

 少子化や娯楽の多様化に伴って、厳しい経営環境に追い込まれているレジャーホテル業界。各社の優勝劣敗が鮮明になりつつある中、従来の枠にとらわれない独自のサービスで躍進するBest Delight Groupは、新たに首都圏での店舗も拡充し、その勢いをさらに加速している。(『経済界』2020年4月号より転載) 

桝村健右氏

Best Delight Group代表取締役 桝村健右(ますむら・けんすけ)

充実したサービスで新たな顧客層を開拓

「レジャーホテル業界では、積極的な投資によって新たな顧客を獲得しているホテルと、旧来の設備のままで売り上げが上がらないホテルへの二極化が急速に進み、業界全体としてはあまり良い状況ではありません」と語るのは、Best Delight Groupの桝村健右代表だ。前者の代表ともいえる同社は、既存ホテルの買収などによりこの1年で店舗数が飛躍的に増加し、現在は全国52棟のホテルを運営している。

「この業界も他の業界と同様に、後継者不足などを理由に売りに出されるホテルが少なくありません。そうした物件を精査しながら、今後も都市部を中心にネットワークを広げていきます。3年前に策定した中期経営計画では、2026年に売上高100億円という目標を掲げましたが、前倒しして23年には実現できそうです」と同氏は自信を見せる。

08年に創業して以来、12年足らずでここまでの急成長を成し遂げてきた理由については「この業界は、もともとホテルを建てれば儲かる時代が長く続いたせいで、顧客サービスが十分ではありませんでした。当社では創業以来、特別な取り組みというよりは、他の業界では当たり前となっているサービスを実直に徹底すると同時に、顧客の顔を見ながら1棟ずつ丁寧にリニューアルを行ってきたことが評価されているのでは」と分析する。

そんな同社のホテルでは、ウォータースライダーやボルダリング、ゴルフシミュレーターなど一風変わったアミューズメントを数多く取り揃えている。

「待っているだけではお客さまは来てくれません。ホテルを改築する際には、多くのアミューズメント系の設備を取り入れながら自ら発信していくことで、レジャーホテルの固定観念自体を変えていきたいと考えています」という言葉どおり、ツイッターやLINEなどのSNSを積極的に活用し、カップルだけではなく女子会やビジネスユースといった新しい利用法を提案している。

また、フード関係の充実ぶりも目を見張るものがある。パーティー需要などに応えるため、業者任せにせず、クオリティーの高い独自のメニューを開発している。ホテル数が増えていることも踏まえ、今後はセントラルキッチンの導入なども検討し、現場の省力化につなげる考えだ。

海外進出を機に業界トップを狙う

何よりも桝村代表が注力するのが接客サービスの充実だ。

「まず、働き手の意識改革が必要です。従業員が高い意識を持って働けるように社内教育を徹底し、各ホテルのサービスレベルを統一していきます。また人材採用に関しては、現場の省力化で従業員の負担を軽減しつつ、コールセンターを活用したフロントの集中化などでコストを削減した上で、他のサービス業と比較して少しでも高い時給を設定し良い人材を集めたいですね」

今夏には東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、世界中から訪れる観光客に対して首都圏でのホテル不足が深刻な課題となっている。そうしたインバウンド需要の取り込みにも積極的だ。

「レジャーホテルだからといって色眼鏡で見ない外国人観光客には、一般的なホテルに比べてリーズナブルな料金にもかかわらず、広い部屋や充実した設備を備えている点は大いに魅力的に映るようです。現在はインバウンド関係の利用はまだ数%程度ですが、館内の外国語対応も積極的に進めていることもあり、オリンピックを機にこの数字は大いに伸びるものと期待しています」

「ロータス豊中」

「ロータス豊中」のラグジュアリーな室内

同社では、さらなる成長に向けて海外にも活路を見いだしている。今夏には、初の海外店舗としてミャンマーに出店する予定だ。東南アジアにはカップルで利用する日本式のレジャーホテルは少なく、20代の若者が多いこれらの国々で、大きなニーズ、高い収益が見込めるという。現地の安価な人件費も踏まえ、多店舗展開も視野に入れている。

市場規模が1兆5千億円といわれるレジャーホテル業界だが、売り上げ100億円を超える企業は存在しない。同社が23年に100億円を達成すれば、業界トップの座を手中にすることになる。しかし、桝村代表はそのさらに先、年商1千億円という高い目標を掲げている。

「当社が業界のリーディングカンパニーになれば、業界の位置付け自体も変わってくると思います。情熱のある経営者が増え、業界全体が活性化するような流れを先頭に立ってつくっていきたいですね」

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会社概要
設立 2008年4月
資本金 1,000万円
売上高 約60億円
従業員数 約1,000人(グループ全体、パート・アルバイト含む)
事業内容 ホテル経営・運営およびコンサルティング業、不動産売買
・仲介およびコンサルティング業
http://best-delight.com/
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