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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「グループの総合力で不動産投資ビジネスのリーディングカンパニーを目指します」--宮島大祐・ケネディクス社長

1995年に、米国不動産会社のケネディ・ウイルソン・インクの子会社として設立された。その後、日本は金融危機の荒波に直面したが、資産流動化の中で本格的な不動産証券化ビジネスが登場、同社はその勃興期から活躍してきた。2008年のリーマンショックの影響で経営環境が一挙に悪化した。昨年来、不動産市場も回復した中で、ようやく攻めの体制が整った。 (聞き手/本誌編集委員・清水克久)

60超の私募ファンドと3つのREITを運用と語る宮島大祐氏

-- まず、御社の事業内容についてお聞かせください。

宮島 ひと言で言うならば不動産を投資対象とした資産運用会社です。中規模オフィス、賃貸住宅、物流施設をそれぞれ対象とする3つのREIT、それに60を超える私募ファンドを組成、運用しています。お預かりしている資産残高は約1兆1千億円で、そこから生じる運用報酬が当社の利益の源泉です。

 具体的には、中規模のオフィスビルに投資する「ケネディクス不動産投資法人」、賃貸住宅に投資する「ケネディクス・レジデンシャル投資法人」、そして三井物産と共同で運営している物流施設などを投資先にした「日本ロジスティクスファンド投資法人」の3つの上場ファンドを運営しています。このほかに私募ファンドでの運用があるわけですが、私募ファンドとREITでほぼ半々、約5千億円ずつ運用しています。REITに組み入れる物件は、一定のクオリティー、リターンを長期的に得ることが主目的です。ですから、既存の物件でクオリティーが高いものは、REITで扱うことが多いですね。

 一方、既存のビルを建て直す、または古いビルを改修して新たにビジネスを始めるような場合は、私募ファンドになります。倉庫などの物流施設は、新たに倉庫を開発・運用して私募ファンドで利益を出したら、REITに売却するというようなこともあります。このようにREITと私募ファンドを棲み分けていくことが重要なのです。

-- なぜ大型ではなく、中規模オフィスに限定しているのですか。

宮島 大手不動産会社と同じ土俵で戦っても仕方ないという面もあるのですが、実は、東京のオフィスビルに入居するテナントの内、94%が従業員29人以下の会社です。大きなビルは魅力的ですし目立つのですが、マーケットとしては、中規模オフィスが大多数なのです。

 それら中規模以下のオフィスビルは、かつては個人の資産運用の手段として建築、運用されていたのですが、近年は競争も激しく、メンテナンスにも手間がかかります。それでREITやファンドに売却するというニーズがあるのです。

宮島大祐氏の戦略 ヘルスケア施設など投資対象は多彩に

-- 昨年あたりは、都心のオフィスビルに供給過剰感がありましたが、現状はどうでしょうか。また東証Jリート指数も低迷していましたが。

宮島 国内では東日本大震災があり、世界の金融マーケットでは欧州経済危機が長期化し、その影響を強く受けていたことは事実です。その結果として、日本の不動産価格は、長期間にわたって安価のまま止まっていたのです。一方、その間、世界はどうだったかと言えば、米国では不動産価値が急回復、アジアも経済成長と共に地価が上昇し、欧州も英独仏などは堅調でした。ひとり、日本だけが蚊帳の外だったのです。

 それが昨年暮れに安倍政権が誕生し、大幅金融緩和を主軸とする〝アベノミクス〟の経済政策の効果もあって為替が円安に転換して、株価も大幅に上昇しました。その経済効果で不動産マーケットにも資金が流れ始めました。そして世界中の投資家が株はもちろんですが、日本の不動産にも好意的な目を向け始めました。日本の不動産は、安価で放置されてきましたが、今後経済成長が期待される中で地価の上昇を見越したマネーが世界中から集まり始めているのです。本来のバリューよりも安かった日本の不動産価格が、適正なところに戻りつつあるということです。

 また、これまでは賃貸住宅が投資先として人気が高かったのですが、今は高い成長が見込めるオフィスなどにもシフトし始めています。倉庫などの物流施設も成長期待という点で評価が高く、新たなREITが組まれています。それにヘルスケア施設、老人介護施設なども投資先として注目され始めました。これらの分野は米国では既に大きな投資マーケットになっています。今後需要が伸びることが想定できる分野ですから、市場からの資金流入で、安定的に優良な施設が運営できるようになることは望ましいことです。

-- 昨年末、3社共同事業の新規開発案件として新生銀行旧本店(東京・千代田区)ビルを取得されましたね。

宮島 新生銀行旧本店ビルの件は、当社にとって復活の狼煙のような意味があります。世界的な金融危機以来、苦しい時期が続いていたのですが、経済環境の変化もあり、これからは大きな成長が期待できます。霞が関エリアにある新生銀行の旧本店ビルは日比谷公園に近接するなど立地もよく、賃貸オフィスビルとして高い資産評価を得られると考えています。

-- 今後は日本でもREITが大きく普及するのでしょうか。

宮島 REITというシステムは、バブル後の日本不動産市場を救ったシステムです。今や米国では、電波塔を投資対象とするREITがあるほど、浸透しています。今後、日本でもREIT、あるいは不動産ファンドの存在意義はますます高まっていくでしょう。

 

ケネディクス社長 宮島大祐

【みやじま・たいすけ】

1985年慶応義塾大学卒業。同年三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行。98年ケネディクス入社。2005年ケネディクス不動産投資法人執行役員、12年ケネディクス取締役。13年3月から現職。

 

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