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「4つの事業を柱として、30年後も 存続する安定企業を目指す--脇田栄一・ラ・アトレ社長

バブル崩壊やリーマンショックなどの影響で、長らく苦戦が続くマンション業界。少子化や消費者ニーズの変化もあって、経営環境は依然として厳しいものがある。その中で、規模は中堅ながら独自戦略で着実な成長を目指しているのがラ・アトレだ。今年3月、社長に就任した脇田栄一氏に今後の経営戦略を聞いた。

右肩上がりにこだわらず、持続可能な企業を目指す脇田栄一氏

-- 今年3月に社長に就任されたばかりですが、まずは会社再建に懸ける意気込みをお聞かせください。

脇田 以前は、自ら起ち上げた会社で不動産の企画開発、仲介事業などを手掛けていました。不動産市況の停滞で当社の業績が低迷する中、前社長の岡本英から「会社の立て直しは心機一転、社外からの新しい人材で」という考え方の下、以前から面識のあった私に声が掛かり、今回の社長就任となりました。リーマンショック以降、マンション業界は大手による寡占が進み、上位10社で新築マンション供給の約半分を占めています。そんな中、年間供給戸数が100戸程度という当社の規模では、従来のやり方は通用しません。根本的な事業戦略の転換が必要だと考えています。

-- どのように変えていくのでしょうか。

脇田 まず、会社の目標自体を考え直さなければなりません。そもそも、企業は成長を前提としているので、常に目標を右肩上がりに設定してきました。しかし、デフレが長く続き、日本の人口も増えない中では、常に右肩上がりの成長を目標にするのはやや無理があります。そのため、当社ではまず「持続できる企業であること」を大きな目標に据えることにしました。単に売り上げ、利益を拡大していくだけではなく、10年後、30年後にこの会社がどうあるべきかまで考えて経営をしていくことが重要です。

-- 具体的には。

脇田 まず、地に足がついた経営を心掛けます。例えば、景気が右肩上がりの時は、営業担当者が自らの判断で動くという場面が数多くありました。業績が上がれば自分の実績になり、モチベーションも上がるので良かったのですが、環境が悪化すると逆に悪循環に陥ってしまいます。担当者は成績を上げるために無理な事業を行い、結果として収益の悪化につながります。売り上げを上げるためだけに躍起になるのではなく、収益が上がるように個別の案件をしっかり精査し、責任は決裁権者が取るという体制、つまり経営者の目が届く範囲での事業展開が重要です。また、事業規模についても、マーケットの状況に合わせて事業を継続していく適正規模を意識していきます。

脇田栄一氏の戦略 4つの事業を柱に長期的な安定成長を見こむ

-- 今後の事業展開は?

脇田 4つの事業を柱に展開していきます。まず、創業当時から手掛けてきた中古マンションのリノベーション販売事業。次に、新築マンションの企画開発、販売事業。さらに不動産管理事業、最後に不動産ソリューション事業です。

-- まず、リノベーション事業についてお聞かせください。

脇田 これは、当社が業界ではパイオニアと言っていい事業で、経験値、ノウハウともに他社より優位性があります。中古マンションの企画には、新築マンションとは全く異なる実戦経験と勘、情報収集力が欠かせません。この事業で注意しなければならないのは、決して価格競争に陥らないこと。そのためには、万人受けする物件ではなく、ひとりの人が絶対に欲しいと思う物件を企画することです。

-- 2つ目の新築マンション販売については。

脇田 本来は、自社で用地を取得しマンションを企画開発、販売するのですが、それだけではなく、他社が企画開発した物件を取得後、販売を行ったり、他社物件の販売受託も行っていきます。この分野で重要なことは、営業部隊を存続させることです。同業他社では、営業をすべて外部に委託している会社もありますが、バブル崩壊以降の業界を見ていると、コスト削減のために営業を外部委託した企業は軒並み淘汰されています。売り上げが不振の時期は営業部隊の存続が負担になりますが、ここを削ると企業の競争力が落ちてしまいます。デベロッパーとして存続していくには、顧客の声をダイレクトに吸い上げる営業部隊の存在は不可欠です。

-- 不動産管理業、不動産ソリューションは。

脇田 不動産管理は、安定収入が見込める分野です。今後、管理物件を増やすことで経営の安定化を図ろうと考えています。また、不動産ソリューション事業ですが、商業施設の企画、開発はこれまで当社が避けてきた分野です。しかし、これからは積極的に取り組みながら、開業した物件の管理を行うことで、3つ目の管理事業の拡大にもつながっていきます。

-- 大阪にも支店を出店されましたね。

脇田 一気に大阪で事業を拡大していこうとは、まだ考えていません。ただ、日本で2番目の都市に出店することで、さらなるビジネスチャンスを探りたいと思っています。長らく業績が低迷したことで、当社の社員には負け癖がついていましたが、しっかりと利益を出せる成功体験を積み重ねることで、そうした負け癖もようやく一掃されました。

 今後も身の丈に合った、そして地に足がついた経営を行い、健全でかつ長期的に持続可能な企業に生まれ変われるように努力します。

 

ラ・アトレ社長 脇田栄一

【わきた・えいいち】

1996年東洋大学経営学部中退。89年マックス企画設計社長就任。2012年2月ラ・アトレレジデンシャル取締役、同年6月ラ・アトレ副社長を経て今年3月から社長。

 

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