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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「楽・学・挑・働の4つのキーワードで 今後も大学改革を進めていきます」--嘉悦 克・嘉悦学園理事長

大学の挑戦

1936(明治36)年、日本における初の女子向け商業高等教育機関として誕生した嘉悦学園。永らく女子短大として存在感を発揮してきたが、2001年に4年制大学に改組。昨年4月には実学重視の観点から「ビジネス創造学部」を設置するなど着実に改革を進めている。今後の運営方針について嘉悦克理事長に話を聞いた。(聞き手/本誌編集委員・清水克久)

歴史ある女子短大から4年制共学校に

-- 女子短大から4年制の共学校に改組された背景は。

嘉悦学園 理事長
嘉悦 克(かえつ・こく)
1939年生まれ。スイス国フリブール州立大学教育学部2学年修了。66年嘉悦学園企画室。73年常務理事。2001年嘉悦女子中・高等学校(現かえつ有明中・高等学校)校長。07年から現職。公益財団法人東京都私学財団理事長など公職多数。

嘉悦 本学園が誕生した頃、既に日本女子大学や津田塾大学もあったのですか、それらとの違いは商業教育を専門としたことです。明治維新後、資源小国である日本が世界に羽ばたいていくためには、人材の育成がすべてでした。そのためには男子に限らず、女子にも男子と変わらない教育を受けさせるべきだという考えがあったのです。

 創立から100年以上がたち、あらためて創立時の理念に立ちかえってみると、女子の社会進出という目的はおおむね達せられたと思っています。しかし、資源小国である日本にとって、教育の重要性は変わりません。そこで男女問わず、より充実した体制づくりのために、4年制の共学校に改組したのです。

-- 昨年、「ビジネス創造学部」も開設されましたね。

嘉悦 従来は経営経済学部だけでしたが、今回、開設したビジネス創造学部は、実学教育を重視する本学園の理念そのものを体現したものです。学びと同時に、実践的な力を身に付けることを目的としています。カリキュラムも単なる実習にとどまりません。

-- 貴校の特徴は。

嘉悦 短大時代から「就職の嘉悦」「簿記の嘉悦」と言われていたように、今も卒業生で簿記の資格、公認会計士の資格取得者は少なくありません。入学直後からキャリアガイダンスを始めており、資格取得やインターンシップの活用も積極的に行っています。卒業後も含めて面倒見がいいことも特徴です。

 現在、本学では「楽」「学」「挑」「働」の4つのキーワードを掲げています。まず「楽」とは、楽しくなければ学びも進まない。成長するには楽しむことが重要という意味です。「学」ですが、本学園では「半教半学」という考えを実践しています。これは緒方洪庵の適塾で行われていたもので、学生が教員の手伝いをしたり、先輩が後輩の面倒を見たりしながら授業を行うものです。もともとは慶応義塾大学藤沢キャンパスにおいてSA/TA(教育補助員)として1990年代の初頭に誕生した制度です。

「挑」とは挑戦しなければ成功はない。その挑戦できる環境づくりに力を入れています。

 最後の「働」ですが、本学園の特徴的なキーワードとして、「働ける大学」という言葉があります。これは単に、就職に強いという意味ではなく、学生が実際に学内で働いているのです。

 通常、多くの学生がアルバイトを経験しますが、そのために午後の講義は履修しない、バイト先への移動で時間がかかるといった問題があります。その解決策としてひらめいたのが、学内にも学生が働ける場所がたくさんあるということです。図書館の事務やオープンキャンパスのスタッフなど、アルバイトとして学生に実際に働いてもらっています。そうすることで、学業を疎かにせず、働くことができるのです。

 現在、学生の1割程度が学内で働いています。同時に設置されたヒューマンリソースセンター(HRC)がそれを支援しています。信頼されて仕事を任されることで、学生側にも責任感とプロ意識が芽生え、教育的にも非常に効果があります。

「怒るな働け」を肝に銘じ今後も大学改革

-- 他に特徴的なものは。

嘉悦 カリキュラム上で重視していることの1つが初年度教育です。高校を出たばかりの状態ですと、論理的な文章を書く能力がなく、人前で発表するスキルもない学生がほとんどです。それを1年次に徹底的に教えています。これができて初めて高等教育が受けられると言っていいかもしれません。

 また、学生が24時間、学内で学ぶことができる環境も整えています。事前の申請が必要ですが、「KALC(Kaetsu Active Learning Classroom)」と称する教室を整備し、1人で課題に取り組んでレポート書いたり、仲間たちとグループワークや語り合いに没頭したり、学園祭の準備をしたりと、大学という「学び場」を24時間楽しめるようにしています。

-- 地域連携も取り組んでおられるそうですね。

嘉悦 小平市で、小平市大学連携協議会というものを起ちあげており、こだいらブルーベリーリーグとして設立し、市内の6大学の1つとして地域との産学連携なども行っています。

-- 100年を超える歴史の中で実学を尊重された建学の精神が活きているのですね。

嘉悦 建学の精神を表す言葉として「怒るな働け」というものがあります。「怒るな」は人間の和、さらには平和を表し「働け」は人間社会に欠くことのできない財の生産を意味する世界観、人生観です。世界平和を窮極の目的とした金言であって、本学園の伝統をもっとも端的に表現した深遠の哲理だと思います。この言葉を肝に銘じて、嘉悦大学を「日本を代表する教育機関」にするために、粉骨砕身努力してまいります。