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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「エレクトロニクス専門商社から付加価値のある独自サービスを提供できる企業へ変革します」ーー佐鳥浩之・佐鳥電機社長

戦後の高度経済成長期を経て現在に至るまで、日本のエレクトロニクス産業を支えてきた専門商社である佐鳥電機。リーマンショック以降の事業環境の変化を教訓に、自社オリジナル製品の開発に積極的に取り組んでいるほか、自動車、医療機器産業などの成長分野への進出や、海外事業も加速させている。チャレンジングな改革に着手している佐鳥社長に今後の方針を聞いた。(聞き手/本誌編集委員・清水克久)

佐鳥浩之氏は語る 外部環境の変化に対応すべく独自性を強化へ

―― まず、御社の事業内容をお聞かせください。

佐鳥 エレクトロニクス部品、機器の専門商社です。1947年にNECと住友電工の販売代理店として創立し、その後、エレクトロニクス業界の発展とともに、パナソニックの半導体電子部品やCKD等の制御系機器など、取り扱い商材を拡充してきました。製品や装置の中に使われる部品やユニットを提供するのが当社のビジネスの中心で、この位置付けは今後も大きくは変わらないと思います。

―― リーマンショックで大打撃を受けたそうですね。

佐鳥 2005年度には2300億円の売上高がありましたが、リーマンショック以降、東日本大震災、タイの洪水、円高の定着等、事業環境の大きな変化により昨年度は1300億円にまで落ちこみました。販売・物流といった商社の基本的な機能だけでは当社の価値を維持することはできなくなりました。そこで、当社の企業価値を再び高めるために昨年、連結売上高2千億円を数値目標とした中期計画「チャレンジ2000」を策定し、グローバルに取り組んでいます。

―― 自社の企業価値を高める方策とは。

佐鳥 重点的に取り組んでいる自社製品事業、組込機器・部品材料事業、外資系商材事業があります。これら3つの事業を、「ソリューション」「コラボレーション」「グローバル」をキーワードとして、もともと当社が得意とするデジタルカメラ、事務機器、PCといった市場や、自動車関連、医療機器関連等の成長市場に向けて伸ばしていくことを、佐鳥グループの基本的な戦略として取り組んでいます。従来は外部環境に影響を受けやすい業態でしたが、今後は、自社の優位性、競争力を高めることで、自分たちで価値を生み出していける企業に変わろうとしています。

―― 特に期待し、力を入れている事業は何ですか。

佐鳥 1つ目には自社製品事業です。昨年、エコ・産業インフラ市場をターゲットに920MHz無線モジュールを製品化しました。半導体電子部品商社としてマイコンやソフトウエア開発等、長年培ってきた技術力をベースにしたオリジナルモジュールの拡充に努めています。大手メーカーにない顧客対応力を武器に、積極的に提案活動を推進しています。また、お客さまの要望に応じて、お客さまが求める機能、性能を持つユニットやモジュールをお届けするプロダクトサービスモデルがあります。一例を挙げると、携帯電話ショップでのデータバックアップ用端末があります。これは、機種変更時にデータをバックアップ、移行するための専用端末です。中身はPCをベースとしており、さまざまな機種との着脱が繰り返されるため、通常の端末より高い堅牢性と安定性が求められます。顧客との打ち合わせを繰り返して、どういった性能、機能、堅牢性が必要なのかを明確にし、当社で製造、納入しています。

佐鳥浩之氏の思い ユニークな商材を見いだして売上高2千億円へ

―― 単なる商社機能ではなく、御社が間に入ることによって、顧客が求める部品やモジュールを産み出していくということでしょうか。

佐鳥 半導体の分野では、海外のさまざまな企業と連携する、ファブレスソリューションにも積極的に取り組んでいます。半導体の製造はその全工程を1社で担っていましたが、最近では水平分業が進んでおり、設計に強い会社、検査に強い会社、製造に強い会社など、顧客にとって最適な海外企業を取り纏めて、顧客が求めるカスタム半導体を作っていくビジネスモデルが育ちつつあります。そのコラボレーションの中核を担っていきたいと思います。このような新たなビジネスモデルを創り上げることで当社の価値を高めていきたいと考えております。

―― 今後の事業展開の中で、海外での展開は欠かせないでしょうね。

佐鳥 もともと当社の海外事業は現地企業への販売を主としていましたが、台湾をはじめ、米国や韓国などの海外拠点に新商材発掘を目的としたスタッフを常駐させました。現地発のユニークで特徴のあるメーカーや商材を日本市場へ提案し、当社の新しい価値を提供するために取り組んでいます。一例ですが台湾のベンチャー企業、ProLogium社の薄くて、燃えない、折り曲げることができる二次電池があります。スマートフォンの外付けバッテリーは重く、嵩張るものが多いのですが、このバッテリーは薄くて軽い上に折り曲げられるので、スマートフォン用カバーに内蔵することもできます。こういった新しいユニークな商材を見つけ、日本市場で実績をつくっていくことで、新しい価値を提供していきます。「ソリューション」「コラボレーション」「グローバル」をキーワードとした新しい価値を創りあげることにより「チャレンジ2000」を実現させていこうと思っています。

 

佐鳥電機社長 佐鳥浩之

【さとり・ひろゆき】

1989年成蹊大学経済学部卒業後、同年NECに入社。95年佐鳥電機入社。2002年取締役、07年常務、11年専務、12年副社長を経て13年6月より現職。

 

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