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経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「ビッグデータをキーワードに新たな市場を切り拓いていきます」--望月 学(日本SGI社長)

望月 学氏

映画をはじめとするCGグラフィックスで名高い米シリコングラフィクス社の日本法人として四半世紀の実績がある。大量のデータを高速処理するコンピュータ技術の先駆者は、新たなマーケットの獲得に向けて動き出した。聞き手=本誌編集委員/清水克久

望月学氏の思い 3DCGの先駆者からスパコンのサプライヤーに

-- まず御社の業務内容をお聞かせください。

望月 もともとは米国のグラフィックスコンピュータのトップメーカーです。スティーブン・スピルバーグ監督の名作「ジュラシック・パーク」のCGを制作したグラフィックスコンピュータを製造・販売する会社でした。今では、その技術を生かしてHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、いわゆるスーパーコンピュータを販売しています。日本ではJAMSTEC(海洋研究開発機構)の地球情報基盤センターや統計数理研究所などの研究機関にスーパーコンピュータを提供しています。

-- 競争が激しい業界ですが、御社の強みは。

望月 大きくは3つあります。まず1つ目は最新のテクノロジーがあるということ。コンピュータは、CPUやメモリなどをアッセンブリする世界です。そこに、SGI独自のプラットフォームができています。2つ目は、ただコンピュータを提供するだけではなく、インテグレーションできること。3つ目が、創業時から培ってきたグラフィックスの技術で可視化のソリューションを提供できるということです。例えば、大容量のデータを処理し、その結果を画像として表現することを最も得意としています。競争が激しい業界ですが、その最前線で闘い続けてきたユニークな会社です。

-- 研究機関向けのほか、どのようなユーザーがありますか。

望月 現在は、ビジネスの6割程度が公共関連、いわゆる公的な研究機関になっていますが、メーカーなどのハイエンドのシステムの需要も大きい。

 例えば自動車メーカーにおいては、これまで数多くの製品開発をサポートしてきました。今日、メーカーには、高品質な製品をいち早く市場に投入することが求められています。製品開発において、従来のように時間をかけて実験を繰り返すだけではなく、そこにHPCでのシミュレーションをベースにした解析を行えば、時間が相当節約できます。解析で得た結論から、それを確認するために実験を行うのですが、解析することで実験の回数を大幅に減らすことができ、結果的に短期での市場投入が実現するのです。

 医療関係でもDNAの解析など、膨大な情報を短期間で解析する際にHPCが活用されています。また、人体の血液の流れを解析して、その結果を高精細のディスプレーに映し出すということも可能です。こういった3DCGも今では最先端の研究分野で当たり前に使われるようになっているのです。

SGI社製スーパーコンピュータ SGI ICE X

SGI社製スーパーコンピュータ SGI ICE X

望月学氏の戦略 ビッグデータ解析で生きるSGIの技術力

-- 昨今では、ビッグデータが話題になっていますね。

望月 3DCGを作成し、それを動かすということは、膨大なデータを高速処理するということです。これは、まさにビッグデータそのものです。ビッグデータには3つのポイントがあります。まず、データ量が膨大であるというボリューム。次にバリエーション、つまりデジカメの画像データ、動画データ、SNSでのやり取りなど、多種多様なデータがあるというバラエティー。3つ目が、ベロシティ、つまり大量の多種多様なデータを高速で処理するスピードです。この技術こそ、まさにSGI独自のプラットフォームが生かされる分野であり、ビッグデータのアーカイブ、分析に関しては25年の蓄積があるということです。

-- 今後は新たなマーケットも産まれてきそうですね。

望月 既に新しい取引先が増えてきています。一例ですが、テレビ局をはじめとするメディアも重要な取引先です。過去の映像などのアーカイブをどうするのかという点は各社の大きな課題ですし、アーカイブしたデータを必要なときにすばやく取り出せるかということも求められます。これは何もメディアに限ったことではありません。大量のデータを高速処理し、保存し、必要なときにすばやく引き出す、この3つはどんな業界においても求められていくものです。当社が培ってきた技術が生かされる時代になりました。

-- 今後の展望は。

望月 私自身のミッションは3つあると考えています。まず、HPCマーケットで優位に立つことです。次にエンタープライズ化です。日本ではまだまだ官公庁関連の仕事が多いのですが、これからは民間企業向けビジネスを増やしていくつもりです。3つ目は、HPCそのものはビジネス分野としては大きくなりにくい。そこをビッグデータというキーワードをベースに、いかに大きく成長させていくか、この3点が課題と考えております。当社には25年の蓄積があり、数多くの有能なエンジニアがいます。彼らのスキルが今の日本SGIをつくってきたと言ってもいいでしょう。彼らと共に、3つのミッションを実現していきたいと思っています。

日本SGI

望月 学(もちづき・まなぶ)
1981年中央大学卒業、同年富士ゼロックス入社。日本シリコングラフィックスを経て96年日本ヒューレッド・パッカード。2009年MSCソフトウェア製造営業部統括部長。11年SAPジャパン、バイスプレジデント。14年1月より現職。

 

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