一般住宅に有料で観光客などを泊める「民泊」をめぐり、観光庁などの有識者会議が3月15日、中間報告を大筋でまとめた。民泊を旅館業法上の「簡易宿所」に位置付けるほか、仲介業者や管理事業者に対する規制の検討などが明記された。ただ家主が同居する「ホームステイ型」の要件緩和なども示された一方、多くの課題についての結論は先送りされた。
これまでの議論を受け、中間報告では民泊事業者に対し、都道府県などから営業許可を得るよう義務付けるが、許可を取りやすくするため、一律「33平方メートル以上」としていた簡易宿所の延べ床面積基準を「1人当たり3・3平方メートル」に緩和する。宿泊者の本人確認や緊急時の対応が確保されれば、フロントの設置も求めないとした。
「ホームステイ型」など一定の要件を満たす民泊については、将来的に自治体から許可を得なくても、届け出のみで営業できるよう整理されるべきとした。家主がいれば管理が行き届きやすく、近隣住民とのトラブルが起きにくい状況を踏まえた対応という。
一方、結論が先送りされた課題も目立った。トラブル防止については「何らかの措置を検討」との表現にとどまったほか、「ヤミ民泊」を普及させる仲介事業者の規制についても「実効性を担保することや旅行業法との関係を整理する」と記されただけで具体的措置の言及は避けられた。
有識者会議の発足から4カ月足らずで中間報告がまとめられた背景には、都市部を中心に宿泊施設の不足が深刻化しているにもかかわらず、現行制度では民泊が違法となるケースが多いことがある。政府は観光立国を成長戦略の柱に据えており、最終報告を6月に前倒しし、必要な法整備についても「早期に取り組む」としている。
だが中間報告のあいまいな表現は、民泊と競合する旅館・ホテル業界との対立も浮き彫りにした。最終報告に向けた調整も難航が予想されており、事業者の参入意欲が削がれる可能性も出ている。
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