年内の大筋合意を目指す太陽光パネルなど環境関連製品の貿易自由化に向けた世界貿易機関(WTO)の「環境物品協定(EGA)」交渉で、中国が驚くべき主張をしている。それはEGAの関税撤廃対象品目に自転車を含むよう提案してきたのだ。国内の自転車市場が飽和の危機にあり、輸出拡大に活路を見いだそうと躍起だが、交渉に臨む各国はその強引な姿勢に辟易としている。
「自転車は排ガスもなくエネルギーを使わないエコな乗り物。当然、環境物品として扱うべきだ」というのが中国側の主張である。ちなみに中国は「早く生育できて使い勝手が良く、コンクリートに比べて熱を使わない」という理由で竹製品(床パネル)を既に環境物品の対象として提案している。
この自転車関税の撤廃に特に反発を強めているのが、ビアンキやキャニオンなど世界的な有名自転車を多数抱える欧州連合(EU)だ。そもそもEUは2011年に中国製自転車への反ダンピング(不当廉売)課税(税率48・5%)の5年間の延長を決定するなど、中国自転車の域内流入に対して厳しいハードルを設置している。実際、EU加盟28カ国中22カ国が関税撤廃に反対を表明しているのだ。
14年に始まったEGA交渉は、アジア太平洋経済協力(APEC)が12年に合意した54品目をベースに関税撤廃し、さらに撤廃対象品目を拡大する方向で協議を進めている。54品目は、バイオマスボイラー発電機などの部品や大型発電用ガスタービン、風力発電機やその部品、陽光パネル、環境計測機器など。こうした対象品目をベースに考えた場合、「自転車を環境物品と認めるのは、あまりにも強引なこじつけ論」というのがEUの主張である。
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