経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

目が離せない小池都知事の2017年

イラスト

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イラスト/のり

水面下で行われた情報戦強大な政治力による圧力

2016年11月。本連載で小池百合子東京都知事の今後のシナリオを予測した。小池知事の政治塾「希望の塾」は、「小池新党」の布石以外にないこと、いずれ東京都議会自民党とは予算などをめぐって本格的な攻防が始まることなど――。

取材どおり、それらが本格的に始まった。ただ、私の読み違いは「タイムスケジュールがとても速い」ということだ。

12月初めに行われた定例記者会見。どんな厳しい質問や批判にも、ニヤリとしながらさらに上を行く皮肉さえ返す小池知事にしては極めて珍しく色をなした場面があった。

五輪施設の見直しについて、記者が、「結論が先送りされているバレーボール会場の横浜アリーナ活用案が難しい状況」とした上で、海の森競技場のボート・カヌーも被災地に移設できなかったなど3施設は従来計画と変わらず、「大山鳴動してネズミ一匹」ではないかと質問した。

すると、小池氏は質問を遮り「ちょっと失礼なのじゃないですか」と反論。さらに柔和ながらも目は決して笑っていない表情で続けた。

「このままいくと豊洲ではないが、(金額が)どんどん膨らんでいた。誰が歯止めをかけるのか。組織委員会? 結局は都民にその費用がかかってくる。ネズミどころか、大きな黒い頭のネズミがいっぱいいることが分かった。これから頭の黒いネズミをどんどん探して行く」

小池知事がこうした忸怩たる感情を見せたのは、一連の五輪施設見直しの水面下で、激しく繰り広げられていた組織委員会などによる情報戦、プレッシャー、根回しがあったからだ。

知事の側近の1人が話す。

「バレーボールを横浜アリーナに移す案は、つい最近まで小池さんと林文子市長は協力して行こうと電話で話していたが、知人の横浜市の幹部に聞いたら、組織委員会や競技団体の関係者がいろんな人脈を使って、市長や横浜市職員、横浜市の財界などに電話などで働きかけていたようだ。相当威圧されたと……」

こうした動きは、海の森の移転先に挙がっていた宮城県についても、「県知事や県庁関係者に対して直接、または自民党国会議員、地元の財界など間接的にあらゆるラインを使って説得し、海の森への流れを作って行った」(宮城県庁幹部)という。

都議会に投げ込んだ“爆弾”とは

ところが、これで引き下がる小池知事ではない。五輪施設や豊洲新市場問題が思うように進まない中で、大げさではなく「爆弾」を投げ込んだのだ。

「それは、これまで都の予算案の中に慣例で議会向けの復活折衝枠として設けられてきた200億円を廃止すると宣言したことです」(小池氏側近)

この200億円は、都議会にしてみれば、組織・団体や有権者が望む政策を叶え、権威や選挙対策を維持するための生命線と言える。自民党都議団幹部は「小池知事もわれわれと距離を測りながらやってくるかと思っていたが、もはや全面戦争。こちらも知事を退陣に追い込むような戦いになるかもしれない」と言い切った。

併せて、小池知事は来夏の都議選に地域政党を立ち上げ候補者を擁立することも明言した。

「知事選で小池さんを応援して自民党を除名になった7人の区議のうち2人が都議選に出る準備をしている」(区議の支援者)ほか、既報のどおり「小池知事の政治塾『希望の塾』から1月中にも選抜メンバーを絞り、選挙対策などの分科会も始め候補を選ぶ」(前出側近)という。

来夏の都議選を国政選挙並みに位置付ける公明党は小池知事に同乗する。公明党支援者にも小池ファンは多い。

「12月議会では公明党がはっきりと小池与党で、自民党との連携解消を明言。小池さんは都議会民進党とも連携を約束しています」(別の会派幹部)

公明・民進が与党なら、小池新党の当選者は20人通るだけでゆうに過半数を確保する。

まずは2月定例会で、200億円の復活枠カットの予算案が審議される。小池知事は税金の使い方の適正化を猛アピールし世論を味方に付けて、VS自民の都議選へなだれ込むだろう。

そして、単に都政に留まらない。都議選で公明党と小池知事が選挙協力すれば、その前後半年ほどは、解散・総選挙を縛ることになる。都議選運動で自公がぶつかっているのに、総選挙で自公協力などできないからだ。

また、小池知事は、環境や働き方など大胆な政策も考えている。これらは国の規制と必ず衝突し政府・与党と対立する可能性は高い。そうなると、地方自治体改革を目指す大阪維新や名古屋の減税日本などと新しい政治勢力結集もあるかもしれない。

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