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日本郵政グループの足並み乱れる中、調整役の人事はいかに――総務省

日本郵便

日本郵政の副社長人事が注目されている。鈴木康雄副社長が6月に退任し、後任に、元総務事務次官の小笠原倫明・損保ジャパン顧問が有力視されている。

日本郵政グループはかんぽ生命保険の石井雅実社長に加え、日本郵政の長門正貢社長、ゆうちょ銀行の池田憲人社長、日本郵便の横山邦男社長と相次いで民間出身の社長が就任。病に倒れた西室泰三前社長後のグループ求心力の低下が課題となっている。

「4人とも目立ちがり屋」(日本郵政幹部)といわれる4社長や各社の事業の調整役を担っているのが鈴木康雄・日本郵政副社長だ。鈴木氏は今年6月に退任すると周囲にもらしており、「後任はあいつしかいない」と小笠原氏を強く推している。

小笠原氏は鈴木氏と同じ旧郵政省出身で、ともに総務省事務次官経験者。鈴木氏と同様、情報通信・放送行政の経験が長いが、総務相を務めた菅義偉官房長官とも近い。

鈴木氏は当初、日本郵便の高橋亨社長を後任に推したが、官房長官の強い反対で断念。日本郵政に会長がいないにもかかわらず、高橋氏は子会社の日本郵便会長という奇妙なポストに就いた。鈴木氏が子飼いの高橋氏を延命するために作ったポストだ。

次いで鈴木氏が官房長官に推薦したのが小笠原氏で、鈴木氏に続投を要請していた官房長官も容認したという。鈴木氏は最近、周囲に「こいつしかいないんだよ」ともらしている模様で、グループ内でも「昨年から耳にしている。割合知られているようだ」(日本郵便幹部)。

ただ、上場後1年を過ぎた日本郵政3社の株価は低迷し、グループを挙げて事業化を目指している高齢者向けの「みまもり」サービスではゆうちょ銀が距離を置くなど、4社の足並みの乱れが目立ち始めている。

「古巣」とはいえ”外人部隊”が跋扈する日本郵政グループで小笠原氏が調整役として手腕を発揮できるかは不透明だ。

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