経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

問題や課題との向き合い方―逃げても、それは形を変えてついてくる。

富裕層専門のカリスマFP 江上治

問題や課題に立ち向かうか、逃げてしまうか

覚悟を決めた人に応援者は現れる、という話をしたい。

弊社の笠井の借金が分かった時の経験である。

彼女の当時の借金は6千万円だった。その額の大きさに我を失い、どう処理していいのかわからなかくなった私は、思い余ってメンターに相談した。

そのとき、社員の借金を背負う覚悟を決めたのは、

「たった6千万円くらいのカネから逃げるな!」

という、相談したメンターH社長の一喝だった。

H社長は、美容室経営で年収1億円以上を稼ぐ事業家である。

実績のある人に厳しく指摘してもらえたことが、私のなによりの幸運だった。

人に恵まれていたと言わなくてはならない。

私の一件だけではなく、とてつもない成功の前には、新たな可能性を切り開くための困難が常に横たわっているものだ。

ところが、いつも目の前の困難から逃げる人というのがいる。

困難を克服することで、自分にとっての、さらなる成長が手に入ることを知らない人たちだと言ってよい。

逃げてばかりいるから、いつまでも成功を手にできないのだ。

しかも、同じ困難が何度も降ってくる。

私が富裕層を顧客にしたきっかけ

一方で、一度でも困難を克服したことがある人は、困難を越えた先には、自分にとっての、新たな可能性が待っていることを知っている。

そして、その困難が大きければ大きいほど、手に入る成長も大きいことに気づいているのである。

H社長が私を叱ってくれたのは、そのことを伝えたかったからにほかならない。

このようにして、私を新たな可能性へと導いてくださったのだった。

もうひとつ、H社長によって導かれたものがある。

人との縁だ。

私が借金を肩代わりすることにしたと伝えると、

「よし、キミがそれだけの覚悟を決めたのなら、私も応援しよう」

と知り合いの事業家を何人も紹介してくれたのである。いずれも、年収が1億円を超える人たちだった。

その彼らがまた、別の知り合いへと、ご縁をつないでくださった。人と人のご縁をH社長は開拓してくださったのである。

これがきっかけで、私は富裕層と言われる顧客を、何人も抱えるようになったのだ。

成功者は問題や課題から逃げる人に厳しい

成功している人は、自分が困難を克服してきたからこそ、同じように、困難に立ち向かおうとする相手を応援しようとするものである。

それによって、新しい世界が現れることを、身をもって知っているからである。

逆に困難から逃げる相手に対しては手厳しい。

もし、私が社員の借金から逃げて、彼女を放り出していたら、どうだったろう。

H社長は、それだけの浅はかな人間だと私を判断し、私との縁を切っていたに違いないと思う。

借金を背負うという決断が、そのあとの、私の仕事人生を切り開いたのであった。

そして、その借金を背負った笠井も覚悟を決めて、ついてきてくれた。

そして、彼女は今、自身が経験してきたお金の怖さ、そしてお金の持つ本当の意味を、より多くの人に伝える「マネーキャリアコンサルタント協会」を立ち上げ、コンサルタントとして、お金に苦しむ女性を、この世からなくすための活動をしている。

私にしても、笠井にしても、覚悟というものが、その後の仕事人生を決めたのだ。

今号の流儀

困難が降りかかっても克服しようと覚悟を決めることだ。

筆者の記事一覧はこちら

経済界 電子雑誌版のご購入はこちら!
雑誌の紙面がそのままタブレットやスマートフォンで読める!
電子雑誌版は毎月25日発売です
Amazon Kindleストア
楽天kobo
honto
MAGASTORE
ebookjapan

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界ウェブトップへ戻る