天下りあっせん問題で炎上する文部科学省を冷ややかに見ていたはずが、それを上回りそうな疑惑が財務省を直撃した。大阪市の学校法人「森友学園」に対する国有地払い下げ問題。野党の追及の矢面に立たされる緊急事態となっている。
疑惑は朝日新聞が2月9日付で報じ、あっという間に世の注目を集めた。森友学園が私立小学校の建設予定地として購入した国有地が、近隣の土地の約10分の1という破格の値段だった上、それが非公表にされていた。
報道を受け、近畿財務局は公表を決定。地下ごみの撤去費用を差し引いたため、安値になった等々、説明した。
だが、学園の理事長が保守系団体「日本会議」の幹部だっただけでなく、学校の名誉校長に就任するのが安倍昭恵・首相夫人になっていたことで、野党は「口利きがあったのではないか」と猛列に追及。朝日以外のメディアも大きく報道している。
事ここに至って、文科省の天下りあっせんを「あんな露骨なことはしない」とうそぶいていた財務省幹部も口数が少なくなっている。国会には国有財産を管轄する理財局の佐川宣寿局長が連日呼ばれ、「適正な価格での売却」と弁明に追われた。
首相周辺や財務省の関与があったか、真相は今後究明されるとしても、頭が痛いのは幹部人事にも影響が及びそうなことだろう。
問題の国有地を売却したのは近畿財務局。現在の局長は前主計局次長の美並義人氏が務め、前任者は国際局長の武内良樹氏だ。美並氏もいずれ本省の中枢に戻るとみられている。
近畿財務局長は歴代の事務次官も輩出した主要ポスト。だが、2002年には検査情報を漏らす見返りに現金を受け取った検査官が逮捕され、それ以前には大蔵省接待汚職で局長自らが処分されたこともある。
まさしく財務省の「鬼門」となりそうな雲行きになっている。
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