業務プロセスを新たなテクノロジーによって「構造的」に革新し、人の「価値ある時間」を創出。業務自動化ツール「RPAロボパット」の提供で、既存の業務・システムを変えることなく、品質向上・スピードアップ・コスト削減を実現することを目指す。
IT専門展で最も注目の「RPAロボパット」とは
2017年11月8~10日まで、千葉県の幕張メッセで開かれた「Japan IT Week【秋】」。計640社が出展し、来場者数約4万9千人を集めたこのIT専門展で人気を博したのが、FCEプロセス&テクノロジーのブースだった。
「3日間で1200部資料を用意しましたが、初日の夕方4時ごろには全部なくなり、最終的には4600部が持ち帰られました。会場でデモをやったのですが超満員で、15分待っても見られなかったという方が、現在当社で開いているセミナーに申し込んでくださり、連日大盛況。反響の大きさに驚いています」
同社がこの展示会で発表したのは、「RPAロボパット」という業務自動化ツール。RPAとはRobotic Process Automationの略で、ホワイトカラーのPC上の手作業を代替するソフトウエアロボット。FCEPTは、全国1300社の企業研修・コンサルティングや、500の学校・専門学校・学習塾の経営改革支援を行うFCEグループの一企業だ。
「私がRPAの存在を知ったのは2年ほど前。日本でRPAという言葉が広がり始める少し前でした。RPAの考え方は素晴らしく、とても魅力的なアプローチだと思いましたが、その一方で規模・価格・プログラムの難易度を考えると、これが本来必要となる中堅企業向きではないと思いました。その後、同じ想いを持つパートナー企業と出会い、ロボパットの開発が実現しました」
続けて永田社長の説明を聞こう。
「RPAには、クライアントサーバー型とスタンドアロン型があります。前者は専用サーバーを立ててクライアント端末から操作、ロボファイルや処理はサーバーで一括管理する、主に海外製のRPAに多いタイプ。後者は既存のPCにインストールして動作、PC1台で完結し、ライセンス形式で提供されることが多いタイプ。当社のロボパットはこのスタンドアロンタイプで、どのソフトでも操作可能、技術者を前提としない操作性が特長。ロボパットは全ての操作がデスクトップに表示される画像を認識して動きます。PC画面上でマウス、キーボードによって行う作業は全て代替可能。自分が操作する時とロボが操作する時の操作感がほぼ同じ。優秀なアシスタントを得たように、ロボに『業務の引き継ぎ』ができるのです」
RPA需要の高まりの背景には、人員不足と働き方改革がある。しかし、AI、IoT、ブロックチェーンなど技術者需要はさらに高まっており、人員不足になるのは技術者も同じだ。技術者がロボット作成を行うことを前提としているRPAではロボットを作れる技術者は現場の業務を知らず、業務を知っている人はロボットを作れないため、非効率が生まれている。頻度とスピードを両立させるには、現場の生産性は現場で改善できることが重要なのである。
生産性向上と働きがいを同時に解決するロボットに
ロボパットは、エクセルやCSVデータをシステムやウェブに入力したり、ウェブ上の数字やテキスト情報をエクセルにコピペして集計したり、複数のファイルから1つに取りまとめたり、違う表に加工したり、作成したファイルをメールにして誰かに送付したり、さまざまなファイルを指定した場所に保存したりと、これまで人がやっていた業務を任せることができる。FCEグループでロボパットによって削減した業務工数は5280時間を超えるという。
RPAを提案する際に多いのは、導入によって自分の仕事がなくなるのは困ると社内の抵抗にあうこと。
「当社では今、販売パートナーの募集も行っていますが、そこで言うのは、単なる業務削減ではないということ。何百時間削減したといっても、ごく限られた部分しか楽にならないからです。例えば、経理では月初が特別忙しいとか、ある部署は月曜の午前中に作業が集中するといったことがある。業務は平均して忙しい訳ではありません。低い水準に合わせてもピークに合わせても合理的ではない。そこの忙しい部分だけをロボに任せれば非常に楽になるし、その結果パフォーマンスも上がる。ロボは仕事を奪うのではなく、あくまで楽にしてくれる存在なのです」
従来は、仕事の仕方とマネジメントでの生産性向上だった。働きがいも、やりたい仕事、重要なポジション、高い目標へのチャレンジ精神、社会貢献というものだった。だが現在は、業務の構造的な改善による生産性向上に加えて、働きがいも、多様化する価値観の中で、自己実現や愛社精神といったものが求められる時代になった。働き手の世代が社会を支えながら、自身の人生を楽しみ、次の世代を育む豊かな時間が必要となる。そのためのRPAであり、同社のロボパットはそれを実現する手段の一つということになる。
ロボパットの価格は、初期費用はゼロで、フル機能が使えるライセンスの場合は、1台当たり月12万円。作成したロボットを実行させるだけのライセンスなら同4万円。月ごとの契約なので「今月は5台だが、来月は2台」といった契約が可能。FCEグループ自体がこのロボパットのヘビーユーザーのため、顧客の立場で提案しているからだという。ロボパットの対象企業は、中堅・中小企業と、大企業の部門・部署単位で、規模や業種を問わない。20年のRPA市場は5千億円以上と見られており、そのうちシェア10%、500億円を目指すとのことだ。
「FCEグループは、13~17年まで5年連続で『働きがいのある会社ランキング』でベストカンパニー入りを果たしました。まずは自分たちが『働くをおもしろくする』ということをやってきた1つの結果だと考えています。さらに、モチベーションが上がる環境づくり、こころ踊る制度設計づくり、イノベーションを起こす事業開発、インナーブランディングの4つの改革プロジェクトを立ち上げ、推進しています」という永田社長。働き方改革、生産性向上の切り札となるテクノロジーとして、その取り組みが注目される。
株式会社FCEプロセス&テクノロジー
- 設立/2015年10月22日
- 資本金/1億2700万円(株式会社FCE Holdings)
- 売上高/14億円(グループ合計)
- 従業員数/136人(グループ合計)
- 事業内容/RPAをはじめとした業務改善ソフトの販売等
- 所在地/東京都新宿区
- 会社ホームページ/http://fce-pat.co.jp/
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