ホンダ商事は商業施設や宿泊施設の売買仲介、テナントリーシングを手掛けている。本田和之社長は顧客のニーズを探り最適な有効活用を提案。不動産の現場から、生産緑地の将来活用など社会問題の解決にも取り組む。
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本田和之社長が語るホンダ商事の未来像
── 事業の概要について。
本田 当社は商業施設やホテル、旅館の売買・賃貸仲介(テナントリーシング)を中心に行っています。物件を単に右から左へ流すのではなく、今までの実務経験を生かした“コンサル仲介”が強みです。土地所有者の要望をしっかり聞き出し、最適な解決法を提示しています。営業方針はお客さまに無理な売却や物件の購入、借り入れをさせないこと。資産を減らすリスクを徹底的に排除しながら、収入を増やすお手伝いをしています。具体的には、その土地の特性や周辺環境を勘案し、商業施設や住宅などへの活用を提案しています。最近では、「生産緑地の2022年問題」を受けて、農地の所有者からの相談が増えています。
── 「生産緑地問題」とはどういったものですか。
本田 1992年に施行された新生産緑地法の下で、三大都市圏の都市型農地が生産緑地として指定を受けました。指定後30年が経過する2022年以降は、手続きを経ることによって指定を解除でき、農地を宅地などに転用することができます。一方で、指定を解除すると固定資産税の税制優遇や相続税の納税猶予の適用がなくなり、所有者は土地の売却や有効活用を検討しなければなりません。今は地主一人一人と向き合い、アドバイスをしているところです。最近では住宅や商業施設に加えて、市民農園や農業体験施設といった農業に関連するビジネスを提案するケースも増えてきました。マンション・アパートの建設を促すだけではなく、緑地の特性を生かす提案で環境の保全にも取り組んでいます。
── 今後の展望について。
本田 観光、健康、高齢者、環境など公共性の高いジャンルに不動産を絡めながら、事業を展開します。特に観光分野は、今後ますます日本経済を牽引する役割を期待されるでしょう。当社ではM&Aを通じて旅館の事業再生を支援しています。行政や地元企業と協力しながら、地域観光の魅力を幅広く伝える日本版DMOにも取り組みたいですね。進出したい領域は色々ありますが、当社の強みはあくまで運営者ありきの不動産活用、オペレーショナルアセットです。この軸を守りながら、全国各地に賑わいを取り戻すために尽力してまいります。
【会社データ】
ホンダ商事
設立●1975年12月
資本金●1千万円
従業員●5人
所在地●東京都渋谷区