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シェアリングエコノミーで関西発ベンチャーのロールモデルへ―akippa

akippa社長CEO 金谷元気(かなや・げんき)

外出自粛で貸し駐車場業界にも逆風が吹く中、新たなニーズを掘り起こし、駐車場シェアリングサービスで全国に拠点とユーザーを急速に拡大しているakippa。自動運転の時代を目前に、新たなサービスの展開も視野に入れている。

akippa社長CEO 金谷元気(かなや・げんき)
akippa社長CEO 金谷元気(かなや・げんき)

 駐車場シェアリングサービスの先駆者であるakippaの最大の強みは、優れたビジネスモデルにある。

 駐車場オーナーは、個人宅やマンションの空きスペース、商業施設内の稼働率の低い駐車場などを初期投資ゼロ、契約料ゼロで貸し駐車場として有効活用できる一方、利用者はスマートフォンで予約から支払いまで完結。コインパーキングより基本的には2割ほど安い価格で、15分単位もしくは1日での利用が可能だ。この三方よしのビジネスモデルが好評を得て、2020年12月現在で全国約4万1千カ所に拠点を拡大、会員数は約200万人に上る。

 4~5月は外出自粛の影響でイベント利用は減少したものの、以降は順調に成長を続けている。特に通勤での利用は自粛期間中も東京都心部では前年比約4倍に急増。感染への不安から車通勤を選択する人が増え、自粛期間後の継続利用につながった。

 また、駐車場の獲得も好調だ。売り上げが伸び悩む商業施設や企業、収入に不安を抱く個人などが、収益を得るために空きスペースをakippaに登録するケースが増えた。11月には紳士服「コナカ」と提携し35店舗で貸し出し。関西では主要鉄道会社とも提携し、高架下スペースを有効活用している。

 今後は首都圏や京阪神エリアでの駐車場獲得のさらなる拡大を目指す。しかし金谷元気社長は「akippaが提供するのは駐車場そのものではない」という。「駐車場があることで今まで行けなかった場所に行ける。新たな出会いや価値を生み出すモビリティハブにしたい」

 その先に見据えるのは、自動運転の時代だ。

 「全国拠点を充電スポットにして、自動運転車のシェアリングサービスなども構想しています。誰もが気軽に自動運転車を利用し、移動先での駐車や充電も簡単にできれば、路線が減少しているバスや人材不足のタクシーに代わる自由な移動手段になるでしょう」

 狙うは自動運転車シェアのプラットフォームのみならず、次世代のサービスステーションとしてのナンバーワン。ユニコーン企業が少ない関西でスタートアップ創出をけん引するロールモデルを目指す。

会社概要
設立 2009年2月
資本金 20億円(資本準備金含む)
所在地 大阪市浪速区
従業員数 83人
事業内容 駐車場予約アプリ「akippa」の運営
https://akippa.co.jp/

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