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「美しい仕事」を実践する唯一無二の専門人材を育成―藤井組

ものづくりの街である大阪市大正区に本社を構え、鋼製杭による施工を中心に土木基礎の専門工事を手掛ける藤井組。プロフェッショナルとしての「美しい仕事」を矜持とする同社は、若手の育成に注力している。

藤井組代表取締役 森 致光(もり・よしみつ)

施工プロセスを極める唯一無二の専門人材を育成

 1963年に設立し、土木工事における鋼製杭の施工を手掛ける藤井組は、高度専門工事会社として「美しい仕事」を社是としている。89年に特許を取得した看板工法「アルファーシステム工法」は、狭い場所や鉄道の高架下など高さ制限がある空間での鋼製杭の施工を可能にした。現在は近畿圏を中心に全国の仕事を請け負っている。

 「当社は責任を持って各工程を最良の手段で施工しています。最も大事にしている『美しい仕事』とは、見た目のことではありません。杭工事の仕事は成果物が外から見えないため、施工プロセスにこだわっています」

 同社は公共性の高い鉄道関連施設の施工も多い。ここで車両基地や線路内に立ち入って重機を運転する際に、さまざまな資格が必要となる。

 「社員には関連資格を積極的に取得するよう勧めています。これは専門工事会社として他社との差別化になるからです。資格取得に関するサポートは万全で、受験料や交通費もすべて会社で負担しています」

 コロナ禍により業界を取り巻く状況は厳しいが、マイナスなことばかりではない。同社は若手社員の採用において、人材確保のチャンスを見いだした。高齢化と人手不足が叫ばれる建設業界にあって、コロナ禍で変化が見られている。

 「多くの業種が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける中、若者の価値観も変わってきているのかもしれません。面接時には仕事の厳しい部分もしっかりと伝えていますが、長期的に活躍できる専門的な技能を身に付けたい、という10代から20代前半の若者10人を採用できました。世間のステレオタイプなイメージよりも若者は本質志向で賢く、仕事への姿勢は真剣です。当社は一つのことを追求し、学び続けることのできる人材を求めています」

終身雇用制の導入で専門技能の向上を目指す

 森氏は先代の急逝により、2000年に25歳の若さで5代目社長に就任した。以来、取り組んできたさまざまな施策の中でのハイライトは、専属で外注してきた施工技能者を14年前から正社員として直接雇用に切り替えたことだ。重層請負構造が常態化している建設業界では異例の早さと言える。

 「ゼネコンなど元請からの仕事は、孫請けという形で他社へ外注せず、当社の技能と機械で責任を持って完遂します。この狙いは、従業員の施工力を高め、技術を次代に継承していくこと。専門性の高い鋼製杭の施工という分野では他社の追随を許さないとの自負があります。最後に残るのは狭く、深い知識と経験に裏打ちされた『本物』だけだと確信しています」

専門技術の粋を極めた杭打機

 積極的堅実経営を目指す同社は、企業が永続するための努力も欠かさない。

 「リスクヘッジは何よりも重要で、一過性の大きな仕事には頼らない体制を整えています。特定の取引先に依存することを避けて複数の取引先に分散し、受注が売上高全体の20%を超えないように調整しています」

 また、従業員満足度の向上に向けた福利厚生も充実している。地方から大阪に出てくる新入社員向けに新築の社員寮を購入するとともに、2年前から本社の外壁、内壁、倉庫まで大改装し、新たに屋上庭園や立体駐車場を設けた。

 さらに、地域貢献事業としてプロバスケットボールチーム「大阪エヴェッサ」のオフィシャルプラチナパートナーになっている。こうした企業ブランディングに関する取り組みは、従業員のロイヤリティ向上に結実しているという。

 「本社の改装で従業員のモチベーションが目に見えて高まりました。ここ10年間の定着率はほぼ100%です。また終身雇用制を導入し、定年も10年前に65歳まで延ばしました。本人が希望すれば再雇用も可能。終身雇用制を導入することで、腰を据えて資格取得と技能の向上に取り組むことができます」

 目の前の仕事に妥協せずに向き合いながら、「美しい仕事」を積み重ねていく同社の取り組みは、常に次の時代を視野に入れている。

 「ここで働く従業員全員が誇りとやりがいを持ち、企業責任を果たしながら地域に貢献できる日本一の会社を目指していきます」

会社概要
設立 1963年7月
資本金 9,300万円
売上高 30億2,000万円
所在地 大阪市大正区
従業員数 74人
事業内容 鋼製杭、鋼矢板の施工、鉄道関連工事における鋼製杭、鋼矢板の施工
http://www.o-fujiigumi.co.jp/

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